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何事も準備こそが楽しい
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「クリストフさーーーーん!!」
シーナの突如の叫びにイオリは慌てた。
「どうしました!?」
走ってやってきた筆頭執事のクリストフの顔にもシーナの様子に珍しく焦りが見える。
「どうしました?
何か不備がありましたか?」
シーナとイオリが見ていた箱が薬師工房から運ばれてきた石鹸や保湿剤だと気がついたクリストフは顔を顰めた。
「いいや!石鹸とかは問題ないですよ。
大丈夫!はい。大丈夫です!!」
クリストフだけじゃなく、集まった使用人達はイオリの言葉に安堵した様に息を吐いた。
「それは、何よりです。
・・・では、シーナは如何したと言うのです?」
怪訝そうなクリストフに今度はイオリが困ってしまった。
叫び声を上げたシーナは固まってイオリを指差している。
居た堪れないイオリは逃げ出したい気分だ。
「王子様方への御お祝いに石鹸で良いのかとシーナさんに聞いていたんです。
そうしたら、問題ないって言って頂いて・・・。」
申し訳なさそうにイオリがそう言うと、クリストフはしっかりと頷いた。
「えぇ、その通りです。
今回の贈り物の中でもとっておきの目玉商品となるでしょう。」
クリストフの満面の笑みにイオリは弱々しく微笑んだ。
「それだけじゃないでしょう?」
イオリとクリストフの会話に震えるシーナの声が割り込んできた。
「イオリ様?
さっきのお話をクリストフさんに!
ほらっ!早くっ!!」
殺気が篭ったシーナの顔にイオリはビクビクと頷いた。
シーナの様子によっぽどの事なのだろうとクリストフが咳払いをして落ち着かせる。
「コホンッ。
シーナ。話を聞きますから落ち着きなさい。
イオリさんが困っていますよ。」
「・・・はい。申し訳ありません。」
クリストフの諌めに落ち着きを取り戻そうとシーナは顔をパンパンと打った。
「さぁ、イオリさん。
シーナとの話を教えて下さい。」
クリストフはどんな問題事が起こったのかと慎重に問い掛けてきたが、イオリが養蜂の事を口にし始めた辺りから顔付きが変わり出した。
「・・・つまり、ハチミツが安定して供給できると?」
「安定とは少し違います。
あくまでも蜜を集める蜂次第です。
我々人間のできる事と言えば、蜂に自然よりも安全な住処を提供し外敵や過酷な環境から守ってやる手伝いをするってだけですよ。
その対価に少しばかりのハチミツと蜜蝋を分けて貰おうって話です。」
「しかし冒険者が明けない魔の森などで採取するよりも安全にハチミツを手に入れる事が出来るのではありませんか?」
真剣な顔のクリストフに対してイオリは頷いた。
「確かにそうですね。
あれ・・・なんで、ビートから砂糖を生産するより先にこっちの方を思い付かなかったんだ俺って。」
「ハハハ」と笑い、頭に手をやるイオリにクリストフやシーナだけでなく、その他の使用人達も唖然とするのだった。
シーナの突如の叫びにイオリは慌てた。
「どうしました!?」
走ってやってきた筆頭執事のクリストフの顔にもシーナの様子に珍しく焦りが見える。
「どうしました?
何か不備がありましたか?」
シーナとイオリが見ていた箱が薬師工房から運ばれてきた石鹸や保湿剤だと気がついたクリストフは顔を顰めた。
「いいや!石鹸とかは問題ないですよ。
大丈夫!はい。大丈夫です!!」
クリストフだけじゃなく、集まった使用人達はイオリの言葉に安堵した様に息を吐いた。
「それは、何よりです。
・・・では、シーナは如何したと言うのです?」
怪訝そうなクリストフに今度はイオリが困ってしまった。
叫び声を上げたシーナは固まってイオリを指差している。
居た堪れないイオリは逃げ出したい気分だ。
「王子様方への御お祝いに石鹸で良いのかとシーナさんに聞いていたんです。
そうしたら、問題ないって言って頂いて・・・。」
申し訳なさそうにイオリがそう言うと、クリストフはしっかりと頷いた。
「えぇ、その通りです。
今回の贈り物の中でもとっておきの目玉商品となるでしょう。」
クリストフの満面の笑みにイオリは弱々しく微笑んだ。
「それだけじゃないでしょう?」
イオリとクリストフの会話に震えるシーナの声が割り込んできた。
「イオリ様?
さっきのお話をクリストフさんに!
ほらっ!早くっ!!」
殺気が篭ったシーナの顔にイオリはビクビクと頷いた。
シーナの様子によっぽどの事なのだろうとクリストフが咳払いをして落ち着かせる。
「コホンッ。
シーナ。話を聞きますから落ち着きなさい。
イオリさんが困っていますよ。」
「・・・はい。申し訳ありません。」
クリストフの諌めに落ち着きを取り戻そうとシーナは顔をパンパンと打った。
「さぁ、イオリさん。
シーナとの話を教えて下さい。」
クリストフはどんな問題事が起こったのかと慎重に問い掛けてきたが、イオリが養蜂の事を口にし始めた辺りから顔付きが変わり出した。
「・・・つまり、ハチミツが安定して供給できると?」
「安定とは少し違います。
あくまでも蜜を集める蜂次第です。
我々人間のできる事と言えば、蜂に自然よりも安全な住処を提供し外敵や過酷な環境から守ってやる手伝いをするってだけですよ。
その対価に少しばかりのハチミツと蜜蝋を分けて貰おうって話です。」
「しかし冒険者が明けない魔の森などで採取するよりも安全にハチミツを手に入れる事が出来るのではありませんか?」
真剣な顔のクリストフに対してイオリは頷いた。
「確かにそうですね。
あれ・・・なんで、ビートから砂糖を生産するより先にこっちの方を思い付かなかったんだ俺って。」
「ハハハ」と笑い、頭に手をやるイオリにクリストフやシーナだけでなく、その他の使用人達も唖然とするのだった。
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