続々・拾ったものは大切に大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜

ぽん

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王都 〜再会・王城〜

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「ぅわぁぁ。
 オーブリー、ドレス綺麗!!」

 パティは憧れの女性であるオーブリー・ポートマン公爵令嬢に駆け寄って抱きついた。

「パティ。ニナも。
 久しぶりね。元気そうでなによりだわ。」

 オーブリーは優しく微笑むと2人の少女を抱きしめた。
 軍人であった以前よりも自然と笑顔を向けられるようになったようだ。
 今なら、誰が見ても高貴な御令嬢にしか見えないばかりか、誰にも負けない美しさを誇っていた。

「本当にオーブリーのドレス姿、綺麗よ。
 とっても似合ってる!」

 パティに負けずにニナがパチパチと手を叩いてオーブリーのドレス姿を褒めた。

 今日のオーブリーのドレスは柔らかいクリーム色のエンパイアドレスだった。
 胸元にキラリと輝くネックレスには婚約者であるギルバートの瞳と同じ紺色の宝石が輝いている。

「2人とも褒めてくれて有難う。
 このドレス、見た目よりもずっと重いの。
 信じられる?
 騎士の甲冑と同じくらいの重量はあるわ。 
 きっと、世の令嬢達は想像以上にムキムキなのね。」

 そう感想を口にするオーブリーにパティとニナは手に口を当ててクスクスと笑った。

「そんなムキムキの中でも世界一美しい女性と結婚出来る私は幸せ者だな。」

 ニコニコと微笑みながら近づいて来たギルバートにオーブリーは眉間に皺を寄せて小声で囁いた。

「やはり結婚式で騎士の甲冑を着ては駄目だそうです。
 実家から叱責の手紙が届きました。」

 至極真面目に伝える婚約者にギルバートは吹き出した。

「あぁ・・・。
 私の婚約者は最高だな。
 まだ諦めてなかったのかい?
 花嫁の君が私より凛々しくなってどうするんだい?
 それでは私がドレスを着れば良いのかい?」

 ギルバートが笑うと、オーブリーは困惑しながらも、こう言った。

「・・・そうして頂けますか?」

 その後、長い間ギルバートの笑いは止まらなかった。
 
 _____

 その頃、冒険者ギルド王都本部のギルドマスターの部屋で1人の男が積み重ねられた書類に目を通していた。

「どうだい?」

 小さな老婆が紅茶を差し出すと、男・・・ギルドマスター・ハンターは大きく溜息を吐いた。

「また地方で冒険者2人が逮捕されました。
 拘束した2人が担いでいた袋から意識のない子供の魔獣が3匹見つかったそうです。
 現行犯で、即時拘束されました。」

「またかい・・・。」

 小さな老婆・ミラチュラはギルドの制服を翻してハンターの向かいのソファに腰をおろした。

「それがね。
 今回は少し、状況が変なんだそうですよ。
 続報は少し後に報告されるそうです。」

「ふーん。
 相変わらず他所は仕事が遅いね。
 話が見えてこないよ。」

「えぇ、まったくです。
 事件は起こっているのに全貌が見えない。
 の正体も未だに不明ですからね。」

 ハンターはテーブルに置いてあったドアノブを転がした。

「あぁ、そっちもあったね。
 グラトニーが場所にあたりをつけて捜索しているそうだ。
 結果も暫くしたら聞こえてくるだろう。」

「分かりました。
 では、ミラ。
 お願いしていた王都に所属する冒険者の調査結果を見せて頂きましょうか。」

 ハンターはミラチュラの側に置いてあった書類を顎でしゃくった。

「あぁ、ウンザリする量の資料を読み込んだ。
 数人怪しいのを見つけた。
 取り調べにはお前さんも一緒が良いと思って取っ捕まえた後は牢に入れてる。」

「それは楽しい話が聞けそうですね。
 ご一緒しましょう。」

 ハンターはミラから受け取った書類に目を通すと微笑み立ち上がった。

何処ぞのゴマ塩頭のギルマスが言ってた。

 ーーー王都の妖怪ジジイを怒らせると生きてる方が辛く感じるぜ。

 
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