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五 男爵家
レオネルの血統には魔族の血が混ざっているらしい。
父に聞かされた時、妙に納得した。
時々、残酷になる自分に気づいていた。
幼馴染のアルシオーネが侯爵家の次男の婚約したと聞いた時、どうやって侯爵家を潰そうかと考えていた。
アルシオーネが悲しむからやめなさい、と母に諭されて止めたけれど。
父は王立の近衛騎士団に所属しているが、ひょろりとした細長い身体はその肩書に似合わない。
事務方だからと周りには言っているが、実情は特殊班の統括をしている。
父には特殊技能がある。それはレオネルにも受け継がれている。
嘘か真か。血に混ざる魔族は夢魔だったという。
夢に入り込み、人を拐かし、夢を食らう。
その力が人の記憶を食らうという能力に変異した。
父がこの国で男爵位を獲得したのも、今の役職に就いたのもこの能力のおかげだ。
父がいなければ二人の王子は生まれていない。
王妃がこの国に嫁いですぐ、国王と壮絶なすれ違いの末、仲違いし、拗らせ、収集がつかなくなっていた。
歩み寄りたい国王と、誰も信用しない王妃。
藁にも縋る思いで、国王は魔女やら祈祷師やら怪しい輩達に広くに助言を求めていた。
その輩の中に、父も紛れていた。
「王妃の中にある国王の記憶を消せばやり直せるのでは?」
国王は簡単に飛びついた。
記憶を食らうには、本人の同意が必要だ。
父は、王妃を言葉巧みに誘導し、同意をもぎ取り、国王に関する記憶を食らった。
初めまして、から始まる国王のやり直し劇は上手く行き、王妃は王の子を身ごもった。
国王は父に爵位と役職を与えた。
貴族特有の仕来りの一切を免除され、手厚く優遇までされている。
本当はもっと上位の爵位をと打診されたが、社交が面倒くさい!の一言で現状にある。
トルクトとの婚約を解消したアルシオーネとレオネルが縁を結び、昔を懐かしみながら会話に花が咲かせているところに、あの男が邪魔をしに来た。
レオネルが迎え撃とうとしたのを、アルシオーネが止めた。
自分で終わらせたいと言われれば、引くしかない。
アルシオーネは強く見えて傷つきやすい。
今までトルクトに傷つけられた恋心の自覚もないのだろう。
心無い噂を聞く度、影で泣いていたアルシオーネをレオネルは知っている。
だから。
トルクトの泣き落としにも靡かなかったアルシオーネが戻った時に告げた。
「ルシィ。あの男の事は忘れさせてあげる」
アルシオーネを腕の中に捕らえ、甘く囁く。
苦笑するアルシオーネは小さく肯定の言葉を口にしたので、そのままその唇を奪う。
契約成立。
ふっと、アルシオーネの身体から力が抜け、それをレオネルはしっかりと支えた。
「大丈夫。ルシィ。目が覚めたら、もうあの男ことは忘れているよ」
父に聞かされた時、妙に納得した。
時々、残酷になる自分に気づいていた。
幼馴染のアルシオーネが侯爵家の次男の婚約したと聞いた時、どうやって侯爵家を潰そうかと考えていた。
アルシオーネが悲しむからやめなさい、と母に諭されて止めたけれど。
父は王立の近衛騎士団に所属しているが、ひょろりとした細長い身体はその肩書に似合わない。
事務方だからと周りには言っているが、実情は特殊班の統括をしている。
父には特殊技能がある。それはレオネルにも受け継がれている。
嘘か真か。血に混ざる魔族は夢魔だったという。
夢に入り込み、人を拐かし、夢を食らう。
その力が人の記憶を食らうという能力に変異した。
父がこの国で男爵位を獲得したのも、今の役職に就いたのもこの能力のおかげだ。
父がいなければ二人の王子は生まれていない。
王妃がこの国に嫁いですぐ、国王と壮絶なすれ違いの末、仲違いし、拗らせ、収集がつかなくなっていた。
歩み寄りたい国王と、誰も信用しない王妃。
藁にも縋る思いで、国王は魔女やら祈祷師やら怪しい輩達に広くに助言を求めていた。
その輩の中に、父も紛れていた。
「王妃の中にある国王の記憶を消せばやり直せるのでは?」
国王は簡単に飛びついた。
記憶を食らうには、本人の同意が必要だ。
父は、王妃を言葉巧みに誘導し、同意をもぎ取り、国王に関する記憶を食らった。
初めまして、から始まる国王のやり直し劇は上手く行き、王妃は王の子を身ごもった。
国王は父に爵位と役職を与えた。
貴族特有の仕来りの一切を免除され、手厚く優遇までされている。
本当はもっと上位の爵位をと打診されたが、社交が面倒くさい!の一言で現状にある。
トルクトとの婚約を解消したアルシオーネとレオネルが縁を結び、昔を懐かしみながら会話に花が咲かせているところに、あの男が邪魔をしに来た。
レオネルが迎え撃とうとしたのを、アルシオーネが止めた。
自分で終わらせたいと言われれば、引くしかない。
アルシオーネは強く見えて傷つきやすい。
今までトルクトに傷つけられた恋心の自覚もないのだろう。
心無い噂を聞く度、影で泣いていたアルシオーネをレオネルは知っている。
だから。
トルクトの泣き落としにも靡かなかったアルシオーネが戻った時に告げた。
「ルシィ。あの男の事は忘れさせてあげる」
アルシオーネを腕の中に捕らえ、甘く囁く。
苦笑するアルシオーネは小さく肯定の言葉を口にしたので、そのままその唇を奪う。
契約成立。
ふっと、アルシオーネの身体から力が抜け、それをレオネルはしっかりと支えた。
「大丈夫。ルシィ。目が覚めたら、もうあの男ことは忘れているよ」
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