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10月13日(2)
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「凪沙ちゃんテーブル席にお願い」
今日も艶のある長い黒髪をポニーテールにした美月さんがコーヒーをカウンターに乗せて指示を出す。
「わかりましたー」私はすぐコーヒーをテーブル席に運んで「お待たせいたしました。」と笑顔で言い静かにテーブルに置いた。今はディナー帯も終わって割と落ち着いている時間帯だ。あと1時間ほどしたら私も上がりの時間になる。
「凪沙ちゃんもだいぶ慣れてきたね」
カウンターに座る常連のおじさんに話しかけられる。いつも同じ席で難しそうな本を読んでいる。今はアンチ・オイ―――ん?兎に角難しそうな本を読んでいる。
「ありがとうございます!みなさん優しい人ばかりなのですごく働きやすいですよ」
私は笑顔で答えた。
「ちさきちゃんには感謝だよ。こんな可愛くていい子を紹介してくれたんだもん。今度来た時にはコーヒーとケーキをご馳走しなきゃ」
美月さんは目を細めて話に加わってきた。調理の方も落ち着いたらしい。片付けをしながら常連さんとお話を始めた。私も席の片付けや補充を行なっていく。
「こんにちはーーー!!」
扉についた鐘より先に元気な挨拶が店内に響き渡った。
「あ、いらっしゃいませ結ちゃん」
「凪沙ちゃんのエプロン姿可愛い!!写真撮って良い!?あ、ツーショットも撮りたい!」
相変わらずグイグイくる子でちょっとびっくりしてしまう。私が返答に困っていると結ちゃんの後ろから涼ちゃんが現れた。
「結、ここメイド喫茶じゃないから写真とか仕事中はダメでしょ。」
「えーーじゃぁ、あとで隠し撮りさせてね」
私の側によってこそっと言ってくる。言ったら隠し撮りじゃないよね?正直でいい子だけど!
「結ちゃんいらっしゃい。涼もおかえりー」
「ただいま。結が凪沙の働いてるところ見たいって付き添いで来た。」
涼ちゃんは空いているテーブル席に大きいリュックサックを置いて席に着く。結ちゃんも向かいに座って私に手招きした。
「凪沙ちゃん、こっち隣どうぞ」
結ちゃんは自分が座ってるソファの隣をポンポンと叩いて私を呼ぶ。
「結ちゃんまだ私仕事中だからね?ご注文お願いします」
微笑みながら結ちゃんに言うと
「凪沙ちゃん可愛すぎ!!毎日通いたい!カフェラテください!!」
私への褒め言葉と自分の願望と注文を叫んだ。ちゃんと注文を言ってくれるあたりやっぱりいい子だった。私はクスクス笑って向かいに座る涼ちゃんへ視線を向けた。
「涼ちゃんは何にしますか?」
涼ちゃんは私をジッと見ていたけど、ハッとしたような表情をしたあと「ブレンドで」と笑顔で答えてくれた。
私は美月さんにオーダーを通して片付けの続きする。
バシャシャシャシャシャ…………
すごく連写音が聞こえる…
これ全然隠れてないよね。スマホのカメラをこっちに向けて堂々と写真を撮りまくっている結ちゃんを見ると「こっち見たー」と喜びながら連写している…涼ちゃんは呆れ気味に「結、うるさい」と結ちゃんの様子を見ていた。
「カフェラテとブレンド凪沙ちゃんよろしくね~」
「はいー」
結ちゃんの前にカフェラテ、涼ちゃんの前にブレンドを置いて「お待たせいたしました。ごゆっくり」とにこやかに言うと、スマホのカメラをずっとこちらに向けている結ちゃん。連写音が聞こえないけど…
「結ちゃん?」
口の端がちょっと引き攣ってる気がするけど笑顔で結ちゃんの方を見る。
「凪沙ちゃん可愛い………」返事がおかしいよ?
「もしかして動画で撮ってる?」
「はい!涼くんに怒られちゃったので」
てへっと舌をちょっと出して反省の色を出してる。
なんか違う気がするけど…素直に従っているみたいだった。
結ちゃんが「凪沙ちゃんが出してくれたカフェラテ美味しい…」と呟いきながら飲んでたけど、淹れたのは美月さんなので私はホントにテーブルに置いただけで味は同じはずなんだけど…
向かいで涼ちゃんは文庫本を読みながらブレンドをブラックでそのまま飲んでいた。
カッコいい…やっぱりブラックコーヒー飲めるようになろうかな?働き始めにちょっとブラックコーヒーを飲ませてもらったけど、私にはまだ早かったのかあの苦味が苦手だった。
「あ、私帰らないと!――ご馳走様でした!」
しばらくカフェラテを飲みつつ携帯を見てニヤニヤ「可愛い…可愛い…」と呟いていた結ちゃんは時計を見て慌ててお会計をして帰って行った。今日初めて話した結ちゃんは嵐のような子で決して悪い子ではないとわかった。
「凪沙ちゃんも上がっていいわよー」
キッチンで洗い物をしていた美月さんに言われ時計を見ると上がる時間になっていた。休憩室でエプロンを取り学校の制服に着替えて美月さんに「お先に失礼します」と挨拶をしてお店を出ようとする。
「駅まで送っていくよ」
テーブル席にいた涼ちゃんが立ち上がってついてきた。
「大丈夫だよ。いつもこの時間に帰ってるし」
「外暗いから危ないでしょ」
「それなら涼ちゃんだって帰り危ないでしょ?」
「凪沙ちゃん送ってもらいなさいよ。凪沙ちゃん可愛いからいつも心配だったのよ。涼なら大丈夫!たまに男に間違われるくらいだから誰も襲わないって」
「母さん余計な事言わないで」
涼ちゃんは美月さんをちょっと睨んでからこちらに向き直って「母さんもああ言ってるしいいでしょ?」と微笑みながら言ってきた。まぁ、そこまで言われたら断るのも悪いので駅まで送ってもらうことにした。
今日も艶のある長い黒髪をポニーテールにした美月さんがコーヒーをカウンターに乗せて指示を出す。
「わかりましたー」私はすぐコーヒーをテーブル席に運んで「お待たせいたしました。」と笑顔で言い静かにテーブルに置いた。今はディナー帯も終わって割と落ち着いている時間帯だ。あと1時間ほどしたら私も上がりの時間になる。
「凪沙ちゃんもだいぶ慣れてきたね」
カウンターに座る常連のおじさんに話しかけられる。いつも同じ席で難しそうな本を読んでいる。今はアンチ・オイ―――ん?兎に角難しそうな本を読んでいる。
「ありがとうございます!みなさん優しい人ばかりなのですごく働きやすいですよ」
私は笑顔で答えた。
「ちさきちゃんには感謝だよ。こんな可愛くていい子を紹介してくれたんだもん。今度来た時にはコーヒーとケーキをご馳走しなきゃ」
美月さんは目を細めて話に加わってきた。調理の方も落ち着いたらしい。片付けをしながら常連さんとお話を始めた。私も席の片付けや補充を行なっていく。
「こんにちはーーー!!」
扉についた鐘より先に元気な挨拶が店内に響き渡った。
「あ、いらっしゃいませ結ちゃん」
「凪沙ちゃんのエプロン姿可愛い!!写真撮って良い!?あ、ツーショットも撮りたい!」
相変わらずグイグイくる子でちょっとびっくりしてしまう。私が返答に困っていると結ちゃんの後ろから涼ちゃんが現れた。
「結、ここメイド喫茶じゃないから写真とか仕事中はダメでしょ。」
「えーーじゃぁ、あとで隠し撮りさせてね」
私の側によってこそっと言ってくる。言ったら隠し撮りじゃないよね?正直でいい子だけど!
「結ちゃんいらっしゃい。涼もおかえりー」
「ただいま。結が凪沙の働いてるところ見たいって付き添いで来た。」
涼ちゃんは空いているテーブル席に大きいリュックサックを置いて席に着く。結ちゃんも向かいに座って私に手招きした。
「凪沙ちゃん、こっち隣どうぞ」
結ちゃんは自分が座ってるソファの隣をポンポンと叩いて私を呼ぶ。
「結ちゃんまだ私仕事中だからね?ご注文お願いします」
微笑みながら結ちゃんに言うと
「凪沙ちゃん可愛すぎ!!毎日通いたい!カフェラテください!!」
私への褒め言葉と自分の願望と注文を叫んだ。ちゃんと注文を言ってくれるあたりやっぱりいい子だった。私はクスクス笑って向かいに座る涼ちゃんへ視線を向けた。
「涼ちゃんは何にしますか?」
涼ちゃんは私をジッと見ていたけど、ハッとしたような表情をしたあと「ブレンドで」と笑顔で答えてくれた。
私は美月さんにオーダーを通して片付けの続きする。
バシャシャシャシャシャ…………
すごく連写音が聞こえる…
これ全然隠れてないよね。スマホのカメラをこっちに向けて堂々と写真を撮りまくっている結ちゃんを見ると「こっち見たー」と喜びながら連写している…涼ちゃんは呆れ気味に「結、うるさい」と結ちゃんの様子を見ていた。
「カフェラテとブレンド凪沙ちゃんよろしくね~」
「はいー」
結ちゃんの前にカフェラテ、涼ちゃんの前にブレンドを置いて「お待たせいたしました。ごゆっくり」とにこやかに言うと、スマホのカメラをずっとこちらに向けている結ちゃん。連写音が聞こえないけど…
「結ちゃん?」
口の端がちょっと引き攣ってる気がするけど笑顔で結ちゃんの方を見る。
「凪沙ちゃん可愛い………」返事がおかしいよ?
「もしかして動画で撮ってる?」
「はい!涼くんに怒られちゃったので」
てへっと舌をちょっと出して反省の色を出してる。
なんか違う気がするけど…素直に従っているみたいだった。
結ちゃんが「凪沙ちゃんが出してくれたカフェラテ美味しい…」と呟いきながら飲んでたけど、淹れたのは美月さんなので私はホントにテーブルに置いただけで味は同じはずなんだけど…
向かいで涼ちゃんは文庫本を読みながらブレンドをブラックでそのまま飲んでいた。
カッコいい…やっぱりブラックコーヒー飲めるようになろうかな?働き始めにちょっとブラックコーヒーを飲ませてもらったけど、私にはまだ早かったのかあの苦味が苦手だった。
「あ、私帰らないと!――ご馳走様でした!」
しばらくカフェラテを飲みつつ携帯を見てニヤニヤ「可愛い…可愛い…」と呟いていた結ちゃんは時計を見て慌ててお会計をして帰って行った。今日初めて話した結ちゃんは嵐のような子で決して悪い子ではないとわかった。
「凪沙ちゃんも上がっていいわよー」
キッチンで洗い物をしていた美月さんに言われ時計を見ると上がる時間になっていた。休憩室でエプロンを取り学校の制服に着替えて美月さんに「お先に失礼します」と挨拶をしてお店を出ようとする。
「駅まで送っていくよ」
テーブル席にいた涼ちゃんが立ち上がってついてきた。
「大丈夫だよ。いつもこの時間に帰ってるし」
「外暗いから危ないでしょ」
「それなら涼ちゃんだって帰り危ないでしょ?」
「凪沙ちゃん送ってもらいなさいよ。凪沙ちゃん可愛いからいつも心配だったのよ。涼なら大丈夫!たまに男に間違われるくらいだから誰も襲わないって」
「母さん余計な事言わないで」
涼ちゃんは美月さんをちょっと睨んでからこちらに向き直って「母さんもああ言ってるしいいでしょ?」と微笑みながら言ってきた。まぁ、そこまで言われたら断るのも悪いので駅まで送ってもらうことにした。
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