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王都 〜再会〜
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「さて、よく来たね。
お座り、紅茶を淹れてやろう。」
冒険者ギルド王都本部のサブマスター・ミラチュラは大の紅茶好きだ。
ミラチュラがポットを温め出すと、子供達が手慣れた様に自分達の腰バックからお菓子を取り出す。
その中をイオリが包装された大きな箱を差し出した。
「これ、お土産です。
ポーレットで1番人気の“パティスリー・ヴォルフ”のお菓子のセットですよ。
マフィンとか新作のクッキーの詰め合わせです。」
紅茶好きのミラチュラだ。
当然、紅茶に合わせる甘いものも大好物だ。
イオリのお陰で、砂糖の流通が始まり今や甘味は王都でも手に入る。
だが、食文化の先を行くポーレットの菓子には、いくら王都の大商会とて勝てやしないのだ。
「何て嬉しい土産物だろうね。
有難う。大切に食べるよ。」
ミラチュラは受け取った箱を大切そうに抱き抱えた。
そんな、ミラチュラは何歳になるのか分からない老婆でありながら、周囲の視線などお構いなしに好んで受付係と同じ衣装を着ていた。
スカートから出ている尻尾が嬉しそうに揺れている。
「今は、イオリのお菓子を食べよう。
イオリのお菓子はお店にだって負けないよ。」
パティがニッコリして手招くと、ミラチュラはウンウンと頷いた。
「それは、当然の事だね。
エルフの坊やが時々アンタのお菓子を届けてくれるから、いつもお茶の時間が楽しみでしょうがないよ。」
「そんな事してたの?」と驚くイオリにナギはニコニコと指を折って数え始めた。
「アルでしょ。シシィちゃんでしょ。ギルと、ディーと、オーブリーとココちゃん。
それに、宰相様にグダスクの侯爵様。」
「グラトニーのおじちゃんとロスさんもだよね。」
ニナが続くと、パティが頷いた。
「他のグラトニーだと、アンティティラのアンナさんと、ダグスクのカイさんの所にも行ってるよ。」
想像以上の多さにイオリは唖然とした。
「さながら、ナギは宅配屋さんだよね。」
スコルが笑っていると、イオリは額をペチンと叩いた。
「そういえば、時々大量にお菓子や料理を頼まれるなと思っていたんだ。」
呑気なイオリにヒューゴが呆れるように苦笑している。
「良いじゃないか。
この子達は、アンタが元気だっていうのを皆に教えたいのさ。
教えて貰った者達は、そりゃ嬉しいだろうさ。
この子達が好きでやってるだ。
好きにさせておやり。」
ミラチュラの言葉とニコニコ顔の子供達にイオリは諦めた様に弱々しく微笑んだ。
和やかなお茶会が始まる。
そんな時だった。
「僕を忘れて貰っては困るよ!」
滑り込む様に部屋に入ってきたシルクハット姿の男・・・冒険者ギルド王都本部のマスターことハンターの登場だった。
お座り、紅茶を淹れてやろう。」
冒険者ギルド王都本部のサブマスター・ミラチュラは大の紅茶好きだ。
ミラチュラがポットを温め出すと、子供達が手慣れた様に自分達の腰バックからお菓子を取り出す。
その中をイオリが包装された大きな箱を差し出した。
「これ、お土産です。
ポーレットで1番人気の“パティスリー・ヴォルフ”のお菓子のセットですよ。
マフィンとか新作のクッキーの詰め合わせです。」
紅茶好きのミラチュラだ。
当然、紅茶に合わせる甘いものも大好物だ。
イオリのお陰で、砂糖の流通が始まり今や甘味は王都でも手に入る。
だが、食文化の先を行くポーレットの菓子には、いくら王都の大商会とて勝てやしないのだ。
「何て嬉しい土産物だろうね。
有難う。大切に食べるよ。」
ミラチュラは受け取った箱を大切そうに抱き抱えた。
そんな、ミラチュラは何歳になるのか分からない老婆でありながら、周囲の視線などお構いなしに好んで受付係と同じ衣装を着ていた。
スカートから出ている尻尾が嬉しそうに揺れている。
「今は、イオリのお菓子を食べよう。
イオリのお菓子はお店にだって負けないよ。」
パティがニッコリして手招くと、ミラチュラはウンウンと頷いた。
「それは、当然の事だね。
エルフの坊やが時々アンタのお菓子を届けてくれるから、いつもお茶の時間が楽しみでしょうがないよ。」
「そんな事してたの?」と驚くイオリにナギはニコニコと指を折って数え始めた。
「アルでしょ。シシィちゃんでしょ。ギルと、ディーと、オーブリーとココちゃん。
それに、宰相様にグダスクの侯爵様。」
「グラトニーのおじちゃんとロスさんもだよね。」
ニナが続くと、パティが頷いた。
「他のグラトニーだと、アンティティラのアンナさんと、ダグスクのカイさんの所にも行ってるよ。」
想像以上の多さにイオリは唖然とした。
「さながら、ナギは宅配屋さんだよね。」
スコルが笑っていると、イオリは額をペチンと叩いた。
「そういえば、時々大量にお菓子や料理を頼まれるなと思っていたんだ。」
呑気なイオリにヒューゴが呆れるように苦笑している。
「良いじゃないか。
この子達は、アンタが元気だっていうのを皆に教えたいのさ。
教えて貰った者達は、そりゃ嬉しいだろうさ。
この子達が好きでやってるだ。
好きにさせておやり。」
ミラチュラの言葉とニコニコ顔の子供達にイオリは諦めた様に弱々しく微笑んだ。
和やかなお茶会が始まる。
そんな時だった。
「僕を忘れて貰っては困るよ!」
滑り込む様に部屋に入ってきたシルクハット姿の男・・・冒険者ギルド王都本部のマスターことハンターの登場だった。
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