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誰かに呼ばれた気がして、アルシオーネは振り返った。
そこに立っていたのは見知らぬ男。
貴族であることはわかるが、面識のない男だった。
「アルシオーネ、どうかもう一度婚約してくれないか」
男は真っ直ぐアルシオーネを見つめる。
しかし、アルシオーネの記憶に目の前の男の姿はない。
「申し訳ないのですが、どちら様でしょうか。私は面識もない方に名を呼ぶ権利を与えていないのですが」
その言葉に相手はショックを受けたようだ。
小さく名を呟かれ、この御仁は話を聞いていないのかと僅かに苛立った。
「ルシィ」
その声に反応して、アルシオーネは顔を綻ばせた。
「どうした?」
「レオネル!」
苛立ちはあっという間に飛散した。
アルシオーネはレオネルに駆け寄り、はしたなくも彼に抱きついた。
レオネルは、難なくその身体を受け止める。
「レオ、お疲れ様」
「うん。見てくれた?」
「もちろん!」
アルシオーネはレオネルの勇姿を目に焼き付けるために、騎士団演武会へ観覧にやって来ていた。
婚約者の初舞台なのだ。
見ないという選択肢は存在しない。
「ア、アルシオーネ!なんだ、そのはしたない行為はっ」
先程声をかけてきた得体のしれない男は、何度も名を呼び、文句をつけてきた。
…確かに、淑女としてははしたないのは違いないけれど。
「…ルシィ。知り合い?」
レネオルはアルシオーネの腰に回した腕に力を込めた。
嫉妬…されているのかな。なんて。
調子に乗ってしまい、赤面した顔を横に振る。
「知らない方よ。名を呼ぶ許可を出していないのに、何度も呼ばれて不愉快なの」
「アルシオーネ!」
アルシオーネの言葉に、男が叫んだ。
レオネルがそんな男を睨む。
「どなたか知りませんが私の婚約者に気安く話し掛けないで頂けますか?」
「下位貴族風情がっアルシオーネの婚約者だとっ!?あり得ない!貴様一体何をしたっ」
男の怒りをレネオルは嘲笑する。
「私は何も。貴方が勝手に堕ちただけですよ」
「なんだと!」
アルシオーネはレオネルの腕の中で首を傾げる。
婚約者の愛らしい姿にレオネルは頬が緩んだ。
此処ではいちゃつけない。
早く、屋敷に戻ろう。
アルシオーネの腰に手を回したまま帰路につく。
男の横を通り過ぎる際に腕を取られた。
「まだ話は…!」
「アンタさ、死ぬんじゃなかったの?」
声を低くしてレオネルは男にだけ聞こえるように囁いた。
男は身体を強張らせた。
「嘘つき」
レオネルの言葉に、男は唇を戦慄かせていた。
そこに立っていたのは見知らぬ男。
貴族であることはわかるが、面識のない男だった。
「アルシオーネ、どうかもう一度婚約してくれないか」
男は真っ直ぐアルシオーネを見つめる。
しかし、アルシオーネの記憶に目の前の男の姿はない。
「申し訳ないのですが、どちら様でしょうか。私は面識もない方に名を呼ぶ権利を与えていないのですが」
その言葉に相手はショックを受けたようだ。
小さく名を呟かれ、この御仁は話を聞いていないのかと僅かに苛立った。
「ルシィ」
その声に反応して、アルシオーネは顔を綻ばせた。
「どうした?」
「レオネル!」
苛立ちはあっという間に飛散した。
アルシオーネはレオネルに駆け寄り、はしたなくも彼に抱きついた。
レオネルは、難なくその身体を受け止める。
「レオ、お疲れ様」
「うん。見てくれた?」
「もちろん!」
アルシオーネはレオネルの勇姿を目に焼き付けるために、騎士団演武会へ観覧にやって来ていた。
婚約者の初舞台なのだ。
見ないという選択肢は存在しない。
「ア、アルシオーネ!なんだ、そのはしたない行為はっ」
先程声をかけてきた得体のしれない男は、何度も名を呼び、文句をつけてきた。
…確かに、淑女としてははしたないのは違いないけれど。
「…ルシィ。知り合い?」
レネオルはアルシオーネの腰に回した腕に力を込めた。
嫉妬…されているのかな。なんて。
調子に乗ってしまい、赤面した顔を横に振る。
「知らない方よ。名を呼ぶ許可を出していないのに、何度も呼ばれて不愉快なの」
「アルシオーネ!」
アルシオーネの言葉に、男が叫んだ。
レオネルがそんな男を睨む。
「どなたか知りませんが私の婚約者に気安く話し掛けないで頂けますか?」
「下位貴族風情がっアルシオーネの婚約者だとっ!?あり得ない!貴様一体何をしたっ」
男の怒りをレネオルは嘲笑する。
「私は何も。貴方が勝手に堕ちただけですよ」
「なんだと!」
アルシオーネはレオネルの腕の中で首を傾げる。
婚約者の愛らしい姿にレオネルは頬が緩んだ。
此処ではいちゃつけない。
早く、屋敷に戻ろう。
アルシオーネの腰に手を回したまま帰路につく。
男の横を通り過ぎる際に腕を取られた。
「まだ話は…!」
「アンタさ、死ぬんじゃなかったの?」
声を低くしてレオネルは男にだけ聞こえるように囁いた。
男は身体を強張らせた。
「嘘つき」
レオネルの言葉に、男は唇を戦慄かせていた。
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