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12月30日(4)
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「ホント涼って凪沙ちゃんの事好きなのね?」
「好きだけど」
クスクスと笑いながら言った美月さんに涼ちゃんはハッキリと答える。
自分の母親にそんなハッキリと好きな人の事を好きと言えちゃう涼ちゃんに逆に私が恥ずかしくなってくる。顔が熱くなってパタパタと手で仰いだ。
「凪沙ちゃん。涼の事よろしくね?何かあれば私が叱り飛ばしてあげるから」
「いえ、そういうのは今のところなくて……それに涼ちゃんは私の事すごく想ってくれているんだなって感じるので、私が嫌がるようなことは多分してこないと思う…し……私も涼ちゃんの事をもっと知りたいなって思いました……」
指先を弄びながら私が今思っている事を素直に話した。何も反応がなくて、なんか変なこと言っちゃったかもと思い、2人のことを見ると美月さんは目を丸くしてパチパチと瞬きしていた。
涼ちゃんもなんだか顔が赤くなって目を丸くしている。親子だなってわかるくらい同じような反応をしていた。
「初々しくていいねぇ。ホント良い子だわ凪沙ちゃん。涼!大事にしなさいよ」
「わかってるよ」
顔を赤くしたまま涼ちゃんはハンバーグを一口食べてご飯を口いっぱいにして食べた。
「ねぇ。本当に帰っちゃうの?」
私はバックを肩にかけて玄関で靴を履いた。
後ろから涼ちゃんが非常に寂しそうな声で訴えてくる。
「うん。そういう約束だしね?」
結ちゃんとの勝負に負けた涼ちゃんは勝ったらお泊まり会というご褒美?が無くなったので、今日は家に帰るつもりだ。
それに年末という忙しい時に泊まるのは気が引けるというのもある。
涼ちゃんははぁ…とため息をついた。勝負に負けたのは自分だしなっと言った具合だろう。
「涼、あまり無理言ったらダメだからね?凪沙ちゃんまたいつでもおいで、またご馳走作るから」
「はい。今日はご馳走様でした」
美月さんに頭を下げてドアノブに手をかけると「待って待って!」と涼ちゃんが慌てて上着を取ってくる。
「家まで送るから」
「ありがと」
駅までじゃなく家まで。あの後から涼ちゃんは必ず私を家まで送る。心配なのはわかるし、もし逆の立場だったら私も心配できっと家まで送っていくだろうから。
「じゃ、行ってくる」
「じゃあね。凪沙ちゃん。隣のオオカミに気をつけてね。あと良いお年を」
「はい。美月さんも良いお年を」
年末の気温はかなり冷え込んでいた。
「さむっ」
上着を羽織っただけの涼ちゃんが首をすくめながらポケットに手を突っ込んでいる。
片方のポケットには私の手も一緒にお邪魔をさせてもらっている。
「明日は何して過ごすの?」
鼻の頭を赤くした涼ちゃんがずずっと鼻を啜りながら聞いてきた。
「明日は家の手伝いかな?色々作るよ。お雑煮だったり、お蕎麦だったり。おせちは流石に作らないけど、買ってきたやつをみんなで食べるかな?」
「美味しそうだね」
「美月さんも料理上手だから美味しいの作ってくれたり、涼ちゃんが作ったりしないの?」
「私は全然作れないよ。母さんはおしるこ作ってくれたりするけど、2人だからね。お蕎麦食べて終わりかな」
「おしるこも美味しそうだね」
「うん。えっと、電話していい?」
なんの電話だろう?と首を傾げると「かわい……」と小さく呟いた。え?今?
「年越しの時!凪沙の声聞きながら年越ししたいなって」
「あー。カップルがやってそうなやつ!」
「え?あ、そうだけど……なんか、はず……」
涼ちゃんが恥ずかしそうにちょっと鼻をかいた。
一緒に過ごせないカップルは電話をしながら年越ししたりしているイメージがある。勝手なイメージだけど、他のカップルはどうんな過ごし方をしているんだろう。
亜紀ちゃんとちさきちゃんは……幼馴染だし電話しながら年越しとかはしないかな?
「あと、初詣行きたい」
「1日?すごく混んでそうだけど……」
「並ぶの嫌?人混み苦手?」
「ううん。大丈夫だよ?1日行く?」
涼ちゃんは嬉しそうにコクコクと頷いた。
「本当はね。凪沙に会いたいだけ。凪沙と一緒なら並ぶのも苦じゃないよ」
付き合い出してからの涼ちゃんはハッキリと好意を伝えてくる。
その好意に私はちゃんと返せているんだろうか。もらってばかりではきっとバランスを崩してしまうのではないだろうか。
崩れたバランスはきっと綺麗には元に戻れなくなって、すぐ崩れてしまう。
私もハッキリと涼ちゃんに好意を伝えられるようにしたい。
でも、なんて言えばいいのかわからなくてコレしか出てこなかった。
「好きだよ。涼ちゃん」
涼ちゃんの足が止まった。
繋いでいた手が引っ張られるようにして私も足を止める。
急に止まった涼ちゃんを不思議に思い振り返れば、顔を真っ赤にして驚いた様子をしている。
顔が赤いのは寒さのせいかもしれないけど……
「ホント……そういうとこ……急にくるんだよなぁ」
片手で顔を隠したと思ったら、前髪を掻き上げて私を見つめる。
一瞬だった。
繋いでいた手を急に引かれて、片手で顎を持ち上げるようにして上を向かされたと思ったら、唇に柔らかい感触が伝わってすぐに離された。
近くで黒い瞳が私と目が合った。
「私の方が好きだよ」
「きゅ、急にくるなぁ………」
「これでおあいこでしょ」
涼ちゃんはクスクスと笑った。
それにココ、改札前なんですけど………
「好きだけど」
クスクスと笑いながら言った美月さんに涼ちゃんはハッキリと答える。
自分の母親にそんなハッキリと好きな人の事を好きと言えちゃう涼ちゃんに逆に私が恥ずかしくなってくる。顔が熱くなってパタパタと手で仰いだ。
「凪沙ちゃん。涼の事よろしくね?何かあれば私が叱り飛ばしてあげるから」
「いえ、そういうのは今のところなくて……それに涼ちゃんは私の事すごく想ってくれているんだなって感じるので、私が嫌がるようなことは多分してこないと思う…し……私も涼ちゃんの事をもっと知りたいなって思いました……」
指先を弄びながら私が今思っている事を素直に話した。何も反応がなくて、なんか変なこと言っちゃったかもと思い、2人のことを見ると美月さんは目を丸くしてパチパチと瞬きしていた。
涼ちゃんもなんだか顔が赤くなって目を丸くしている。親子だなってわかるくらい同じような反応をしていた。
「初々しくていいねぇ。ホント良い子だわ凪沙ちゃん。涼!大事にしなさいよ」
「わかってるよ」
顔を赤くしたまま涼ちゃんはハンバーグを一口食べてご飯を口いっぱいにして食べた。
「ねぇ。本当に帰っちゃうの?」
私はバックを肩にかけて玄関で靴を履いた。
後ろから涼ちゃんが非常に寂しそうな声で訴えてくる。
「うん。そういう約束だしね?」
結ちゃんとの勝負に負けた涼ちゃんは勝ったらお泊まり会というご褒美?が無くなったので、今日は家に帰るつもりだ。
それに年末という忙しい時に泊まるのは気が引けるというのもある。
涼ちゃんははぁ…とため息をついた。勝負に負けたのは自分だしなっと言った具合だろう。
「涼、あまり無理言ったらダメだからね?凪沙ちゃんまたいつでもおいで、またご馳走作るから」
「はい。今日はご馳走様でした」
美月さんに頭を下げてドアノブに手をかけると「待って待って!」と涼ちゃんが慌てて上着を取ってくる。
「家まで送るから」
「ありがと」
駅までじゃなく家まで。あの後から涼ちゃんは必ず私を家まで送る。心配なのはわかるし、もし逆の立場だったら私も心配できっと家まで送っていくだろうから。
「じゃ、行ってくる」
「じゃあね。凪沙ちゃん。隣のオオカミに気をつけてね。あと良いお年を」
「はい。美月さんも良いお年を」
年末の気温はかなり冷え込んでいた。
「さむっ」
上着を羽織っただけの涼ちゃんが首をすくめながらポケットに手を突っ込んでいる。
片方のポケットには私の手も一緒にお邪魔をさせてもらっている。
「明日は何して過ごすの?」
鼻の頭を赤くした涼ちゃんがずずっと鼻を啜りながら聞いてきた。
「明日は家の手伝いかな?色々作るよ。お雑煮だったり、お蕎麦だったり。おせちは流石に作らないけど、買ってきたやつをみんなで食べるかな?」
「美味しそうだね」
「美月さんも料理上手だから美味しいの作ってくれたり、涼ちゃんが作ったりしないの?」
「私は全然作れないよ。母さんはおしるこ作ってくれたりするけど、2人だからね。お蕎麦食べて終わりかな」
「おしるこも美味しそうだね」
「うん。えっと、電話していい?」
なんの電話だろう?と首を傾げると「かわい……」と小さく呟いた。え?今?
「年越しの時!凪沙の声聞きながら年越ししたいなって」
「あー。カップルがやってそうなやつ!」
「え?あ、そうだけど……なんか、はず……」
涼ちゃんが恥ずかしそうにちょっと鼻をかいた。
一緒に過ごせないカップルは電話をしながら年越ししたりしているイメージがある。勝手なイメージだけど、他のカップルはどうんな過ごし方をしているんだろう。
亜紀ちゃんとちさきちゃんは……幼馴染だし電話しながら年越しとかはしないかな?
「あと、初詣行きたい」
「1日?すごく混んでそうだけど……」
「並ぶの嫌?人混み苦手?」
「ううん。大丈夫だよ?1日行く?」
涼ちゃんは嬉しそうにコクコクと頷いた。
「本当はね。凪沙に会いたいだけ。凪沙と一緒なら並ぶのも苦じゃないよ」
付き合い出してからの涼ちゃんはハッキリと好意を伝えてくる。
その好意に私はちゃんと返せているんだろうか。もらってばかりではきっとバランスを崩してしまうのではないだろうか。
崩れたバランスはきっと綺麗には元に戻れなくなって、すぐ崩れてしまう。
私もハッキリと涼ちゃんに好意を伝えられるようにしたい。
でも、なんて言えばいいのかわからなくてコレしか出てこなかった。
「好きだよ。涼ちゃん」
涼ちゃんの足が止まった。
繋いでいた手が引っ張られるようにして私も足を止める。
急に止まった涼ちゃんを不思議に思い振り返れば、顔を真っ赤にして驚いた様子をしている。
顔が赤いのは寒さのせいかもしれないけど……
「ホント……そういうとこ……急にくるんだよなぁ」
片手で顔を隠したと思ったら、前髪を掻き上げて私を見つめる。
一瞬だった。
繋いでいた手を急に引かれて、片手で顎を持ち上げるようにして上を向かされたと思ったら、唇に柔らかい感触が伝わってすぐに離された。
近くで黒い瞳が私と目が合った。
「私の方が好きだよ」
「きゅ、急にくるなぁ………」
「これでおあいこでしょ」
涼ちゃんはクスクスと笑った。
それにココ、改札前なんですけど………
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