続々・拾ったものは大切に大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜

ぽん

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わからせと後始末

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 アースガイルが建国されたが未熟な時代。

 重宝されたスキル持ちの力の使い方も不安定だった。

 街を造る上で重い建材を運ぶ為に労働として利用されていた魔獣達。

 人間に無理やり従わされていた魔獣は自分を縛り付ける力の綻びを待っていた。
 そんな魔獣が待ちに待った一瞬の機会を見逃す訳がない。

 牛型の魔獣とやらは、自分を押さえ込んでいた力が弱まった瞬間に暴れ始めた。

 折角のスキルも、扱いが未熟だった人間は小石の様に放り投げられ、その後は街中で暴れる魔獣によって街は阿鼻叫喚に包まれた。

 使いこなせない力。
 無理に何者かを従わせるという事。
 
 初代国王マテオ・アースガイルは、その全てを否定した。

 使いこなせないのなら、学べと言った。
 何ものも無理矢理従属させる事も禁止した。

「何モノも無理矢理何かに従わされる時代は終わったのだ。
 人間には人間の、魔獣は魔獣の世界がある。
 生きる為に互いに会い見える時はあるだろう。
 だったら、それまでは互いに自由で良いじゃないか。」

 マテオがそう言ったかは定かじゃないが、イオリの想像するマテオだったらそう言うのではないか。

 イオリは過去の時代に思いを馳せ微笑んだ。

 人は食を得る為に動物や魔獣の命を狩る。
 それでいて彼等が非道に蹂躙されている様を見て嫌悪し怒るという矛盾を抱えている。
 
 矛盾

 それこそが人間が人間たる所以のごうなのかもしれない。

 その矛盾に思い悩み、戸惑いながら生きる人間という存在を絶対神リュオンは愛しているのだ。

 イオリは今はもう会う事が出来ない虹色の人を想った。

 初代国王マテオも同じように矛盾を抱えて生きたのだろう。

 “生きた魔獣を街の中に入れる事を禁止”

 という法律をマテオは作った。

 生きたと言う事は、亡骸となった魔獣なら良いと言っているのだ。

 何モノも無理矢理従属させる事を禁ずると謳った割には命を奪う事を禁止しているわけではない。

 表向きには国に生きる住人達を守る為の法である。
 今尚、受け継がれ歓迎された法律の1つだ。

 その後、テイムのスキル持ちが確立すると法は“従魔は可”と変化していく。

 これは互いが望まなければ、従魔契約は出来ないというマテオの“無理矢理”という部分が解消された関係であるからという事らしい。

 イオリは今回の事件の実行犯であるクラウンに問いかけた。

 ーーー命を奪われる覚悟があるのか?

 命を奪うのならば、逆に奪われる可能性もある。
 そんな当たり前の事を忘れる人間も絶対神リュオンの愛の元にいるのだ。

 この矛盾が解決する事など恐らくないのだろう。
 
 人間と動物、そして魔獣は互いに奪い合い、時には協力し合いながら生きていくのだ。

 「絶妙なバランスで成り立つ関係はいつでも脆く崩れやすい。
 その均衡を保つ努力をする者の存在は貴重だ。
 今回は人間が魔獣とのバランスを乱した。
 全てが元に戻らないかもしれないが、何もしないと言うのも間違っている。
 魔獣の子供達の保護を父上を通じて国王に進言しよう。」

 ニコライの言葉に納得したイオリは満足したように微笑んだ。
  
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