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10月2日〜
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頑張る事は好きだ。その分自分に返ってくるしやり甲斐もある。勉強を頑張った結果今通っている進学校に入学できたし、メイクや流行を取り入れたファッションも勉強をして女磨きもかかさなかった結果、何人かの男の子に告白されるくらいの可愛さは手に入れられたんじゃないかと思う。
でも、男の子とは付き合ったりしたものの長続きはしなかった。私は非常に男運がないみたいだった。
ある男の子は二股をしていたし、別の男の子は体目的とわかるくらいグイグイ来られてその場から逃げ出したし、また別の男の子は付き合って数日後に「実はゲイなんだ」と告白された。そういうのは全く偏見はなかったけれど、付き合う前に言って欲しかった。そしたら付き合わなかったけれど…なら何故告白してきて付き合う事にしたんだって話だけど「好きな男の子に振り向いて欲しくて」と逆に私が相談に乗る感じで付き合っていた時より仲良くなってしまった。
「バイト始めようかなぁ…」
お弁当の卵焼きを箸でつまみながら目の前でクリームパンを食べているちさきちゃんに話しかける。ちさきちゃんは不思議そうな表情をした。
「急にどしたの?」
「彼氏にフラれたんだよ」
「えぇ!?彼氏って先月付き合い始めたって言ってた人!?もう別れちゃったの!?!?」
ちさきちゃんは目を大きくして驚いていた。
「ちょっと色々あってね…しばらくは恋愛とかいいやって思って。今更部活始めるのも遅いしだったらバイトかなって」
勉強や自分磨きを頑張ってきた高校生活は恋愛だけはうまくいかなくて、でもこのままじゃダメだと思って新しい事にチャレンジしてみようと思った。高校2年生の10月に部活を始める気にもならなくて、社会勉強にもなるとバイトを始めようかと思っていた。
「凪沙ってこんなに可愛いのにホント男運ないよね。だからって私も無いけどさ」と苦笑しながらミルクティーに口をつけていた。
「ちさきちゃんには亜紀ちゃんがいるじゃん」
「えっ!?亜紀は男じゃないよ!??」
ちさきちゃんには幼馴染の亜紀ちゃんっていう子がいる。私も友達だし今はクラスメイトでもある。
私は高校入学初日の登校中偶然2人の事を見かけた。
――あの2人も新入生なのかな?
私と同じ制服を着た女の子2人。眼鏡をかけて制服のネクタイもキュッと締めた真面目そうな子と髪を明るく染めて制服を着崩したギャルっぽい2人が仲良く話しながら登校していた。見た目が全然違う2人だけどとても仲が良さそうで、眼鏡の子はちょっと頬を朱色に染めつつギャルっぽい子はニカッと笑って人が良さそうな印象を受けた。
そのギャルっぽい子と同じクラスになった。
教室では眼鏡をかけたもう1人の子は居なくて、ギャルっぽい子は頬杖をついて窓の外をつまらなそうに眺めていた。
せっかく同じクラスになれたんだし、朝2人の楽しそうな様子をみてお友達になりたいと思って話しかけてみた。
――私、天城凪沙(あましろ なぎさ)っていうんだ。よろしくね?
あの時勇気を出して話しかけて良かったと、心から思っている。こうしてちさきちゃんとも亜紀ちゃんとも友達になれたし今では1番仲良くさせてもらっていると思っている。
でも、ちさきちゃんと亜紀ちゃんの関係には負ける。亜紀ちゃんがなんとなくちさきちゃんの事が好きなんだろうなって事は見ていたらわかった。登校初日以降も度々目撃はしていた。赤く染まった頬、ちさきちゃんの事を優しく見つめる瞳。あれはきっと恋している目だと私は思った。
なので登下校中に2人のことを見つけても私からは決して声をかけるような事はしなかった。
私の勝手なおせっかいかな?とは思うけど…
だからかな、恋愛って良いなって思ったのかも……優しく見つめあったり、お互いの事を理解して想い合ったり。
―そんな恋愛に憧れていた―
今の私じゃダメなら新しく何かを始めてみようと思った。それがバイトなんだけど…
あ!そうだ!とちさきちゃんがパンっと手を打った。クリームパンは食べ終わったらしい。
「知り合いがお店やっててそこバイト募集してたんだよね!喫茶店でさ、凪沙の可愛さなら即採用だよ!」
っとパチンと片目をつぶってウィンクしてくる。ギャルがやると似合う
「喫茶店のバイトかぁ…」
エプロンをつけてコーヒーを淹れたり?常連さんと楽しく会話したり?なんか良いかも…ちさきちゃんの知り合いなら安心だし。
「じゃぁ、お願いしちゃおうかな?」両手の指先を合わせてお願いポーズをする。
「OK!わかった!面接の日決まったら教えるね!」
――同じ週の日曜日。面接の日はすぐにやって来た。
特に何もいらないって言われたけどよかったのかな?履歴書とか必要なんじゃ…初めての面接、初めてのバイトちょっと緊張してきたかな…と胸の辺りをおさえる。ちゃんとした服装が良いだろうと思って、休日だけど制服を着てきた。濃紺のブレザーに白いシャツとネクタイ、スカートはチェックが入ったよくある高校の制服だ。
落ち着きなく歩いていると小さな看板が見えた。『喫茶みづき』ちさきちゃんから教えてもらった。喫茶店の名前がそこに書いてあった。
茶色い木の扉でレトロな印象をあたえる小さいお店だった。外から中の様子も伺えて4人掛けのテーブルが2つとカウンター席が5席ありお客さんはいないみたいだ。
カランカランと鐘の付いた木の扉を開けると、ふわふわとコーヒーの良い香りが漂ってくる。店員さんらしき人は見当たらず扉の前でキョロキョロしていると、奥の方から「いらっしゃいませ~」とふわりとした明るい声とパタパタと急ぎ気味な足音が近づいてきた。
カウンターの奥の部屋から超絶美人なお姉さんがあらわれた。お店のロゴの入った茶色のエプロンをつけて黒のスラックスを履いているお姉さんは、長い艶のある黒髪をポニーテールにして左右にサラサラと靡かせちょっと猫目の大きな黒い瞳がキラキラとこちらを見つめた。
「あ!その制服!ちさきちゃんのお友達の子?」
「……そ、そうです!バイトの面接で来ました」
あまりの綺麗なお姉さんだったのでつい見惚れてしまった。しっかりしないと!と思考を面接に切り替えるとまた緊張してきた気がする…ドキドキ…
「合格!いつから来れる?」猫目の黒い瞳を細めてニコニコと聞いてきた。
「……えっ!?あの、そんなにあっさり!?」まだ名前も名乗ってないのに…
「ちさきちゃんの友達の時点で断るつもりなかったし、こんな可愛い娘なら大歓迎よ」
お客さん誰もいないからテーブル席座って待っててというお姉さんの言葉で私は奥の4人掛けテーブルに座った。お姉さんはカウンターの奥でコーヒーを淹れてくれているのか、お店に入った時より強くコーヒーの香りが漂ってきていた。
「ミルクと砂糖も置いておくから好きに使ってね」と私の前に白いカップに入ったコーヒーを置いてくれる。ありがとうございますと言って、ブラックコーヒーが苦手な私はミルクと砂糖を多めに入れて飲む。美味しい…
お姉さんも向かいの席に対面で座る。お姉さんのコーヒーはブラックでそのまま飲んでいた。さすが大人の女性って感じでかっこいい。
これから喫茶店でお仕事していくならブラックが飲めるようになった方が良いのかもしれない。原産国とかコーヒーの味の違いとか……今の私はミルクと砂糖たっぷり入れているので味の違いなんてわからないし。
コーヒーを一口飲んでカップをテーブルに置いたお姉さんは襟を正すようにこちらを見据えて
「改めまして、ここの店長をしてます。悠木美月です。これからよろしくね?」と優しく微笑んだ。
「あ、はい!夕ヶ丘高校2年の天城凪沙です。よろしくお願いします」
肩に力が入ってたのか私の肩をぽんぽんと叩いて「そんなに緊張しなくて良いよ~」とフフと口に手を当てて微笑んだ。すごく絵になる人だと思う。
「ちさきちゃんからどんな子か聞いてたんだよね。すごく頑張り屋な可愛い子だって言ってたから楽しみにしてたの。今までいたバイトの子が急に辞めちゃって困ってたからすごく助かるんだ。明日からでもすぐに入ってもらいたいくらいなんだけど、どうかな?」
「はい。いつからでも大丈夫です!」
「ホント!?ありがとう!助かる~」
猫目な黒い瞳を細めてニッコリ笑う笑顔はどこかでみた事あるような気がした。
でも、男の子とは付き合ったりしたものの長続きはしなかった。私は非常に男運がないみたいだった。
ある男の子は二股をしていたし、別の男の子は体目的とわかるくらいグイグイ来られてその場から逃げ出したし、また別の男の子は付き合って数日後に「実はゲイなんだ」と告白された。そういうのは全く偏見はなかったけれど、付き合う前に言って欲しかった。そしたら付き合わなかったけれど…なら何故告白してきて付き合う事にしたんだって話だけど「好きな男の子に振り向いて欲しくて」と逆に私が相談に乗る感じで付き合っていた時より仲良くなってしまった。
「バイト始めようかなぁ…」
お弁当の卵焼きを箸でつまみながら目の前でクリームパンを食べているちさきちゃんに話しかける。ちさきちゃんは不思議そうな表情をした。
「急にどしたの?」
「彼氏にフラれたんだよ」
「えぇ!?彼氏って先月付き合い始めたって言ってた人!?もう別れちゃったの!?!?」
ちさきちゃんは目を大きくして驚いていた。
「ちょっと色々あってね…しばらくは恋愛とかいいやって思って。今更部活始めるのも遅いしだったらバイトかなって」
勉強や自分磨きを頑張ってきた高校生活は恋愛だけはうまくいかなくて、でもこのままじゃダメだと思って新しい事にチャレンジしてみようと思った。高校2年生の10月に部活を始める気にもならなくて、社会勉強にもなるとバイトを始めようかと思っていた。
「凪沙ってこんなに可愛いのにホント男運ないよね。だからって私も無いけどさ」と苦笑しながらミルクティーに口をつけていた。
「ちさきちゃんには亜紀ちゃんがいるじゃん」
「えっ!?亜紀は男じゃないよ!??」
ちさきちゃんには幼馴染の亜紀ちゃんっていう子がいる。私も友達だし今はクラスメイトでもある。
私は高校入学初日の登校中偶然2人の事を見かけた。
――あの2人も新入生なのかな?
私と同じ制服を着た女の子2人。眼鏡をかけて制服のネクタイもキュッと締めた真面目そうな子と髪を明るく染めて制服を着崩したギャルっぽい2人が仲良く話しながら登校していた。見た目が全然違う2人だけどとても仲が良さそうで、眼鏡の子はちょっと頬を朱色に染めつつギャルっぽい子はニカッと笑って人が良さそうな印象を受けた。
そのギャルっぽい子と同じクラスになった。
教室では眼鏡をかけたもう1人の子は居なくて、ギャルっぽい子は頬杖をついて窓の外をつまらなそうに眺めていた。
せっかく同じクラスになれたんだし、朝2人の楽しそうな様子をみてお友達になりたいと思って話しかけてみた。
――私、天城凪沙(あましろ なぎさ)っていうんだ。よろしくね?
あの時勇気を出して話しかけて良かったと、心から思っている。こうしてちさきちゃんとも亜紀ちゃんとも友達になれたし今では1番仲良くさせてもらっていると思っている。
でも、ちさきちゃんと亜紀ちゃんの関係には負ける。亜紀ちゃんがなんとなくちさきちゃんの事が好きなんだろうなって事は見ていたらわかった。登校初日以降も度々目撃はしていた。赤く染まった頬、ちさきちゃんの事を優しく見つめる瞳。あれはきっと恋している目だと私は思った。
なので登下校中に2人のことを見つけても私からは決して声をかけるような事はしなかった。
私の勝手なおせっかいかな?とは思うけど…
だからかな、恋愛って良いなって思ったのかも……優しく見つめあったり、お互いの事を理解して想い合ったり。
―そんな恋愛に憧れていた―
今の私じゃダメなら新しく何かを始めてみようと思った。それがバイトなんだけど…
あ!そうだ!とちさきちゃんがパンっと手を打った。クリームパンは食べ終わったらしい。
「知り合いがお店やっててそこバイト募集してたんだよね!喫茶店でさ、凪沙の可愛さなら即採用だよ!」
っとパチンと片目をつぶってウィンクしてくる。ギャルがやると似合う
「喫茶店のバイトかぁ…」
エプロンをつけてコーヒーを淹れたり?常連さんと楽しく会話したり?なんか良いかも…ちさきちゃんの知り合いなら安心だし。
「じゃぁ、お願いしちゃおうかな?」両手の指先を合わせてお願いポーズをする。
「OK!わかった!面接の日決まったら教えるね!」
――同じ週の日曜日。面接の日はすぐにやって来た。
特に何もいらないって言われたけどよかったのかな?履歴書とか必要なんじゃ…初めての面接、初めてのバイトちょっと緊張してきたかな…と胸の辺りをおさえる。ちゃんとした服装が良いだろうと思って、休日だけど制服を着てきた。濃紺のブレザーに白いシャツとネクタイ、スカートはチェックが入ったよくある高校の制服だ。
落ち着きなく歩いていると小さな看板が見えた。『喫茶みづき』ちさきちゃんから教えてもらった。喫茶店の名前がそこに書いてあった。
茶色い木の扉でレトロな印象をあたえる小さいお店だった。外から中の様子も伺えて4人掛けのテーブルが2つとカウンター席が5席ありお客さんはいないみたいだ。
カランカランと鐘の付いた木の扉を開けると、ふわふわとコーヒーの良い香りが漂ってくる。店員さんらしき人は見当たらず扉の前でキョロキョロしていると、奥の方から「いらっしゃいませ~」とふわりとした明るい声とパタパタと急ぎ気味な足音が近づいてきた。
カウンターの奥の部屋から超絶美人なお姉さんがあらわれた。お店のロゴの入った茶色のエプロンをつけて黒のスラックスを履いているお姉さんは、長い艶のある黒髪をポニーテールにして左右にサラサラと靡かせちょっと猫目の大きな黒い瞳がキラキラとこちらを見つめた。
「あ!その制服!ちさきちゃんのお友達の子?」
「……そ、そうです!バイトの面接で来ました」
あまりの綺麗なお姉さんだったのでつい見惚れてしまった。しっかりしないと!と思考を面接に切り替えるとまた緊張してきた気がする…ドキドキ…
「合格!いつから来れる?」猫目の黒い瞳を細めてニコニコと聞いてきた。
「……えっ!?あの、そんなにあっさり!?」まだ名前も名乗ってないのに…
「ちさきちゃんの友達の時点で断るつもりなかったし、こんな可愛い娘なら大歓迎よ」
お客さん誰もいないからテーブル席座って待っててというお姉さんの言葉で私は奥の4人掛けテーブルに座った。お姉さんはカウンターの奥でコーヒーを淹れてくれているのか、お店に入った時より強くコーヒーの香りが漂ってきていた。
「ミルクと砂糖も置いておくから好きに使ってね」と私の前に白いカップに入ったコーヒーを置いてくれる。ありがとうございますと言って、ブラックコーヒーが苦手な私はミルクと砂糖を多めに入れて飲む。美味しい…
お姉さんも向かいの席に対面で座る。お姉さんのコーヒーはブラックでそのまま飲んでいた。さすが大人の女性って感じでかっこいい。
これから喫茶店でお仕事していくならブラックが飲めるようになった方が良いのかもしれない。原産国とかコーヒーの味の違いとか……今の私はミルクと砂糖たっぷり入れているので味の違いなんてわからないし。
コーヒーを一口飲んでカップをテーブルに置いたお姉さんは襟を正すようにこちらを見据えて
「改めまして、ここの店長をしてます。悠木美月です。これからよろしくね?」と優しく微笑んだ。
「あ、はい!夕ヶ丘高校2年の天城凪沙です。よろしくお願いします」
肩に力が入ってたのか私の肩をぽんぽんと叩いて「そんなに緊張しなくて良いよ~」とフフと口に手を当てて微笑んだ。すごく絵になる人だと思う。
「ちさきちゃんからどんな子か聞いてたんだよね。すごく頑張り屋な可愛い子だって言ってたから楽しみにしてたの。今までいたバイトの子が急に辞めちゃって困ってたからすごく助かるんだ。明日からでもすぐに入ってもらいたいくらいなんだけど、どうかな?」
「はい。いつからでも大丈夫です!」
「ホント!?ありがとう!助かる~」
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