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三
「王弟殿下」
王弟の側に魔法師団の長が現れた。
「魔法師団長、準備は?」
「すでに。…愚息が申し訳ありません」
「謝罪は後にしよう。私も兄も同じだ。甥の変化に気づけなかったのだから」
周囲を魔法師団の精鋭部隊が囲む。
「父上?」
「おかしいな、どうして魔法師団が?騎士団長の父に頼んで騎士団を動かしてスラーシアを捕らえるように進言したのに」
魔法師団長の子息と騎士団長の子息は現状が理解できずにいた。
スラーシアを捕らえ拷問し、リリメへの嫌がらせの自白を取るつもりだった。
彼女が罪を認めれば、王太子の願い通り婚約破棄できると思っての行動だ。
望みは同じ。リリメを幸せにする為に、王太子と結ばれるように。
「馬鹿…息子め…」
魔法師団長の合図で、囲む魔法師は魅了の解術魔法を詠唱を始めた。
ーーーーー
靄のかかった状態の頭がクリアになっていく。
王太子は夢から覚めたように瞳を瞬かせた。
次第に、現状の悪さに気づいて青ざめていく。
魅了されていた。自覚はあった。
それでも、その間の心地よさに身を委ね、女が望むように振る舞った。
王太子の弟も重職の子息たちも共にあり、一人ではないという安心感と甘美な感覚を共有した。
他人の居ぬ場所でならば…少しくらい大丈夫だと思った。
女の言う通り、婚約者を貶めれば快楽を感じるようになった。痛みに耐える婚約者の姿が愛おしい。
暴言を吐けば吐くほど、自分の言葉に傷つくような婚約者に愛情が沸いていく気がした。
『婚約破棄』
これを口にすれば彼女はどれだけ傷ついてくれるだろう。
どうせ王命の婚約は王太子の一存でどうにもならない。
婚約者を甚振り、快感を得る為に王太子は『婚約破棄』を宣言した。
だが、魅了から覚めてしまえば、大きな後悔しか残っていない。
わざとなのか、粘着音を大きく立てながら、騎士が婚約者の唇を貪る。
騎士の肩当てには聖騎士を示す紋章がある。
彼が治癒師の資格のある騎士だと、治療中だとわかっていても、王太子の胸はチリチリと嫉妬が渦巻いた。
粘膜治療は緊急を要する処置。
婚約者はそれほどダメージを受けていたのだと知る。
婚約者を傷つけていた身でありながら、彼女を癒やす男に自分勝手な殺意を覚えた。
「スラーシア…」
婚約者の名を呼べば、騎士に身を委ねている彼女の指先が反応した。
声が届いているのか。
もう一度呼べば、騎士が彼女の耳を塞ぎ、睨みつけられた。
思わず笑った。
彼女の中にまだ、王太子の存在は残っているのだ。
ーーー
「王弟殿下」
「どうした、バルド」
「スラーシアのダメージが思いの外深いです。…最終手段を取ろうと思います」
王弟は息を吐いた。
「侯爵の許可はとっているのだろう?スラーシア嬢を頼む」
バルドは頷き、スラーシアを抱き上げ王城に走り戻っていく。
王弟も王太子もその姿を目で追った。
「…叔父上、最終手段とはなんですか…?」
「目が覚めたか?粘膜接触治療の最上位だよ」
「最上位…?」
「もっと深く身体をを繋げるんだ」
「それは…どのような」
「別名、性交とも言うかな」
王弟の発言に、王太子は言葉を失うほかなかった。
王弟の側に魔法師団の長が現れた。
「魔法師団長、準備は?」
「すでに。…愚息が申し訳ありません」
「謝罪は後にしよう。私も兄も同じだ。甥の変化に気づけなかったのだから」
周囲を魔法師団の精鋭部隊が囲む。
「父上?」
「おかしいな、どうして魔法師団が?騎士団長の父に頼んで騎士団を動かしてスラーシアを捕らえるように進言したのに」
魔法師団長の子息と騎士団長の子息は現状が理解できずにいた。
スラーシアを捕らえ拷問し、リリメへの嫌がらせの自白を取るつもりだった。
彼女が罪を認めれば、王太子の願い通り婚約破棄できると思っての行動だ。
望みは同じ。リリメを幸せにする為に、王太子と結ばれるように。
「馬鹿…息子め…」
魔法師団長の合図で、囲む魔法師は魅了の解術魔法を詠唱を始めた。
ーーーーー
靄のかかった状態の頭がクリアになっていく。
王太子は夢から覚めたように瞳を瞬かせた。
次第に、現状の悪さに気づいて青ざめていく。
魅了されていた。自覚はあった。
それでも、その間の心地よさに身を委ね、女が望むように振る舞った。
王太子の弟も重職の子息たちも共にあり、一人ではないという安心感と甘美な感覚を共有した。
他人の居ぬ場所でならば…少しくらい大丈夫だと思った。
女の言う通り、婚約者を貶めれば快楽を感じるようになった。痛みに耐える婚約者の姿が愛おしい。
暴言を吐けば吐くほど、自分の言葉に傷つくような婚約者に愛情が沸いていく気がした。
『婚約破棄』
これを口にすれば彼女はどれだけ傷ついてくれるだろう。
どうせ王命の婚約は王太子の一存でどうにもならない。
婚約者を甚振り、快感を得る為に王太子は『婚約破棄』を宣言した。
だが、魅了から覚めてしまえば、大きな後悔しか残っていない。
わざとなのか、粘着音を大きく立てながら、騎士が婚約者の唇を貪る。
騎士の肩当てには聖騎士を示す紋章がある。
彼が治癒師の資格のある騎士だと、治療中だとわかっていても、王太子の胸はチリチリと嫉妬が渦巻いた。
粘膜治療は緊急を要する処置。
婚約者はそれほどダメージを受けていたのだと知る。
婚約者を傷つけていた身でありながら、彼女を癒やす男に自分勝手な殺意を覚えた。
「スラーシア…」
婚約者の名を呼べば、騎士に身を委ねている彼女の指先が反応した。
声が届いているのか。
もう一度呼べば、騎士が彼女の耳を塞ぎ、睨みつけられた。
思わず笑った。
彼女の中にまだ、王太子の存在は残っているのだ。
ーーー
「王弟殿下」
「どうした、バルド」
「スラーシアのダメージが思いの外深いです。…最終手段を取ろうと思います」
王弟は息を吐いた。
「侯爵の許可はとっているのだろう?スラーシア嬢を頼む」
バルドは頷き、スラーシアを抱き上げ王城に走り戻っていく。
王弟も王太子もその姿を目で追った。
「…叔父上、最終手段とはなんですか…?」
「目が覚めたか?粘膜接触治療の最上位だよ」
「最上位…?」
「もっと深く身体をを繋げるんだ」
「それは…どのような」
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王弟の発言に、王太子は言葉を失うほかなかった。
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