番なんて要らない

桜 晴樹

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気になるあいつ

気になるあいつ。でも嫌い22

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「ひっ!」

耳元での囁きは危険だ。相手の魅力が増してる気がする。しかもここは人の往来が激しい駅の側。何が拓人の琴線に触れたのだろうか。手を握られ顔を上げられた。あ、キスされる?そう思った時には俺は手で防いでいた。

「そういえばっ!おれ、用事思い出したから!先帰ってて!」

「付き合うよ?」

笑顔で、手を恋人同士の様に握られる。俺は慌てるしか無い。

「いやいやいや!結構時間掛かるから迷惑かけるの気が引けるし!」

「大丈夫だよ。俺、気は長い方だし。何時でも待てるよ。」

顎に手を掛けて、クイッと上向かせられる。今日は一段と攻めてくるな。

「ほんと、勘弁して‥。」

羞恥心が上り過ぎて、震え出す俺に、拓人は俯いた。


「ぷっ。」

肩を震えて笑い出す。

「な、わらうな!」

「ふふっ。ごめん。こんな可愛い反応してくれるから調子に乗っちゃった。」

ぎゅっと抱き締めながら言う台詞では無い。そして、ここは往来、人の通りが激しい所だ。周りの人達の視線が痛い。

「も、離して‥。」

俺は、羞恥に耐えられなくなって、俯きながら訴える。

「‥残念、わかったよ。でも、あおいの事が心配だから着いて行くよ。」

拓人の本当に残念そうな声色に、俺は折れるしか無かった。

「わかった‥。」

特に行きたい所が有る訳では無く、拓人と別れる為に言った言葉が、自身の首を絞める事になるとは、自身に呆れながらも、折角の外出なので、最近気になってた本を買う為に本屋へと向かった。




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