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番外編〜アルフレッドside〜
しおりを挟むカタリナがついに、俺の気持ちを受け入れてくれた。
俺と一緒に生きていこうと決めてくれた。
こんなに喜ばしいことはない。
俺が好きなのはカタリナだけで、しきりにくっつけようとしてきたリリアンナ嬢はカタリナの友人だから無視できなかった。それだけだ。
俺がカタリナと出会ったのは、十歳の時だった。その時は、キレイな子だとは思ったけど、特別な感情は抱かなかった。
婚約者になった時も、特に何か思うこともなく、強いて言えば、婚約者の顔が好みでラッキーだな……くらいなものだ。
それが変わったのが、十四歳の頃。
成長期が遅く、小柄だったことがコンプレックスだった俺に、カタリナは言ったのだ。
「誰よりもアルフレッド様がかっこいいに、決まってるじゃないですか」と。
あまりにも当たり前のように言うものだから、自分の耳を疑った。
その頃から、以前よりも何となく、カタリナのそばにいるようになったのは、もしかしたら好きになりかかってたのかもしれない。
実際、カタリナのそばは居心地がよかった。
いつでも自分を肯定してくれる存在のありがたさを知った。
背が伸びると、急に令嬢たちの態度が変わったが、カタリナだけは変わらなかった。
背が低くても、高くても、俺が一番だと言ってくれた。
年齢が大きくなるたびにのしかかってくる、公爵家の後継ぎとしての重圧。
突然の父の死去による当主交代。
まだ婚約者なのに、悲しみで動けない母の代わりに、カタリナが一緒に、必死になって公爵家を守ってくれた。
何があっても、ずっとずっと、そばにいてくれた。
それなのに、学園に入学した途端に、別の女とくっつけようとしてくるなんて、誰が信じられたと思う?
頭がおかしくなりそうだった。
俺は、カタリナのとなりに立つのが、俺以外になるなんて許せないし、その男をどんな手を使ってでも排除するのに、カタリナは俺の運命が別の人だと言う。
そのくせ、変わらずに俺に接してくる。好きだとも言う。
何度、閉じ込めてやろうかと思ったか。
何度、その口を封じてやろうと思ったか。
何度、リリアンナ嬢を消そうと思ったか。
それを踏みとどまらせたのも、やっぱりカタリナだった。
カタリナの信頼を壊すのが怖かった。
怯えた目を向けられたら、狂ってしまうと思った。
だから、静かに卒業を待った。
卒業さえすれば、カタリナとの結婚が決まっていたから。
子爵令嬢であるリリアンナ嬢との関係が途絶えると思っていたから。
それなのに、卒業してもリリアンナ嬢はカタリナとの交流を続けようとした。
邪魔な人間は多いが、その中でも特にリリアンナ嬢は、邪魔だった。
だから、リリアンナ嬢から届いたカタリナ宛の手紙はすべて燃やした。
リリアンナ嬢が屋敷の方に向かっているという情報が入れば、すぐにカタリナを連れて出かけた。
本当は始末してしまいたかったけれど、カタリナを悲しませるわけにはいかないから、できなかった。
両想いになった今でも、リリアンナ嬢の存在は邪魔でしかない。
カタリナの瞳に映る人間は、少ない方がいい。特に、カタリナから好意を持たれている人間はいらない。
……そうだ。ロバートに王都ではなく第二都市のある地方で店を出させよう。
そうすれば、リリアンナ嬢も必然的にカタリナのそばから消える。
どうして、思いつかなかったのだろう。
これで、カタリナに近づく人間をまたひとり減らせる。
俺だけのカタリナに一歩近づく。
カタリナ、ずっとずっとカタリナだけを見てるよ。
愛しているよ。
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