番なんて要らない

桜 晴樹

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気になるあいつ

気になるあいつ。でも嫌い19

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「うん、分かったよ。」

先程までは、俺が何を言っても聞かなかった瑠衣が、うん。と、一つ頷いて分かったという。
これには、俺だけではなく拓人も驚いた。

「瑠衣?」

少し、慎重な面持ちな拓人は、何を思っているのか、瑠衣も何を考えているのか、俺には分からない。もう帰っても良いだろうか。と、遠い目をしてしまう。

「うん、俺も優しいのは上辺だけの、何を考えてるのか分からん拓人は、番にはしたく無いわな。」

瑠衣は、何かを考えている顔をしていたが、もしかしなくても、自分に置き換えて考えてもいたのだろうか。
親友だろうに酷い言いようだ。
拓人も絶句している。

「‥そんなつまりは無いんだが‥。」

拓人は、ぽつりと呟いていた。
上辺だけの優しさでは無いのは、俺が知っている。だって拓人は誠心誠意、俺に尽くしてたもんな。ただ俺が嫌なだけで。そう思ったが黙った。

「だったらさ、あおいが付き合うのは俺にしない?」

手を叩いて、名案だとばかりに瑠衣は提案した。

「「はっ?」」

これには流石に、俺と拓人は綺麗にハモった。
何を言い出すのか分からないのが、瑠衣という人間かも知れない。
その時に、俺は初めて瑠衣をちゃんと見た。
そして、拓人の友人選びの人選に疑問を持った。

「というのは、冗談だから!拓人、睨むのをやめてよ。」

「お前な‥。言って良い冗談と悪い冗談があるからな。」

いつの間にか、拓人が瑠衣の胸倉を掴んで脅していた。
俺は、身動きが取れず固まったままだ。
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