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義心の先にあるもの
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フロドゥール国国王レイド・フロドゥールが通された控室は、綺麗に管理されているが客を迎えるには少々シンプルな部屋だった。
「ふむ。」
誰に何を言うでもなくレイド・フロドゥールは頷いた。
派手で有名なロンサンティエ帝国の王宮は在らん限りの金銀と宝石を散りばめたド派手なものと思って来てみれば、とんだ肩透かしだった。
レイド・フロドゥールは窓から見える宝樹に視線を送った。
遠くで見るよりも光の玉が沢山群がっているのがよく分かる不思議な光景だった。
「侍女よ。
この部屋は貴賓をもてなす部屋なのか?」
振り返れば、宰相ハル・シネイが紅茶を振る舞う侍女に問いかけていた。
素朴・・・悪く言えば簡素にも見える部屋に自分達の扱いを考えあぐねているのだろう。
客人からの問いに侍女は緊張しながらも答えた。
「大切なお客様をお迎えするお部屋で御座います。
以前は柱や壁に宝石が散りばめられた豪華な部屋で御座いましたが、皇帝陛下・・・ファヴィリエ・ルカ様が即位された折に、“無駄”と仰せになり全ての装飾が取り外されました。
今では、ロンサンティエ伝統の壁紙のみを残しております。
“この部屋からは美しい宝樹が見えるのだから、それで良い。”
との事で御座います。」
侍女の丁寧な説明にフロドゥール国宰相ハル・シネイは頷いた。
「成程な。そうであったか。
実に素晴らしい部屋だ。」
思わず褒め称えたハル・シネイに国王レイド・フロドゥールの眉がピクリと動いた。
「取り外された宝石は如何されたのだろう?」
ワザと込み入った内容を問いかけた客人にも侍女は冷静だった。
「少しづつ売りに出し、その利益は帝国民に還元していると聞き及んでおります。
皇帝陛下が即位されてから、ロンサンティエ帝国には新たに様々な産業が生まれています。
その新しい産業に補填していると発表されました。」
侍女の言葉は宝樹を見つめていたレイド・フロドゥールに少しの動揺を与えた。
この数代に渡り、甘く見積もっても良い治世を行っていたとは思えないロンサンティエ帝国。
龍の恩恵にばかり頼り、周辺諸国から利益ばかりを貪り取る堕落した国・・・。
少なくともレイド・フロドゥールにとって、ロンサンティエ帝国は侮蔑に値する国であり、それが若き皇帝と変わったとて変化など起きるはずもないと思っていた。
しかし、どうやら新たな皇帝とやらは以前までの皇帝達と違って知能があるらしい。
皇帝が王宮の備品を売りに出す。
本来なら不名誉な話であるが、その全てを帝国民に還元していると思えば驚嘆するしかない。
国庫を傷つけずに国策の予算を確保する。
それは、どの国も頭を抱える重要な案件だった。
実直で素直。
そう称される若き皇帝ファヴィリエ・ルカ・・・。
龍の姫巫女を目当てにやってきたレイド・フロドゥールであったが、本来は皇帝にならないはずだった若者に初めて興味を持った。
「ふむ。」
誰に何を言うでもなくレイド・フロドゥールは頷いた。
派手で有名なロンサンティエ帝国の王宮は在らん限りの金銀と宝石を散りばめたド派手なものと思って来てみれば、とんだ肩透かしだった。
レイド・フロドゥールは窓から見える宝樹に視線を送った。
遠くで見るよりも光の玉が沢山群がっているのがよく分かる不思議な光景だった。
「侍女よ。
この部屋は貴賓をもてなす部屋なのか?」
振り返れば、宰相ハル・シネイが紅茶を振る舞う侍女に問いかけていた。
素朴・・・悪く言えば簡素にも見える部屋に自分達の扱いを考えあぐねているのだろう。
客人からの問いに侍女は緊張しながらも答えた。
「大切なお客様をお迎えするお部屋で御座います。
以前は柱や壁に宝石が散りばめられた豪華な部屋で御座いましたが、皇帝陛下・・・ファヴィリエ・ルカ様が即位された折に、“無駄”と仰せになり全ての装飾が取り外されました。
今では、ロンサンティエ伝統の壁紙のみを残しております。
“この部屋からは美しい宝樹が見えるのだから、それで良い。”
との事で御座います。」
侍女の丁寧な説明にフロドゥール国宰相ハル・シネイは頷いた。
「成程な。そうであったか。
実に素晴らしい部屋だ。」
思わず褒め称えたハル・シネイに国王レイド・フロドゥールの眉がピクリと動いた。
「取り外された宝石は如何されたのだろう?」
ワザと込み入った内容を問いかけた客人にも侍女は冷静だった。
「少しづつ売りに出し、その利益は帝国民に還元していると聞き及んでおります。
皇帝陛下が即位されてから、ロンサンティエ帝国には新たに様々な産業が生まれています。
その新しい産業に補填していると発表されました。」
侍女の言葉は宝樹を見つめていたレイド・フロドゥールに少しの動揺を与えた。
この数代に渡り、甘く見積もっても良い治世を行っていたとは思えないロンサンティエ帝国。
龍の恩恵にばかり頼り、周辺諸国から利益ばかりを貪り取る堕落した国・・・。
少なくともレイド・フロドゥールにとって、ロンサンティエ帝国は侮蔑に値する国であり、それが若き皇帝と変わったとて変化など起きるはずもないと思っていた。
しかし、どうやら新たな皇帝とやらは以前までの皇帝達と違って知能があるらしい。
皇帝が王宮の備品を売りに出す。
本来なら不名誉な話であるが、その全てを帝国民に還元していると思えば驚嘆するしかない。
国庫を傷つけずに国策の予算を確保する。
それは、どの国も頭を抱える重要な案件だった。
実直で素直。
そう称される若き皇帝ファヴィリエ・ルカ・・・。
龍の姫巫女を目当てにやってきたレイド・フロドゥールであったが、本来は皇帝にならないはずだった若者に初めて興味を持った。
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