【完結】元悪役令嬢は、最推しの旦那様と離縁したい

うり北 うりこ@ざまされ2巻発売中

文字の大きさ
5 / 5

番外編〜アルフレッドside〜

しおりを挟む
 
 カタリナがついに、俺の気持ちを受け入れてくれた。
 俺と一緒に生きていこうと決めてくれた。
 こんなに喜ばしいことはない。
 俺が好きなのはカタリナだけで、しきりにくっつけようとしてきたリリアンナ嬢はカタリナの友人だから無視できなかった。それだけだ。
 
 俺がカタリナと出会ったのは、十歳の時だった。その時は、キレイな子だとは思ったけど、特別な感情は抱かなかった。 
 婚約者になった時も、特に何か思うこともなく、強いて言えば、婚約者の顔が好みでラッキーだな……くらいなものだ。
 
 それが変わったのが、十四歳の頃。
 成長期が遅く、小柄だったことがコンプレックスだった俺に、カタリナは言ったのだ。 
「誰よりもアルフレッド様がかっこいいに、決まってるじゃないですか」と。
 あまりにも当たり前のように言うものだから、自分の耳を疑った。
 その頃から、以前よりも何となく、カタリナのそばにいるようになったのは、もしかしたら好きになりかかってたのかもしれない。
 
 実際、カタリナのそばは居心地がよかった。
 いつでも自分を肯定してくれる存在のありがたさを知った。
 背が伸びると、急に令嬢たちの態度が変わったが、カタリナだけは変わらなかった。
 背が低くても、高くても、俺が一番だと言ってくれた。
 
 年齢が大きくなるたびにのしかかってくる、公爵家の後継ぎとしての重圧。
 突然の父の死去による当主交代。
 まだ婚約者なのに、悲しみで動けない母の代わりに、カタリナが一緒に、必死になって公爵家を守ってくれた。
 何があっても、ずっとずっと、そばにいてくれた。
 
 それなのに、学園に入学した途端に、別の女とくっつけようとしてくるなんて、誰が信じられたと思う?
 頭がおかしくなりそうだった。
 俺は、カタリナのとなりに立つのが、俺以外になるなんて許せないし、その男をどんな手を使ってでも排除するのに、カタリナは俺の運命が別の人だと言う。
 そのくせ、変わらずに俺に接してくる。好きだとも言う。
 
 何度、閉じ込めてやろうかと思ったか。
 何度、その口を封じてやろうと思ったか。
 何度、リリアンナ嬢を消そうと思ったか。
 
 それを踏みとどまらせたのも、やっぱりカタリナだった。
 カタリナの信頼を壊すのが怖かった。
 怯えた目を向けられたら、狂ってしまうと思った。
 
 だから、静かに卒業を待った。
 卒業さえすれば、カタリナとの結婚が決まっていたから。
 子爵令嬢であるリリアンナ嬢との関係が途絶えると思っていたから。
 それなのに、卒業してもリリアンナ嬢はカタリナとの交流を続けようとした。
 
 邪魔な人間は多いが、その中でも特にリリアンナ嬢は、邪魔だった。
 だから、リリアンナ嬢から届いたカタリナ宛の手紙はすべて燃やした。
 リリアンナ嬢が屋敷うちの方に向かっているという情報が入れば、すぐにカタリナを連れて出かけた。
 
 本当は始末してしまいたかったけれど、カタリナを悲しませるわけにはいかないから、できなかった。
 両想いになった今でも、リリアンナ嬢の存在は邪魔でしかない。
 カタリナの瞳に映る人間は、少ない方がいい。特に、カタリナから好意を持たれている人間はいらない。
 
 ……そうだ。ロバートに王都ではなく第二都市のある地方で店を出させよう。
 そうすれば、リリアンナ嬢も必然的にカタリナのそばから消える。
 どうして、思いつかなかったのだろう。
 
 これで、カタリナに近づく人間をまたひとり減らせる。
 俺だけのカタリナに一歩近づく。
 カタリナ、ずっとずっとカタリナだけを見てるよ。
 愛しているよ。
 
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

〖完結〗愛しているから、あなたを愛していないフリをします。

藍川みいな
恋愛
ずっと大好きだった幼なじみの侯爵令息、ウォルシュ様。そんなウォルシュ様から、結婚をして欲しいと言われました。 但し、条件付きで。 「子を産めれば誰でもよかったのだが、やっぱり俺の事を分かってくれている君に頼みたい。愛のない結婚をしてくれ。」 彼は、私の気持ちを知りません。もしも、私が彼を愛している事を知られてしまったら捨てられてしまう。 だから、私は全力であなたを愛していないフリをします。 設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 全7話で完結になります。

俺の婚約者は悪役令嬢を辞めたかもしれない

ちくわ食べます
恋愛
王子である俺の婚約者は、打算的で、冷徹で、計算高い女だった。彼女は俗に言う悪役令嬢だ。言っておくけど、べつに好きで婚約したわけじゃない。伯爵令嬢だった彼女は、いつの間にか俺の婚約者になっていたのだ。 正直言って、俺は彼女が怖い。彼女と婚約破棄できないか策を巡らせているくらいだ。なのに、突然彼女は豹変した。一体、彼女に何があったのか? 俺はこっそり彼女を観察することにした

悪役令嬢だとわかったので身を引こうとしたところ、何故か溺愛されました。

香取鞠里
恋愛
公爵令嬢のマリエッタは、皇太子妃候補として育てられてきた。 皇太子殿下との仲はまずまずだったが、ある日、伝説の女神として現れたサクラに皇太子妃の座を奪われてしまう。 さらには、サクラの陰謀により、マリエッタは反逆罪により国外追放されて、のたれ死んでしまう。 しかし、死んだと思っていたのに、気づけばサクラが現れる二年前の16歳のある日の朝に戻っていた。 それは避けなければと別の行き方を探るが、なぜか殿下に一度目の人生の時以上に溺愛されてしまい……!?

余命僅かな大富豪を看取って、円満に未亡人になるはずでした

ぜんだ 夕里
恋愛
傾きかけた家を救うため、私が結んだのはあまりにも不謹慎な契約――余命いくばくもない大富豪の辺境伯様と結婚し、彼の最期を穏やかに看取ることで莫大な遺産を相続する、というものだった。 しかし、人の死を利用して富を得るなど不正義! そう考えた私が立てたのは、前代未聞の計画。 「そうだ、遺産が残らないくらい贅沢の限りを尽くしてもらえば、すべて丸く収まるじゃない!」

【本編完結】笑顔で離縁してください 〜貴方に恋をしてました〜

桜夜
恋愛
「旦那様、私と離縁してください!」 私は今までに見せたことがないような笑顔で旦那様に離縁を申し出た……。 私はアルメニア王国の第三王女でした。私には二人のお姉様がいます。一番目のエリーお姉様は頭脳明晰でお優しく、何をするにも完璧なお姉様でした。二番目のウルルお姉様はとても美しく皆の憧れの的で、ご結婚をされた今では社交界の女性達をまとめております。では三番目の私は……。 王族では国が豊かになると噂される瞳の色を持った平凡な女でした… そんな私の旦那様は騎士団長をしており女性からも人気のある公爵家の三男の方でした……。 平凡な私が彼の方の隣にいてもいいのでしょうか? なので離縁させていただけませんか? 旦那様も離縁した方が嬉しいですよね?だって……。 *小説家になろう、カクヨムにも投稿しています

逆行した悪女は婚約破棄を待ち望む~他の令嬢に夢中だったはずの婚約者の距離感がおかしいのですか!?

魚谷
恋愛
目が覚めると公爵令嬢オリヴィエは学生時代に逆行していた。 彼女は婚約者である王太子カリストに近づく伯爵令嬢ミリエルを妬み、毒殺を図るも失敗。 国外追放の系に処された。 そこで老商人に拾われ、世界中を見て回り、いかにそれまで自分の世界が狭かったのかを痛感する。 新しい人生がこのまま謳歌しようと思いきや、偶然滞在していた某国の動乱に巻き込まれて命を落としてしまう。 しかし次の瞬間、まるで夢から目覚めるように、オリヴィエは5年前──ミリエルの毒殺を図った学生時代まで時を遡っていた。 夢ではないことを確信したオリヴィエはやり直しを決意する。 ミリエルはもちろん、王太子カリストとも距離を取り、静かに生きる。 そして学校を卒業したら大陸中を巡る! そう胸に誓ったのも束の間、次々と押し寄せる問題に回帰前に習得した知識で対応していたら、 鬼のように恐ろしかったはずの王妃に気に入られ、回帰前はオリヴィエを疎ましく思っていたはずのカリストが少しずつ距離をつめてきて……? 「君を愛している」 一体なにがどうなってるの!?

【完結】悪役令嬢だったみたいなので婚約から回避してみた

22時完結
恋愛
春風に彩られた王国で、名門貴族ロゼリア家の娘ナタリアは、ある日見た悪夢によって人生が一変する。夢の中、彼女は「悪役令嬢」として婚約を破棄され、王国から追放される未来を目撃する。それを避けるため、彼女は最愛の王太子アレクサンダーから距離を置き、自らを守ろうとするが、彼の深い愛と執着が彼女の運命を変えていく。

記憶を無くした、悪役令嬢マリーの奇跡の愛

三色団子
恋愛
豪奢な天蓋付きベッドの中だった。薬品の匂いと、微かに薔薇の香りが混ざり合う、慣れない空間。 ​「……ここは?」 ​か細く漏れた声は、まるで他人のもののようだった。喉が渇いてたまらない。 ​顔を上げようとすると、ずきりとした痛みが後頭部を襲い、思わず呻く。その拍子に、自分の指先に視線が落ちた。驚くほどきめ細やかで、手入れの行き届いた指。まるで象牙細工のように完璧だが、酷く見覚えがない。 ​私は一体、誰なのだろう?

処理中です...