番なんて要らない

桜 晴樹

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気になるあいつ

気になるアイツとオレ5

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そんな撮影会をしていたのも束の間、来客が訪れた。

「‥なにを‥やってるんだ‥。」

開口一番、そんな事を言ったのは、この場にいないはずの拓人だった。
そういえば、俺は拓人に会いたくて早退したんだった。
だが、今の拓人に声を掛ける勇気は無かった。
何故か暗雲立ち込める気配をしながら、拓人は部屋の入り口で、俺達の格好を一瞥していた。そうして、片手で頭を押さえた。

「え‥と、拓人さん?いらっしゃい?」

ミキちゃんが、恐る恐るだが、声を掛ける。拓人の今の雰囲気は、声をかけちゃダメなやつなのに、声を掛ける勇気があるとは尊敬する。俺は、拓人が怖くて修二さんを盾にして隅っこに避難していた。
そんな俺に、拓人は眼を眇める。
狙いを定められた様な感覚がするが、きっと気のせいだ。そんな俺に拓人は溜息をついた。

「まず、そうなった原因は‥なんとなく把握したが‥。」

なんとなく把握出来るのが凄いよ。把握しても意味不明ですよね。分かります。俺もどうして男3人が女装をして、女性2人に弄ばれるのか、分からないよ‥。
俺達は、苦笑いをする他無かった。

「まあ、せっかく来てくれたんだし?ゆっくりしていきなよ。」

待ってて。と、ミキちゃんが、拓人を呼び止めながら出て行った。
その間、お姉さま方は用事が出来たらしく、出て行った。それに修二さんは着いていく。玄関まで見送りに行ったのだろう。
2人だけになった俺達は、ミキちゃんと修二さんが戻るまで沈黙を貫いた。拓人がずっと睨んで怖くて喋れなかった。
皆、絶対に拓人が纏っている迫力に逃げたとしか思えない。
早く戻ってきてくれー。と、心で願っていたら、数分くらいしてから、修二さんとミキちゃんは戻ってきた。
そして、修二さんの格好は女装解除していた。俺も着替えに行けば良かった‥。
ミキちゃんは、まるでメイドさんの様にワゴンの上に人数分の紅茶を持ってきていた。
ミキちゃんがいた時は、まだお姉さま方がいたのに、お姉さま方の紅茶が無いのは何故なのか。そう思ってから、修二さんに聞いたのだろうけど、やはり気になり見ていたら、ミキちゃんと目があった。

「うちの姉達、拓人が苦手なんだよね‥。」

何かあったのか、聞きたい様な聞きたく無い様な‥。

「‥そうなんだ‥」

修二さんもミキちゃんの手伝いをし始める。ワゴンの上にある、お洒落な花柄のティーポットからティーカップに紅茶を注いで、テーブルに置いていく。人数分を同じ様に置いていく、2人のその所作は慣れていた。
そして、俺達は席に着いたが、拓人は立ったままだった。

「俺はあおいを迎えに来ただけだから。」

拓人は、椅子に座ることも無く、俺の手を取った。

「あはっ、知ってるよ。だって、呼んだの僕達だしね?」

ミキちゃんは、唇に人差し指を当てて、挑発的にウィンクをする。
女装しているせいか、悪い女主人に見えてしまう。いや、悪いメイドか?まあ、それは置いておこう。
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