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1月25日 Side涼21
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「中学時代の凪沙ちゃん知ってるなんて羨ましい」
結が更衣室にあるベンチに座り片足を組んだ。
「中学の時に天城と出会って、高校で再会したのに教室の外から眺めてるだけとかヘタレかよ」
結の隣に座っている森が膝に肩肘をついてやる気がなさそうに私をみる。
「でも、今は付き合えてるんだからいいんだよ」
「そんで目の下に隈作ってんじゃん。喧嘩でもしたん?」
「け、喧嘩じゃないし……」
「あの凪沙ちゃんを怒らせるなんて、涼くん何したの?浮気?」
「浮気なんてするはずない!!」
「じゃ、天城が浮気でもしたのか」
「凪沙も浮気なんてしないから!!」
「わからないぞぉ。元々彼氏いた人でしょ?男の方が良いって思ってんじゃね?」
森は口の端を上げながら嫌な笑顔を作っている。
凪沙の気持ちなんてわからないけど、もしそんなふうに感じていたら……あ、やばい………泣きそ……
「おぉぃ!!冗談だって!悪かったよ!変な冗談言ったわ。だから泣くなって!!」
「泣いてない……」
涙は出てないけれど私は鼻をすすった。
凪沙が元々男の子と付き合っていたのは事実だし、今後男の子の方が良いと思ってしまうことが無いとは言い切れない。それは男女のカップルでもありえる話で、付き合っていても別の人が良く見えて好きになってしまうこともあるかもしれない。
交際は付き合ったり別れたりを繰り返すものだ。初めて付き合って一生を添い遂げる人の方が少ないだろう。
もし、凪沙に別れて欲しいなんて言われたりしてしまったら私は多分数年は立ち直れず部屋に引きこもっている自信がある。そんなことにならないよう凪沙を大切にするつもりだ。
「喧嘩でも浮気でもないなら凪沙ちゃんと何があったの?」
結が不思議そうに首を傾げた。
母さんはちゃんと凪沙と話し合えって言っていたけど、2人にも意見を聞くのはいいかもしれない。
「……昨日凪沙と付き合って1ヶ月記念日だったから、凪沙にプレゼント渡そうと思ったらいらないって言われた」
「はぁ?」
森が片眉をグイッと上げた。
「プレゼントを凪沙ちゃんが断ったの??」
「1ヶ月記念日でプレゼントは用意しなくていいって」
「なるほどねぇ」
こんな短い説明だったのにも関わらず森が母さんと同じような雰囲気で頷く。
そんなに凪沙がプレゼント受け取らなかった理由ってわかりやすいんだろうか?私は目の下に隈を作ってもイマイチわからなかったのに。
「受け取ってもらえなかったから悩んでんの?」
「受け取ってもらえない理由がわからなくて……」
「まぁ、プレゼントとか普通は喜ぶもんだしなぁ」
「うんうん。私ならすっごい喜ぶけど、なんで凪沙ちゃんは受け取ってくれなかったんだろうね?」
「意外と天城もマジだって事だろ……」
「え?どういう意味?」
マジってなんのことを言っているんだかわからないけど、森はニヤニヤと笑って楽しそうにしている。やっぱり面白半分っていうのはマジらしい。
「これはあたしが言うのは野暮だろうから、ちゃんと本人と話し合うのが1番だろうな」
「なんだよ。凪沙の事わかったような口振りして」
「え?優奈ちゃんわかったの?どうして?なんで?」
「わかってはいないさ。ただの憶測だからな」
森は立ち上がってリュックを手に取った。この話はもう終わりらしい。こっちは真剣に悩んでるって言うのに話を聞くだけ聞いて面白がりやがって、なんだか一泡吹かせてやりたい気分だった。
「森」
「ん?」
リュックを背負った森が振り返る。
「可愛い後輩ちゃんとはどこまでいったの?」
「…………」
森が振り返った体勢のまま固まった。
以前森がバスケ部の後輩のことを可愛い可愛いと連発していた時期があった。最近は全然聞かなくなったから振られたか何かしらのアクションはあったはずだ。
森の視線が宙を仰いで、ニヤッと笑い私を見た。
そのまま私に近づいて肩を組まれ、耳元に囁いた。
「最後まで」
「……は?」
「ヘタレにはまだ早かったかなぁ」
私の頭をガシガシと乱暴に撫で回す。
「え?は?最後って!?つ、付き合って――」
「どうせヘタレは付き合って1ヶ月じゃ、まだちゅーもしてないんだろ?ん?ん?」
「ヘタレじゃないし!!キスくらい何回もしてるから!!」
「……わぁお」
あ……
「ええぇぇ!!!涼くん!!凪沙ちゃんとキスしたの!?」
森がお腹を抱えて涙を流しながら笑っている。
一泡吹かせてやろうと思ったら返り討ちにあってしまった。くそぉ…
「悪い悪い。はぁ…はぁ…ぷっ!クスクス……それはヘタレじゃないかもしれないな!クスクス……まぁ、その様子じゃそれ以上のことはまだなんだろうけどさ」
笑うか喋るかどっちかにしろよ。くそぉ…
「涼くん!凪沙ちゃんとキスしちゃったの!?え?それ以上のこと!?しちゃった?凪沙ちゃんが……え?」
結はさっきから私の腕に掴まって揺さぶってくる。キスくらいいいでしょ。付き合ってるんだし……いや、付き合う前からしてたけどさ。言わないけど……
「ま、お互い好きならさ。早く話し合って仲直りしなよ。目の下に隈作ってないでさ」
「わかってるよ」
そのまま森は更衣室を出て行った。
終始負けっぱなしで悔しいなぁ!でも、心配は一応してくれてるらしいから憎めないんだよな……
「涼くん!流石に付き合って1ヶ月じゃまだ早いよ?もっとゆっくり関係を進めるのがいいと思う!キスだってまだ
早いと思うんだよね!だから――」
その後、結の話を右から左へ受け流しつつ、早く凪沙に会いに行く為に私はさっさと帰り支度をした。
結が更衣室にあるベンチに座り片足を組んだ。
「中学の時に天城と出会って、高校で再会したのに教室の外から眺めてるだけとかヘタレかよ」
結の隣に座っている森が膝に肩肘をついてやる気がなさそうに私をみる。
「でも、今は付き合えてるんだからいいんだよ」
「そんで目の下に隈作ってんじゃん。喧嘩でもしたん?」
「け、喧嘩じゃないし……」
「あの凪沙ちゃんを怒らせるなんて、涼くん何したの?浮気?」
「浮気なんてするはずない!!」
「じゃ、天城が浮気でもしたのか」
「凪沙も浮気なんてしないから!!」
「わからないぞぉ。元々彼氏いた人でしょ?男の方が良いって思ってんじゃね?」
森は口の端を上げながら嫌な笑顔を作っている。
凪沙の気持ちなんてわからないけど、もしそんなふうに感じていたら……あ、やばい………泣きそ……
「おぉぃ!!冗談だって!悪かったよ!変な冗談言ったわ。だから泣くなって!!」
「泣いてない……」
涙は出てないけれど私は鼻をすすった。
凪沙が元々男の子と付き合っていたのは事実だし、今後男の子の方が良いと思ってしまうことが無いとは言い切れない。それは男女のカップルでもありえる話で、付き合っていても別の人が良く見えて好きになってしまうこともあるかもしれない。
交際は付き合ったり別れたりを繰り返すものだ。初めて付き合って一生を添い遂げる人の方が少ないだろう。
もし、凪沙に別れて欲しいなんて言われたりしてしまったら私は多分数年は立ち直れず部屋に引きこもっている自信がある。そんなことにならないよう凪沙を大切にするつもりだ。
「喧嘩でも浮気でもないなら凪沙ちゃんと何があったの?」
結が不思議そうに首を傾げた。
母さんはちゃんと凪沙と話し合えって言っていたけど、2人にも意見を聞くのはいいかもしれない。
「……昨日凪沙と付き合って1ヶ月記念日だったから、凪沙にプレゼント渡そうと思ったらいらないって言われた」
「はぁ?」
森が片眉をグイッと上げた。
「プレゼントを凪沙ちゃんが断ったの??」
「1ヶ月記念日でプレゼントは用意しなくていいって」
「なるほどねぇ」
こんな短い説明だったのにも関わらず森が母さんと同じような雰囲気で頷く。
そんなに凪沙がプレゼント受け取らなかった理由ってわかりやすいんだろうか?私は目の下に隈を作ってもイマイチわからなかったのに。
「受け取ってもらえなかったから悩んでんの?」
「受け取ってもらえない理由がわからなくて……」
「まぁ、プレゼントとか普通は喜ぶもんだしなぁ」
「うんうん。私ならすっごい喜ぶけど、なんで凪沙ちゃんは受け取ってくれなかったんだろうね?」
「意外と天城もマジだって事だろ……」
「え?どういう意味?」
マジってなんのことを言っているんだかわからないけど、森はニヤニヤと笑って楽しそうにしている。やっぱり面白半分っていうのはマジらしい。
「これはあたしが言うのは野暮だろうから、ちゃんと本人と話し合うのが1番だろうな」
「なんだよ。凪沙の事わかったような口振りして」
「え?優奈ちゃんわかったの?どうして?なんで?」
「わかってはいないさ。ただの憶測だからな」
森は立ち上がってリュックを手に取った。この話はもう終わりらしい。こっちは真剣に悩んでるって言うのに話を聞くだけ聞いて面白がりやがって、なんだか一泡吹かせてやりたい気分だった。
「森」
「ん?」
リュックを背負った森が振り返る。
「可愛い後輩ちゃんとはどこまでいったの?」
「…………」
森が振り返った体勢のまま固まった。
以前森がバスケ部の後輩のことを可愛い可愛いと連発していた時期があった。最近は全然聞かなくなったから振られたか何かしらのアクションはあったはずだ。
森の視線が宙を仰いで、ニヤッと笑い私を見た。
そのまま私に近づいて肩を組まれ、耳元に囁いた。
「最後まで」
「……は?」
「ヘタレにはまだ早かったかなぁ」
私の頭をガシガシと乱暴に撫で回す。
「え?は?最後って!?つ、付き合って――」
「どうせヘタレは付き合って1ヶ月じゃ、まだちゅーもしてないんだろ?ん?ん?」
「ヘタレじゃないし!!キスくらい何回もしてるから!!」
「……わぁお」
あ……
「ええぇぇ!!!涼くん!!凪沙ちゃんとキスしたの!?」
森がお腹を抱えて涙を流しながら笑っている。
一泡吹かせてやろうと思ったら返り討ちにあってしまった。くそぉ…
「悪い悪い。はぁ…はぁ…ぷっ!クスクス……それはヘタレじゃないかもしれないな!クスクス……まぁ、その様子じゃそれ以上のことはまだなんだろうけどさ」
笑うか喋るかどっちかにしろよ。くそぉ…
「涼くん!凪沙ちゃんとキスしちゃったの!?え?それ以上のこと!?しちゃった?凪沙ちゃんが……え?」
結はさっきから私の腕に掴まって揺さぶってくる。キスくらいいいでしょ。付き合ってるんだし……いや、付き合う前からしてたけどさ。言わないけど……
「ま、お互い好きならさ。早く話し合って仲直りしなよ。目の下に隈作ってないでさ」
「わかってるよ」
そのまま森は更衣室を出て行った。
終始負けっぱなしで悔しいなぁ!でも、心配は一応してくれてるらしいから憎めないんだよな……
「涼くん!流石に付き合って1ヶ月じゃまだ早いよ?もっとゆっくり関係を進めるのがいいと思う!キスだってまだ
早いと思うんだよね!だから――」
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