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10月13日(3)
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外はすっかり冷えてきていて秋夜を強めていた。喫茶店から駅までは少し距離があるけど人通りがある明るい道を2人並んで歩く。隣の涼ちゃんは部活終わりだからか学校のジャージ姿で歩いていた。
「ちゃんと話してみたかったんだよね」
涼ちゃんがちらっとこっちを見て話し出した。確かに以前喫茶店で会った時も部活だからってすぐ出ていっちゃったし、今日学校で会ったときもチャイムが鳴ってゆっくり話す機会がなかった。噂話程度しか涼ちゃんの事を知らないし私もゆっくり話してみたかった。
「私も涼ちゃんと色々お話ししてみたいかも。ちさきちゃんから話は聞いたことあるけど、他の人の視点と私の視点じゃ見えるものも変わってくるだろうから」
「そうだね。私も凪沙の話は色んなところから聞くことはあるけど、ちゃんと本人と話さないとわからない事も多いと思うんだ」
噂話とか人伝いの話は真実じゃないことも多くあるし、良くない噂だってあるはずなのだ。今後バイトを続けるなら涼ちゃんとも関わることも増えていくだろうし、知り合いから友人へと変化もしていくだろうから涼ちゃんとゆっくり話すのは必要だと思う。
「いいよぉ~なんでも聞いて!」
涼ちゃんは身長が高いので見上げる形で笑いかける。私の方を見ていた涼ちゃんは顎に手を当てて少し考える素振りを見せて口を開いた。
「来年は受験生なのに、なんでバイト始めたの?」
うっ…そうだよね…最初に聞いてくる質問としては妥当だけど、『彼氏にフラれて次の恋じゃなく新しく何かを始めたかった』これが真実。でも、私はもう一つの真実を口にする。
「しゃ、社会勉強のためかな…」
ちょっとしどろもどろになったような気がするけど、こっちだって真実だ。
「高坂が『凪沙フラれてバイトするって言ってたから涼くんの喫茶店勧めといたからよろしく~』って言ってた」
「ちさき何言ってんの!?!?」
あ、つい呼び捨てにしてしまった。
ちなみに高坂(こうさか)って言うのはちさきちゃんの苗字だ。亜紀ちゃんは東雲(しののめ)です。
涼ちゃんのお母さん美月さんのお店で働かせてもらってるわけだし、もう知ってるなら正直に話すしかない…
「そうだね。彼氏にフラれてバイトをしようと思ったのは本当だよ。私男運ないみたいで付き合っても長続きしないんだよね。だから、しばらくは恋愛とかしないで別の新しい事を始めようと思ったのがキッカケかな」
「凪沙ってモテるもんね。試験の成績も良くて学校一可愛いから毎日色んな人から告白されてるって聞いた」
「流石に毎日なんて告白されてないよ。でも、勉強も自分磨きも頑張ってるからそこを評価される噂は嬉しいかな」
赤信号で止まる。行き交う車のヘッドライトの灯りで辺りが明るく照らされる。この信号を超えた先に駅が見える色んな人が歩いている。仕事帰りの人、学校の制服を来た学生、仲良く手を繋いでいるカップル。私はカップルには上手くなれなかっただけの話だ。いつかまた頑張れば良い相手が見つかるはずの話。それが今じゃなかっただけだ。
「そういう涼ちゃんも結構モテるでしょ?試験も上位にいるよね?運動もできてかっこいいし!」
「うーん。そうだね。女の子から告白されることはたまにあるかな」
「あ、やっぱり女の子から告白されるんだ!イケメンだもんね~じゃぁ、今は恋人とかいるの?」
「いないよ。やっぱり本気で好きになった相手と付き合いたいって思ってるから」
信号が青に変わって駅に向かって横断歩道を2人で渡る。
「そっか~お互い良い相手が見つかるといいねぇ~」
「そうだね」
お互い微笑みながら歩みを進める。もうすぐ駅に着く、少しはお互いのことがわかったような気がするけど、もっと話していたいとも思う。
「涼ちゃんって勉強も部活も頑張ってて努力家だよね」
「………いや、私って頑張るの嫌いなんだよね」
「……え?」
横断歩道を渡り切って思わず足を止める。
一歩先を行った涼ちゃんが振り返って猫目な瞳が私を見つめてくる。
「部活は体を動かすのが好きでやってるだけだし、勉強も本を読んだり暇な時に机に向かってたら自然とできるようになってただけっていうか…でもさ、結局今バスケ頑張ったところでプロになれるわけじゃないし、勉強頑張ったところで○京大学みたいな学校に入れるわけじゃないじゃん。自分の実力なんて限界があるんだよ…」
「頑張るだけ無駄」
そう言った涼ちゃんは駅の方を見て辛そうに顔を顰めていた。
私は努力をすることが好きだ。自分のためになるしやり甲斐もあるから…頑張ったらちゃんと結果として出てくれるから…高校も自分磨きも頑張ったから今がある。恋愛は男運がないだけで何は良い相手が見つかるって…
私は何も言えず駅まで2人とも口を開かなかった「じゃあね」と言って涼ちゃんと別れて家に向かう電車に乗った。
「ちゃんと話してみたかったんだよね」
涼ちゃんがちらっとこっちを見て話し出した。確かに以前喫茶店で会った時も部活だからってすぐ出ていっちゃったし、今日学校で会ったときもチャイムが鳴ってゆっくり話す機会がなかった。噂話程度しか涼ちゃんの事を知らないし私もゆっくり話してみたかった。
「私も涼ちゃんと色々お話ししてみたいかも。ちさきちゃんから話は聞いたことあるけど、他の人の視点と私の視点じゃ見えるものも変わってくるだろうから」
「そうだね。私も凪沙の話は色んなところから聞くことはあるけど、ちゃんと本人と話さないとわからない事も多いと思うんだ」
噂話とか人伝いの話は真実じゃないことも多くあるし、良くない噂だってあるはずなのだ。今後バイトを続けるなら涼ちゃんとも関わることも増えていくだろうし、知り合いから友人へと変化もしていくだろうから涼ちゃんとゆっくり話すのは必要だと思う。
「いいよぉ~なんでも聞いて!」
涼ちゃんは身長が高いので見上げる形で笑いかける。私の方を見ていた涼ちゃんは顎に手を当てて少し考える素振りを見せて口を開いた。
「来年は受験生なのに、なんでバイト始めたの?」
うっ…そうだよね…最初に聞いてくる質問としては妥当だけど、『彼氏にフラれて次の恋じゃなく新しく何かを始めたかった』これが真実。でも、私はもう一つの真実を口にする。
「しゃ、社会勉強のためかな…」
ちょっとしどろもどろになったような気がするけど、こっちだって真実だ。
「高坂が『凪沙フラれてバイトするって言ってたから涼くんの喫茶店勧めといたからよろしく~』って言ってた」
「ちさき何言ってんの!?!?」
あ、つい呼び捨てにしてしまった。
ちなみに高坂(こうさか)って言うのはちさきちゃんの苗字だ。亜紀ちゃんは東雲(しののめ)です。
涼ちゃんのお母さん美月さんのお店で働かせてもらってるわけだし、もう知ってるなら正直に話すしかない…
「そうだね。彼氏にフラれてバイトをしようと思ったのは本当だよ。私男運ないみたいで付き合っても長続きしないんだよね。だから、しばらくは恋愛とかしないで別の新しい事を始めようと思ったのがキッカケかな」
「凪沙ってモテるもんね。試験の成績も良くて学校一可愛いから毎日色んな人から告白されてるって聞いた」
「流石に毎日なんて告白されてないよ。でも、勉強も自分磨きも頑張ってるからそこを評価される噂は嬉しいかな」
赤信号で止まる。行き交う車のヘッドライトの灯りで辺りが明るく照らされる。この信号を超えた先に駅が見える色んな人が歩いている。仕事帰りの人、学校の制服を来た学生、仲良く手を繋いでいるカップル。私はカップルには上手くなれなかっただけの話だ。いつかまた頑張れば良い相手が見つかるはずの話。それが今じゃなかっただけだ。
「そういう涼ちゃんも結構モテるでしょ?試験も上位にいるよね?運動もできてかっこいいし!」
「うーん。そうだね。女の子から告白されることはたまにあるかな」
「あ、やっぱり女の子から告白されるんだ!イケメンだもんね~じゃぁ、今は恋人とかいるの?」
「いないよ。やっぱり本気で好きになった相手と付き合いたいって思ってるから」
信号が青に変わって駅に向かって横断歩道を2人で渡る。
「そっか~お互い良い相手が見つかるといいねぇ~」
「そうだね」
お互い微笑みながら歩みを進める。もうすぐ駅に着く、少しはお互いのことがわかったような気がするけど、もっと話していたいとも思う。
「涼ちゃんって勉強も部活も頑張ってて努力家だよね」
「………いや、私って頑張るの嫌いなんだよね」
「……え?」
横断歩道を渡り切って思わず足を止める。
一歩先を行った涼ちゃんが振り返って猫目な瞳が私を見つめてくる。
「部活は体を動かすのが好きでやってるだけだし、勉強も本を読んだり暇な時に机に向かってたら自然とできるようになってただけっていうか…でもさ、結局今バスケ頑張ったところでプロになれるわけじゃないし、勉強頑張ったところで○京大学みたいな学校に入れるわけじゃないじゃん。自分の実力なんて限界があるんだよ…」
「頑張るだけ無駄」
そう言った涼ちゃんは駅の方を見て辛そうに顔を顰めていた。
私は努力をすることが好きだ。自分のためになるしやり甲斐もあるから…頑張ったらちゃんと結果として出てくれるから…高校も自分磨きも頑張ったから今がある。恋愛は男運がないだけで何は良い相手が見つかるって…
私は何も言えず駅まで2人とも口を開かなかった「じゃあね」と言って涼ちゃんと別れて家に向かう電車に乗った。
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