婚約者に愛されている男は他の女にうつつを抜かす

基本二度寝

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カブラスは再び、メルージュの実家の商会へ向かった。

「あぁ、メルージュですか?取引相手との交渉と仕入れに同行していますが」

「なぜそんな」

「商会の娘ですから、当然一から十まで商売について教育しているのですよ」

「そんなこと下の者にさせればよいでしょう」

「もちろんそうですが。取引相手は顔も見せない商売人と長く付き合いたいとは思わないのですよ。しっかり顔を繋ぎ、売っておかねばならないのです」

確かに。
客も、飛び込みの旅商人とお抱えの商人とでは、信頼度が違う。
顔を知ってもらう事が重要だとはわかるが…。

しかし…。それはメルージュに必要な事なのだろうか。

「メルージュはいつ戻るのですか…?」

とりあえず、婚約者として彼女の動向を知っていなければ。
そう思って聞いただけなのだけれど。

「一年位ですかね」

「は?」

思わず呆けた顔をしてしまった。
今、一年と言ったか?

「とりあえず、国内を一周した後、周辺諸国を回りますから。それくらいはかかるかと」

「が、学園はどうするのです。このままでは出席日数が足りなくて退学もありえますよ!」

商会長は、こめかみを掻いて言葉を探している。
その行為はメルージュとよく似ていた。

「えっと…メルージュは今期の試験結果をもって卒業の条件を満たしたので、一足先に卒業しております」

途中から学園に入った平民の男も同様で、所謂飛び級の扱いで二人とも卒業したと言うことだった。

もう、彼女は学園に通う必要がない。
そういう事のようだった。
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