【本編完結】お互いを恋に落とす事をがんばる事になった

シャクガン

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10月13日(1)

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「ちさきちゃん!!」

私は亜紀ちゃんと2人で登校してきたちさきちゃんに詰め寄った。

「おはよー凪沙」
「あ、おはよう。ちさきちゃん亜紀ちゃん」
「おはよう凪沙さん」
ハッ、つい挨拶を返してしまった。いや、挨拶は大事だからそこはいい。

「じゃなくて!!ちさきちゃん知ってたでしょ!?なんで教えてくれなかったの!?」
「何が?」

ちさきちゃんは鞄を机の横に引っ掛けて席について振り返ってきた。

「美月さんが悠木さんのお母さんだって!」
「言ってなかったっけ?」

あまり気にした風でもなく答えてくる。なんでこうもみんな教えてくれないのか…

「言ってないよぉ!知り合いの喫茶店ってしか聞いてない」

ペシペシとちさきちゃんの肩を叩きながら不満を漏らす。

「うん。だから悠木涼が知り合いだからね」
「悠木さんと友達だったの?」
「私がって言うより、亜紀がね。その繋がりで仲良くなったっていうか。それで喫茶店にもお邪魔したりして店長とも知り合いなんだよね。」

亜紀ちゃん繋がりで悠木さんとも知り合いだなんて意外な繋がりだ。そもそも亜紀ちゃんと悠木さんってどういう関係なんだろう?

「あれ?もしかして亜紀ちゃんと悠木さんって…1年の時」
「そうそう!同じクラスで委員が一緒で話すようになったらしいよ」
「1年の時も図書委員だったっけ?」
「そうだよ。悠木涼も結構本読むみたいで話が合ったんだって。あたしは本とか読まないから同じ趣味の仲間が嬉しかったんじゃないかな?」

悠木さんも読書好き?休憩室では漫画を読もうとしてたのにそれも意外だと思う。悠木さんの事は噂で聞く程度でしか知らなかったし、あの時初めて話をしたからまだ何も知らないようなものだけど…
もう少しお喋りしようかと思ったけれどチャイムが鳴り先生が教室に入ってきてしまったので朝の雑談は終わった。


お昼休みは珍しく亜紀ちゃんとちさきちゃん3人で食べる事になった。珍しいのはいつもは亜紀ちゃんは別の友達と食べているので普段はちさきちゃんと2人で食べている事が多かったからだ。

私と亜紀ちゃんはお弁当でちさきちゃんはメロンパンだった。私のお弁当はいつも自分で作ってきていて昨日の残り物とか冷凍食品も使ったりするけど、学校ある日は毎日のように作っているのでお弁当は美味しく作れるようになってきたと思う。
朝作った卵焼きを一口食べてふとこの後の授業について思い出した。

「そういえばこの後のLHRは球技大会のチーム決めなんだって、何やるか決めた?」
「あー、女子はバレーボールとソフトボールで男子がバスケとサッカーだったっけ?」

10月の後半には球技大会が開催されて、バレーとソフトボールどちらも1チーム作ってクラス対抗で試合が行われる。どちらかには参加しなければならなかった。
運動は得意ってわけじゃないけど、外でやるソフトボールよりは室内のバレーボールの方が良いなぁ。日焼けしたくないし…

「私は外より体育館が良いからバレーボールにしようかな?2人は?」
「じゃぁ、あたしもバレーボールにしようかなぁ。亜紀もそれで良い?」
「ちさきがそれで良いなら」

2人が当たり前のように同じ種目を選んで、バレーが6人でソフトボールが9人だから~とか考えていると、お弁当のブロッコリーがケチャップまみれになっていた。いつの間に……
これはバイト先を紹介してくれたお礼として!お礼として!(決して朝の不満ではない)ちさきちゃんにケチャップまみれのブロッコリーを食べてもらおう!
ちさきちゃんにズイッとケチャップまみれのブロッコリーを差し出すと、ビックリしつつもパクッと食べてくれた。口元が笑っているので美味しかったのだろう、私はそのままおにぎりを食べすすめた。

「ちさきちゃんと亜紀ちゃんと私とあと3人でひとチームかな?被ったりしないと良いんだけど…」

せっかくなら3人一緒のチームになって勝ちたいし、きっと楽しい球技大会になると思う。
亜紀ちゃんがちさきちゃんの口の中に卵焼きを突っ込んでる。急な卵焼きにビックリしつつもちさきちゃんの口元が緩んだので美味しかったみたいだ。プチトマトも食べさせてあげたりして亜紀ちゃんはこうしてたまにちさきちゃんに対していたずらっ子のような事をしている。それを見るのが私は好きだったりする。ちさきちゃんには内緒だ。

先にお弁当を食べ終えて2人にトイレに行ってくるねと席を立って廊下に出た。
お昼休みも終わりに近づいていて教室以外で食べていたり、外で遊んでいたりした生徒たちが戻ってきたりしていて人の多い廊下を進んでいると、私が向かう先の職員室やトイレがある方から早足に歩いている2人の女生徒がいた。

「先生の話長すぎ!お弁当食べてる時間ないじゃん!」
「ゆっくり食べてる時間はないかもね」

短めの黒い髪を靡かせて急足で歩いている背が高い女の子が猫目な瞳をこちらに向けた。
悠木さんだ。もう1人も身長が高いけど知らない女の子だな。

「天城さん!」

ニコニコと目を細めてこっちに向かって来た。一緒にいた女の子も悠木さんと一緒についてきて、私より身長の高い2人に迫られると圧がすごい…

「やっぱり学校で会えたね!」
「そりゃ、同じ学年だしすれ違うくらいあると思うけど…」

そんなに嬉しいのか笑顔で言ってくる彼女は親しみやすい人柄なのだろう。

「えっ!?涼くんって天城さんと友達だったの!?」

友達から『涼くん』って呼ばれてるのか…確かに身長高いし顔が整ってるしイケメン寄りだから『くん』呼びが似合うとは思う。

「そう!ウチの喫茶店にアルバイトで入ったんだよ」
「何それ!天城さんのメイド姿めっちゃ見たい!行く!次いつバイトですか!?」

まだ名前も知らない子がグイグイくる……コミュ力高い
あと、メイド喫茶ではない。ただ地味なエプロンつけてバイトしてるだけなんだけど…

「えっと、今日バイトだよ」
「そうなんですね!じゃぁ、部活終わったら行きます!!」

グイグイくる圧に押される…凄い…陽キャってこういう子の事を言うんだろうか…

「ちょっと、天城さん困ってるって」

悠木さんが窘めてくれた。助かる

「あ、ごめんなさい!私涼くんのクラスメイトで同じバスケ部の山川結(やまかわ ゆい)って言います!天城さんに知り合えてめっちゃ嬉しいです!よろしくお願いします!」

素直に謝って頭を下げて全力でお願いされた。いい子っぽい…いや、この子すごくいい子だ!確信した!
私の事知ってるみたいだけど、やっぱり学校内の有名人ってホントなのだろうか…

「天城凪沙です。こちらこそよろしくね?」
「私のことは結って呼んでください!」
「じゃぁ、私の事は凪沙でいいよ。結ちゃん」

交友関係が広がるのは素直に嬉しいので結ちゃんと握手をすると顔を赤くしながら嬉しそうに微笑んでくれた。

「私のことは涼って呼んでよ。凪沙」

隣でやりとりを見ていた悠木さんが急に便乗してきて呼び捨てになった。別に良いんだけど、ちょっと頬を膨らませているような気がする…

「わかった。よろしくね!涼ちゃん!」
「う、うん…」

ちょっと照れたような表情をする涼ちゃんはイケメンなのに可愛いって思った。カッコカワイイってやつかな?

私は『くん』呼びではなく『ちゃん』にした。女の子にはみんな『ちゃん』呼びで呼んでいるので、悠木涼もイケメン寄りでみんなから『くん』呼びされていても女の子だし『ちゃん』呼びがいいと思った。

廊下で新たな交友関係が生まれていたら、チャイムが鳴った…
2人はお弁当食べる時間無くなった!って言いながら走って教室に戻って行った。
私もトイレ行く時間が無くなって仕方なく自分の教室に入ろうとすると『美味しかったよ!!』というちさきちゃんの叫び声が廊下まで響いてて亜紀ちゃんと何かあったんだろうなって思って笑った。


球技大会のチーム分けは滞りなく決まって無事に3人でバレーボールを選択できた。残り3人のメンバーも仲が良い3人組でお互いに「よろしくね!」と挨拶をして勝つぞー!おー‼︎!!!!みたいなやる気に満ち溢れてるメンバーになった。亜紀ちゃんはクールだったけど…
割とA組ってノリが良い子が多い。今年の球技大会は楽しくなりそうだ。
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