番なんて要らない

桜 晴樹

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気になるあいつ

気になるあいつ。でも嫌い14

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(なんだあいつなんだあいつー!)

拓人の余裕そうな笑みが、俺には恥ずかしいやら何やらで憤慨してしまう。
教室だから、暴れられない所為で、恥ずかしさの熱が冷めない。

(αって本当に何でもかんでも余裕だよな。)

本当は、αとかΩとかの概念が薄れてはいる。だけど、そうでもしないと、いつの間にか囲われるだろうという事が、前回のお出かけで分かった。
俺にとっては、恥ずかしい位の彼氏ぶりで、痒い所に手が届いて快適ではあったけれど、アレを感受してしまっては、駄目人間真っ逆さまだ。
そして、周りに良い彼氏アピールをしまくっている所為で、俺の逃げ場が少しずつ無くなっていく気がする。多分、気のせいでは無い。だって、俺が図書室にいようが、校庭にいても何処にいてもしまいには、何階のトイレにいる所まで突き止められているからだ。もうそれはストーカーだよ怖いよ。
でも、最近それが嫌じゃ無いのは、一緒にいるのを当たり前の様に、体と脳に染み込ませられているんだ。αだからレベルではない。ヤンデレレベルなんじゃ無いのか?
そうして、拓人の怖い所をあげていったら、まさかのヤンデレなのかもしれない事が判明した。

(そういえば、アイツって俺の事を見てる時、つねに笑顔ではあるけど目が笑っていない‥。なんか獲物を狙っている目をしてる‥。それってやっぱりヤンデレなんじゃ?)

ヤンデレって、一歩間違えたら悲劇しか生み出さないじゃ無いか。
ヤンデレの定義がどうなっているのかは置いて、俺の脳内が大変アレな方向に行っている中、時間が進み、いつの間にかの放課後になっていた。
最近は、拓人と一緒にいる事が増えた所為で、何時の間にか帰りも一緒になっている。
笑顔の拓人が、態々俺の席まで迎えに来る。

「あおい、帰ろう。」

何が楽しいのか分からないが、俺の手をとって、手の甲に口付けをした後、恋人繋ぎしながら歩く。
それが当たり前になっていた。自然とした動作で、なんで男の手を握って、嬉しそうにしているんだ。そんな拓人に、俺の動悸が可笑しいくらいに煩いんだが、考えてはいけない方にいきそうになる。
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