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二 前日
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「アルシオーネ、やはり君しかいない。もう一度婚約をしてほしい」
突然、アルシオーネの邸に現れたのは元婚約者、侯爵家次男トルクト。
婚約中に散々浮名を流し、アルシオーネを顧みなかった男。
アルシオーネの窘める言葉も一切耳を貸さず、気に入った女と共に嘲った。
ここまで我慢して婚約の継続をする必要があるのか。
父に相談すれば、婚約の解消は認められた。
相手の方が爵位は上だが、伯爵家からの援助でどうにかやっていっているような家だった。
現侯爵家当主が良い方だったので、父は縁を結んだが、娘への扱いに腹を立て、婚約の解消を申し出た。
侯爵は謝罪をして、次男の心を入れ替えさせると言ったが、それに頷くことはなかった。
「婚約破棄ではなく円満解消としました。慰謝料なしの。これがどういう意味か理解して頂きたい」
破棄にたる理由はあった。
しかし解消を望んだ。
侯爵家にその支払い能力はないと、伯爵は判断した。
「それでも尚、拒むのであれば、支援の方も止めさせて頂きます」
侯爵は慌てた。
それをされたら侯爵家は立ち行かなくなる。
せめて、長男が独り立ち出来るまでは。
侯爵は了承し、トルクトとアルシオーネの婚約は解消された。
己の方が身分が上だからと高をくくっていたトルクトは、婚約が解消された事を聞かされ、動揺した。
自業自得だろう。
父の言葉に、爵位を笠に着て命じればと提案した所、伯爵家からの援助を受けていることを知った。
トルクトは、伯爵家からのお金で他所の女と楽しんでいたのだ。
まずいことになったと気づいたのは、友人から「婚約解消されたのなら、また婿入り先見つけないと大変だなぁ」と言われた時。
トルクトは伯爵家に入るつもりだった為、同年代の長子以外の貴族のように就職先を得ていなかった。
遊び呆けていたため、勉強も武術も身についていない。
慌てて婿入り先を探したところで、そういった家には既に婚約者がいる。
しかたなしに、アルシオーネに再度婚約を結んでもらうしかないと伯爵家に赴いた。
「お断りします」
通された応接室で対面したアルシオーネにはっきり断られた。
「そうは言っても、今更婚約者を探すとなれば」
「ご心配には及びません。婚約解消してからというもの何処から嗅ぎつけたのか釣書が大量に届いて困っているくらいですから」
トルクトは唇を歪ませた。
気に入っていた女に婚約解消されたことを告げると、まるで自分が後釜に収まるかのように周囲に触れてまわった。
そのせいであっという間に社交界に広がってしまった。
その女もトルクトが次男で跡継ぎではないと知り、さっさと離れていったが。
「反省している。お前のことを知りもしない男と婚約を結ぶのも煩わしいだろう?その点、俺なら長く婚約者だったし気心も知れて、」
「チャンスをあげましょうか?」
「は?」
「私からの三つの質問に回答できれば、再婚約を検討しても良いですよ」
上から目線の物言いに腹が立ったが、再婚約するまでの辛抱だと耐えた。
「質問とは?」
「婚約者だったのですから、当然答えられる物ですがどうします?答えられなければ、二度と私に近づかないください」
「…受けよう」
どんな質問かと身構えたが、意表を突くようなものではなかった。
突然、アルシオーネの邸に現れたのは元婚約者、侯爵家次男トルクト。
婚約中に散々浮名を流し、アルシオーネを顧みなかった男。
アルシオーネの窘める言葉も一切耳を貸さず、気に入った女と共に嘲った。
ここまで我慢して婚約の継続をする必要があるのか。
父に相談すれば、婚約の解消は認められた。
相手の方が爵位は上だが、伯爵家からの援助でどうにかやっていっているような家だった。
現侯爵家当主が良い方だったので、父は縁を結んだが、娘への扱いに腹を立て、婚約の解消を申し出た。
侯爵は謝罪をして、次男の心を入れ替えさせると言ったが、それに頷くことはなかった。
「婚約破棄ではなく円満解消としました。慰謝料なしの。これがどういう意味か理解して頂きたい」
破棄にたる理由はあった。
しかし解消を望んだ。
侯爵家にその支払い能力はないと、伯爵は判断した。
「それでも尚、拒むのであれば、支援の方も止めさせて頂きます」
侯爵は慌てた。
それをされたら侯爵家は立ち行かなくなる。
せめて、長男が独り立ち出来るまでは。
侯爵は了承し、トルクトとアルシオーネの婚約は解消された。
己の方が身分が上だからと高をくくっていたトルクトは、婚約が解消された事を聞かされ、動揺した。
自業自得だろう。
父の言葉に、爵位を笠に着て命じればと提案した所、伯爵家からの援助を受けていることを知った。
トルクトは、伯爵家からのお金で他所の女と楽しんでいたのだ。
まずいことになったと気づいたのは、友人から「婚約解消されたのなら、また婿入り先見つけないと大変だなぁ」と言われた時。
トルクトは伯爵家に入るつもりだった為、同年代の長子以外の貴族のように就職先を得ていなかった。
遊び呆けていたため、勉強も武術も身についていない。
慌てて婿入り先を探したところで、そういった家には既に婚約者がいる。
しかたなしに、アルシオーネに再度婚約を結んでもらうしかないと伯爵家に赴いた。
「お断りします」
通された応接室で対面したアルシオーネにはっきり断られた。
「そうは言っても、今更婚約者を探すとなれば」
「ご心配には及びません。婚約解消してからというもの何処から嗅ぎつけたのか釣書が大量に届いて困っているくらいですから」
トルクトは唇を歪ませた。
気に入っていた女に婚約解消されたことを告げると、まるで自分が後釜に収まるかのように周囲に触れてまわった。
そのせいであっという間に社交界に広がってしまった。
その女もトルクトが次男で跡継ぎではないと知り、さっさと離れていったが。
「反省している。お前のことを知りもしない男と婚約を結ぶのも煩わしいだろう?その点、俺なら長く婚約者だったし気心も知れて、」
「チャンスをあげましょうか?」
「は?」
「私からの三つの質問に回答できれば、再婚約を検討しても良いですよ」
上から目線の物言いに腹が立ったが、再婚約するまでの辛抱だと耐えた。
「質問とは?」
「婚約者だったのですから、当然答えられる物ですがどうします?答えられなければ、二度と私に近づかないください」
「…受けよう」
どんな質問かと身構えたが、意表を突くようなものではなかった。
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