魅了によって堕ちる者と救われる者

基本二度寝

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「全員が…?」
「そんなはずありません」

全員が全員不義の子だったなんて事がありえるのかと。

「魅了に惑わされた者ばかり集められたのなら不思議はないだろう?」
「そんな、」

皆、わかりやすく顔色を変えていく。

「ちなみに、無礼に振る舞うあの女に嫌悪を持ち、近づくような迂闊な真似はしなかったと、一部の貴族から報告があった。つまり魅了に抵抗のない者も自衛は可能だったってことだ」

それは彼らは望んでリリメに近付いたと言うことでもある。

自覚のあった騎士団長の子息も魔法師団長の子息も宰相の子息も、反論の言葉はなかった。




「王子二人はその地位を剥奪される」
「そんな!叔父上っ、嫌だ!助けて」
「……、」

王弟にすがり付く弟王子、何も反論できない王太子を憐れむ目で見つめた。

「王妃を見逃した結果がコレか」

元々二人の甥に対して疑念があった。
幼い頃は王妃には似て、兄には似ていなかった。
歳を重ねるほどに、王妃にも兄にも似なくなっていた二人の王子。
親に似ずなど、よくある事だと王弟はその疑念に蓋をしていたのだが。

王太子の声変わりが済み、少年の声から低く変わった声を聞いて脳裏に別の男の顔が思い出された。

王妃の輿入れの際に連れて来た使用人と声が似ていた。
しかも妙なことにその使用人は、王妃が二人目の王子を産んだ後、姿を見なくなっていた。
故郷に戻したと偽り、王妃は情夫を逃したのではないか。

沸々と湧き上がる疑惑に堪らず奏上しても、子を愛する兄は聞き入れなかった。

しかし、バルドの告発により王太子以外数名が魅了下にあると知らされ、遠巻きに彼らと対峙するスラーシアとのやり取りを確認して、兄は国王としての判断を下した。

重職の当主の血を後世に残す為に結ばせた婚約は、魅了にかけられている事を確認した時点で、全員当主の実子ではないと証明されてしまい、婚約は破棄となったのだった。


魅了に惑わされた者は全員もれなく立場と婚約者を失った。

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