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第二章 「神に愛されなかった者」
#31 信じた人
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上機嫌のミヤが〇神講座を始めて、半刻くらい経つだろうか。
熱心に語るミヤと対照的に、ナナはうとうとと左右に揺れる。
大きく欠伸をするトラッキーにつられ、ナナもまた欠伸をした。
「もういい時間だな」
俺のその言葉に、ミヤは小さく頷く。
「そろそろお開きにしよか……なーちゃんの身体だけ軽く拭いたるわ」
そう言うなりミヤは今にも眠りそうなナナへと近づく。
ナナはナナでやはり距離はつめられるの嫌らしくバタバタと抵抗する。
がやはり眠気には勝てないらしく、ミヤに簡単に捉えられると、されるがままだ。
「アキラは後ろ向いて―な」
「……ああ」
衣ずれの音。肌と手拭いが擦れる音。
それを聞きながら、俺もまた欠伸をしながら待っていると。
「よしええで~」
そのミヤの声が届いた。
振り返ると、さっぱりとして顔が綺麗になったナナの姿があった。
もっとも、次第に眠気は強くなっているらしく、瞼を何度も擦っている。
それを見ていると俺もまた眠気が強くなっていくのを感じる。
「それじゃ俺は部屋に戻るわ」
その言葉を発し、部屋の扉に向かう。
振り返り、ナナをよろしくと言いかけたところで、それは見えた。
瞼を擦りながら、ナナが歩く姿。
何故かナナは俺の方へと着いてきた。
「へ?」
それを見てミヤは、ふむふむと興味深そうにこちらを見た。
「随分、好かれているんやね」
「……そう、なのか?」
同じ女の子のミヤと一緒にいるのが普通じゃないのか、とか。
世話してもらったミヤに懐くのが普通、とか。
そんな思考がぐるぐると回る中、俺の考えは違うというようにミヤは小さく指を振るのが見えた。
アキラは分かってへんなという表情を浮かべた後、ミヤは小さく笑う。
「なーちゃんはうちじゃなくてアキラを信じてついてきたんやで。言うなれば、アキラについていくっていう"選択"をしたんや――その思いをちゃんとくんであげてなぁ」
眠そうにするその瞳には、ミヤの言葉通り、確かに俺の姿が映っていた。
* * *
結局、ナナは俺の部屋までついてきた。
俺はどうすればいいんだ。
「……そうだ妹だ。妹のように接すればいいんだ」
だが俺は気付いてしまう。
俺に妹なんていたことがないことに。
と俺のそんな苦悩もいざ知らず、ナナの揺れは強くなるばかり。
今に眠ってしまいそうだ。
「と、とりあえずベッドに寝かせよう。そうしよう」
寝かそうと見よう見まねでナナを持ち上げる。
「……すごく軽いな」
ナナの髪がふんわりと揺れると、いい匂いが鼻へと届く。
ナナは眠いらしく抵抗という抵抗もなく、そのままベッドへと身体を落とすことができた。
そこからは一瞬だ。
寝床につけたと安心したのかナナはもう眠りについている。可愛らしい寝顔がそこにはあった。
「……ふぅ」
俺は安心すると、床に腰を落とした。
ナナの規則正しい寝音を聞きながら、俺はナナを持ち上げた時の感触がやけに残っている手を開いた。
恐ろしく軽かった。
この年齢ということを加味しても多分、異常なくらい軽かった。
まるで焼きたてのパンのようだ。
良い匂いはするのに、綺麗な形をしているのに、中身はスカスカだ。
健やかな寝息を立てるナナ。
この少女の境遇も、過去も、運命も、俺には分からない。だからこそ、ナナを幸せになってほしいと思う。
「ナナ、おやすみ」
おやすみの言葉をかけると、一気に眠気が襲ってくる。
結局ナナはベットで、俺は床で寝ることにした。
「……一緒に寝るのは流石にまずいだろ」
床に横になると、硬さで体のあちこちが痛みそうだがしょうがない。
目を閉じると眠気と共に、今日の出来事や言葉が目まぐるしく脳を駆け巡った。
エルフの少女。
神に愛されなかった者。
周りの人を不幸。
「不幸か」
そう聞かされたが、今のところ俺たちに実害はない。
案外迷信なのかもしれないし、俺の運ステータスのおかげかもしれないが今の時点では何もないのが現実だ。
願わくば、このままであってほしい。
そんなことを思っていると、意識は段々とぼんやりしてくる。
すぅと眠気で意識が糸を引く様に遠のいていくのを感じた瞬間。
ガタッ。
という音が響く。
それが何の音かそれを理解する間もなく、ぼんやりと映る視界に、それは見えた。
ナナが、俺の大事な所へと落ちていく、その光景が。
――ゴグッ。
「――あぐっ!」
股間で、ブラックホールが発生しながら、火山が噴火しながら、ビックバンが起きた。
その衝撃に俺はしばし悶絶。
だらだらと嫌な汗を流し、それが治まるのを待つ。
しばらくして、痛みが治まった俺は周りを見渡す。
視界に映るナナは、何事もなかったかのように健やかな寝音を立てている。
「寝相悪いのね、お前」
そう言いながら俺は起こさないように、ナナをベッドへと戻す。
防御は強くても股間は弱いだなと無駄な知識を手に入れた俺は再び、床の寝床へと戻る。
股間を抑えながら俺は思う。
小さな不幸。
もしかしたらこれが神に愛されなかった者の不幸なのだろうか。
これくらいの不幸だったら耐えられ――
――ゴグッ。
悶絶する俺。
「――うつ伏せで寝よう。そうしよう」
そんな色々あった異世界4日目は、股間の痛みと共に終わった。
熱心に語るミヤと対照的に、ナナはうとうとと左右に揺れる。
大きく欠伸をするトラッキーにつられ、ナナもまた欠伸をした。
「もういい時間だな」
俺のその言葉に、ミヤは小さく頷く。
「そろそろお開きにしよか……なーちゃんの身体だけ軽く拭いたるわ」
そう言うなりミヤは今にも眠りそうなナナへと近づく。
ナナはナナでやはり距離はつめられるの嫌らしくバタバタと抵抗する。
がやはり眠気には勝てないらしく、ミヤに簡単に捉えられると、されるがままだ。
「アキラは後ろ向いて―な」
「……ああ」
衣ずれの音。肌と手拭いが擦れる音。
それを聞きながら、俺もまた欠伸をしながら待っていると。
「よしええで~」
そのミヤの声が届いた。
振り返ると、さっぱりとして顔が綺麗になったナナの姿があった。
もっとも、次第に眠気は強くなっているらしく、瞼を何度も擦っている。
それを見ていると俺もまた眠気が強くなっていくのを感じる。
「それじゃ俺は部屋に戻るわ」
その言葉を発し、部屋の扉に向かう。
振り返り、ナナをよろしくと言いかけたところで、それは見えた。
瞼を擦りながら、ナナが歩く姿。
何故かナナは俺の方へと着いてきた。
「へ?」
それを見てミヤは、ふむふむと興味深そうにこちらを見た。
「随分、好かれているんやね」
「……そう、なのか?」
同じ女の子のミヤと一緒にいるのが普通じゃないのか、とか。
世話してもらったミヤに懐くのが普通、とか。
そんな思考がぐるぐると回る中、俺の考えは違うというようにミヤは小さく指を振るのが見えた。
アキラは分かってへんなという表情を浮かべた後、ミヤは小さく笑う。
「なーちゃんはうちじゃなくてアキラを信じてついてきたんやで。言うなれば、アキラについていくっていう"選択"をしたんや――その思いをちゃんとくんであげてなぁ」
眠そうにするその瞳には、ミヤの言葉通り、確かに俺の姿が映っていた。
* * *
結局、ナナは俺の部屋までついてきた。
俺はどうすればいいんだ。
「……そうだ妹だ。妹のように接すればいいんだ」
だが俺は気付いてしまう。
俺に妹なんていたことがないことに。
と俺のそんな苦悩もいざ知らず、ナナの揺れは強くなるばかり。
今に眠ってしまいそうだ。
「と、とりあえずベッドに寝かせよう。そうしよう」
寝かそうと見よう見まねでナナを持ち上げる。
「……すごく軽いな」
ナナの髪がふんわりと揺れると、いい匂いが鼻へと届く。
ナナは眠いらしく抵抗という抵抗もなく、そのままベッドへと身体を落とすことができた。
そこからは一瞬だ。
寝床につけたと安心したのかナナはもう眠りについている。可愛らしい寝顔がそこにはあった。
「……ふぅ」
俺は安心すると、床に腰を落とした。
ナナの規則正しい寝音を聞きながら、俺はナナを持ち上げた時の感触がやけに残っている手を開いた。
恐ろしく軽かった。
この年齢ということを加味しても多分、異常なくらい軽かった。
まるで焼きたてのパンのようだ。
良い匂いはするのに、綺麗な形をしているのに、中身はスカスカだ。
健やかな寝息を立てるナナ。
この少女の境遇も、過去も、運命も、俺には分からない。だからこそ、ナナを幸せになってほしいと思う。
「ナナ、おやすみ」
おやすみの言葉をかけると、一気に眠気が襲ってくる。
結局ナナはベットで、俺は床で寝ることにした。
「……一緒に寝るのは流石にまずいだろ」
床に横になると、硬さで体のあちこちが痛みそうだがしょうがない。
目を閉じると眠気と共に、今日の出来事や言葉が目まぐるしく脳を駆け巡った。
エルフの少女。
神に愛されなかった者。
周りの人を不幸。
「不幸か」
そう聞かされたが、今のところ俺たちに実害はない。
案外迷信なのかもしれないし、俺の運ステータスのおかげかもしれないが今の時点では何もないのが現実だ。
願わくば、このままであってほしい。
そんなことを思っていると、意識は段々とぼんやりしてくる。
すぅと眠気で意識が糸を引く様に遠のいていくのを感じた瞬間。
ガタッ。
という音が響く。
それが何の音かそれを理解する間もなく、ぼんやりと映る視界に、それは見えた。
ナナが、俺の大事な所へと落ちていく、その光景が。
――ゴグッ。
「――あぐっ!」
股間で、ブラックホールが発生しながら、火山が噴火しながら、ビックバンが起きた。
その衝撃に俺はしばし悶絶。
だらだらと嫌な汗を流し、それが治まるのを待つ。
しばらくして、痛みが治まった俺は周りを見渡す。
視界に映るナナは、何事もなかったかのように健やかな寝音を立てている。
「寝相悪いのね、お前」
そう言いながら俺は起こさないように、ナナをベッドへと戻す。
防御は強くても股間は弱いだなと無駄な知識を手に入れた俺は再び、床の寝床へと戻る。
股間を抑えながら俺は思う。
小さな不幸。
もしかしたらこれが神に愛されなかった者の不幸なのだろうか。
これくらいの不幸だったら耐えられ――
――ゴグッ。
悶絶する俺。
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本当に、ありがとうございます。
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