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一
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この国に聖女が目覚めた。
そう教会が発表してから貴族も国民も浮足立った。
聖女がいれば国は安泰だと信じられていた。
実際、聖女のいる他国は安定し豊かになっているという実績もあった。
そんな中、底辺の男爵家に一通の呼出状が届いた。
「王城からの…呼出状!?なにか粗相でもあったか」
当主の父は、心当たりのない不祥事を懸命に探そうとする。
「お父様…もしかして、私達が聖女だという可能性があるのでは?」
この時期の急な呼び出し。
男爵家の二人の子女の内、妹のメイピアが突拍子もないことを言い出した。
「…!そうかもしれん!こうしてはおれん、一張羅を用意せねば」
「お父様!わたくしのものも!」
忙しなく二人は盛り上がっているが、聖女を呼びつけるなんてことがあるのだろうか。
冷静な姉のジュリアは父が放り投げた書状を読み返した。
「屋敷を…ですか」
うきうきと足取りが軽いメイピアと、絶対に違うから行かないというジュリアを無理やり連れて男爵は王城にやってきた。
娘をつれて来いなど書状のどこにも記載はなかったにもかかわらず、気合の入った格好二人と一緒に歩くのは苦痛だった。
結果、やはり聖女の指名などではなく、新しく屋敷を賜るという旨だった。
「この度、我が国にもようやく聖女の誕生した。
ついては各貴族に振る舞っておるのだ」
陛下はめでたい事だからと大判を振る舞っているらしい。
優秀な人材だったり、子女の婚約者だったり、領地だったり、宝石だったり、贈ったものは各々様々だという。
「我が家には、屋敷と…」
「なんだ?不満か?」
「いえ!とんでもございません!」
男爵は床に張り付くように頭をさげた。
「場所は少し不便かもしれないが、古い神殿を改装したものだ。小ぶりだが屋敷というよりは城、と言ったほうが良いかもしれないな」
聖女の指名ではなかったと落胆していたメイピアは城という単語に反応して、目を煌めかせた。
そう教会が発表してから貴族も国民も浮足立った。
聖女がいれば国は安泰だと信じられていた。
実際、聖女のいる他国は安定し豊かになっているという実績もあった。
そんな中、底辺の男爵家に一通の呼出状が届いた。
「王城からの…呼出状!?なにか粗相でもあったか」
当主の父は、心当たりのない不祥事を懸命に探そうとする。
「お父様…もしかして、私達が聖女だという可能性があるのでは?」
この時期の急な呼び出し。
男爵家の二人の子女の内、妹のメイピアが突拍子もないことを言い出した。
「…!そうかもしれん!こうしてはおれん、一張羅を用意せねば」
「お父様!わたくしのものも!」
忙しなく二人は盛り上がっているが、聖女を呼びつけるなんてことがあるのだろうか。
冷静な姉のジュリアは父が放り投げた書状を読み返した。
「屋敷を…ですか」
うきうきと足取りが軽いメイピアと、絶対に違うから行かないというジュリアを無理やり連れて男爵は王城にやってきた。
娘をつれて来いなど書状のどこにも記載はなかったにもかかわらず、気合の入った格好二人と一緒に歩くのは苦痛だった。
結果、やはり聖女の指名などではなく、新しく屋敷を賜るという旨だった。
「この度、我が国にもようやく聖女の誕生した。
ついては各貴族に振る舞っておるのだ」
陛下はめでたい事だからと大判を振る舞っているらしい。
優秀な人材だったり、子女の婚約者だったり、領地だったり、宝石だったり、贈ったものは各々様々だという。
「我が家には、屋敷と…」
「なんだ?不満か?」
「いえ!とんでもございません!」
男爵は床に張り付くように頭をさげた。
「場所は少し不便かもしれないが、古い神殿を改装したものだ。小ぶりだが屋敷というよりは城、と言ったほうが良いかもしれないな」
聖女の指名ではなかったと落胆していたメイピアは城という単語に反応して、目を煌めかせた。
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