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王都 〜青春からの因果〜
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王都へ着いてからイオリはポーレット公爵テオルドにくっ付いて、様々な場所に行っていた。
社交も大切な仕事であるテオルドの護衛には、当然侍従であるノアがいるが専属冒険者としての仕事として依頼を受けていた。
人々はテオルドと共に現れる真っ黒な青年にギョッとする。
全身真っ黒である事に加え、右目を覆う眼帯が人の目を引くのだろうが、何よりもポーレット公爵が庇護していると聞く“黒狼”がチラつくのだろう。
人の目に晒される事を嫌うイオリである。
視線を受けると持ち前の身のこなしで気配を消し、人に紛れる事もしばしばだ。
この日は王城の一室を利用した茶会である。
出席者は商売の話が目的の当主ばかりで、好景気に沸くポーレット公爵領は格好の標的となる。
そんなイオリは社交を楽しむ貴族達を見ながらボーッとしていた。
「大丈夫か?」
ノアが声をかけると、イオリはニッコリとして振り返った。
「はい。
よく皆さん飽きないなぁって考えてました。」
「フフ。
まぁ、貴族の社交の大半がそんなものだ。
それでも大切な時間なのだぞ。
あーやって、商売の話になればテオルド様とて憂鬱になっていられない。
イオリもしっかりと頼むぞ。」
ノアは不届者が主人に近づく事ない様に厳しい目を会場に向けた。
「それじゃ、ノアさん。
あっちに立ってる人がテオさんの道を塞ごうとしてましたよ。
恐らく、無理にでも話しをしようとしてます。
で、テーブルの反対側にいる男の人が時折テオさんを睨んでます。
テオさんが早々に砂糖の話を切り上げたからだと思います。念の為に警戒しましょう。
あと、会場の隅に立ってる人ってグラトニー商会の人ですよ。
前にお店で見かけました。
ロスさんに話通すのに早いかもしれません。」
ツラツラと指摘するイオリにノアは苦笑した。
「ボーッとしているようで、本当に何でも見えているのだな。
分かった。
・・・まぁ、あの人は大丈夫だと思うが警戒しておこう。
グラトニーの者は必要ない間は動くまい。
・・・おい、見てくれ。
バンデが周囲を警戒している。」
テオルドの肩に止まっていたカーバンクルのバンデが顔をキョロキョロさせている。
テオルドもバンデの様子に気がついているのだろう。
落ち着くように優しく撫でていた。
「・・・匂いですね。
微かに“デーゾルド”の匂いがする。」
「まさか・・・襲撃犯の?」
「うーん。
黒幕だったら良かったんですけどね。
この微かな匂いだと、本星と近付いた程度の人かもしれません。」
「そうか。
どちらにせよ。
匂いの元を探さないとな。」
「それは任せて下さい。
・・・ゼン。」
イオリの足元で丸くなっていた真っ白な小さなゼンは相棒の声に反応した。
ピョンと立ち上がったゼンは、鼻をスンスンと動かすとポテポテと動き出して行った。
社交も大切な仕事であるテオルドの護衛には、当然侍従であるノアがいるが専属冒険者としての仕事として依頼を受けていた。
人々はテオルドと共に現れる真っ黒な青年にギョッとする。
全身真っ黒である事に加え、右目を覆う眼帯が人の目を引くのだろうが、何よりもポーレット公爵が庇護していると聞く“黒狼”がチラつくのだろう。
人の目に晒される事を嫌うイオリである。
視線を受けると持ち前の身のこなしで気配を消し、人に紛れる事もしばしばだ。
この日は王城の一室を利用した茶会である。
出席者は商売の話が目的の当主ばかりで、好景気に沸くポーレット公爵領は格好の標的となる。
そんなイオリは社交を楽しむ貴族達を見ながらボーッとしていた。
「大丈夫か?」
ノアが声をかけると、イオリはニッコリとして振り返った。
「はい。
よく皆さん飽きないなぁって考えてました。」
「フフ。
まぁ、貴族の社交の大半がそんなものだ。
それでも大切な時間なのだぞ。
あーやって、商売の話になればテオルド様とて憂鬱になっていられない。
イオリもしっかりと頼むぞ。」
ノアは不届者が主人に近づく事ない様に厳しい目を会場に向けた。
「それじゃ、ノアさん。
あっちに立ってる人がテオさんの道を塞ごうとしてましたよ。
恐らく、無理にでも話しをしようとしてます。
で、テーブルの反対側にいる男の人が時折テオさんを睨んでます。
テオさんが早々に砂糖の話を切り上げたからだと思います。念の為に警戒しましょう。
あと、会場の隅に立ってる人ってグラトニー商会の人ですよ。
前にお店で見かけました。
ロスさんに話通すのに早いかもしれません。」
ツラツラと指摘するイオリにノアは苦笑した。
「ボーッとしているようで、本当に何でも見えているのだな。
分かった。
・・・まぁ、あの人は大丈夫だと思うが警戒しておこう。
グラトニーの者は必要ない間は動くまい。
・・・おい、見てくれ。
バンデが周囲を警戒している。」
テオルドの肩に止まっていたカーバンクルのバンデが顔をキョロキョロさせている。
テオルドもバンデの様子に気がついているのだろう。
落ち着くように優しく撫でていた。
「・・・匂いですね。
微かに“デーゾルド”の匂いがする。」
「まさか・・・襲撃犯の?」
「うーん。
黒幕だったら良かったんですけどね。
この微かな匂いだと、本星と近付いた程度の人かもしれません。」
「そうか。
どちらにせよ。
匂いの元を探さないとな。」
「それは任せて下さい。
・・・ゼン。」
イオリの足元で丸くなっていた真っ白な小さなゼンは相棒の声に反応した。
ピョンと立ち上がったゼンは、鼻をスンスンと動かすとポテポテと動き出して行った。
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