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八 閑話/レオネル
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騎士団演武会。
民衆たちが騎士たちを目にする機会は多くない。
我が国の騎士がどのような者なのか、鍛錬で磨かれた技術をお披露目する場。
まあ要するに、お祭りである。
見目の良い団員たちの実技演習に声援を送る熱心なファンもいる。
数少ない女性団員の、肢体を見せつける水着のような防具での剣舞も人気が高い。
こういった催し用に駆り出される騎士は、実働部隊ではなく広報部隊の仕事だ。
しかし今回は、完全な実働部隊に属するレオネルの出演も決まっていた。
最速最年少での役職へ昇格。
よい話題になると上層部は考えた。
「演武会?は?なんで俺が。会場潰すか」
婚約者の前では見せない横暴な姿。
口と態度の悪さはご覧の通り。
しかしその実力は折り紙付き。
過去に、年下の上官が配属されると聞いた彼の指揮下にあたる所属の団員は、初めが肝心とレオネルを囲んだ。
「めんどくせぇけど一番わかりやすくて良いな」
レオネルは笑いながら血の海を作り、戦意を失った団員の身体を積み上げて行った。
団員達はレオネルの親が騎士団の関係者とは聞いていた。
でも父は近衛騎士団の事務方でなんの力もないと思っていた。
実際、力での勝負ならひょろひょろの父は端の団員にも制圧される。
「戦乙女…」
自分より大きな身体をひょいひょいと放り投げるレオネルに向け、腰をぬかし動けぬ団員が呟いた。
完全劣勢の同盟国の戦場に駆り出され、遠方支援のみと言われていたにも関わらず、前線に躍り出て、敵を笑いながら散らしていった伝説の女騎士。
「んぁ?お袋の事か?」
「え…」
呟いた団員はビクリと巨体を揺らした。
「昔、変な二つ名付けられたとか言ってた。サオトメとかなんとか」
「サオトメ…?」
「行け!サオトメ!って言われてたんだと」
「…」
伝説の戦乙女は騎士団に様々な武勇伝を残しすぎていた。
戦乙女の息子だと認識した団員たちは、年下の上官への抵抗を辞めた。
レオネルの就任初日は半数の団員が医務室に送られ、しめやかに過ぎていったという。
そんなレオネルが、「会場を潰す」と発言し、団員は震えた。
国を上げての祭事。
中止にはできないが、年下の上官を止める術もない。
その日が来なければよいのに。団員全員で神に祈った。
「よし、お前ら。演武会の演目の案を出せ。見た目楽しいやつな」
演武会の直前に、恐ろしくも見事な手のひら返しでレオネルは団員達に指示を出した。
団員は目を白黒させたが、一斉に案を出す。
「派手なのは良いが、怖がらせるものはだめだ」
レオネルの観覧者側を気遣う言葉に、団員はさっと視線だけで周りを見渡す。
一人の団員が、そっと親指を立てた。
その団員は戦乙女の元を訪ね、演武会にレオネルが出演することを報告した。
戦乙女は、レオネルの婚約者にも話をして、彼女を喜ばせた。
「レオ!演武会でるの!?すごい!楽しみにしてるね」
婚約者に満面の笑みで演武会への期待を受け、レオネルはやる気を出した。
「…大将も、男だったんだな」
就任初日に屍となっていた団員たちは、レオネルの人間味を確認し、勝手に親近感を持った。
民衆たちが騎士たちを目にする機会は多くない。
我が国の騎士がどのような者なのか、鍛錬で磨かれた技術をお披露目する場。
まあ要するに、お祭りである。
見目の良い団員たちの実技演習に声援を送る熱心なファンもいる。
数少ない女性団員の、肢体を見せつける水着のような防具での剣舞も人気が高い。
こういった催し用に駆り出される騎士は、実働部隊ではなく広報部隊の仕事だ。
しかし今回は、完全な実働部隊に属するレオネルの出演も決まっていた。
最速最年少での役職へ昇格。
よい話題になると上層部は考えた。
「演武会?は?なんで俺が。会場潰すか」
婚約者の前では見せない横暴な姿。
口と態度の悪さはご覧の通り。
しかしその実力は折り紙付き。
過去に、年下の上官が配属されると聞いた彼の指揮下にあたる所属の団員は、初めが肝心とレオネルを囲んだ。
「めんどくせぇけど一番わかりやすくて良いな」
レオネルは笑いながら血の海を作り、戦意を失った団員の身体を積み上げて行った。
団員達はレオネルの親が騎士団の関係者とは聞いていた。
でも父は近衛騎士団の事務方でなんの力もないと思っていた。
実際、力での勝負ならひょろひょろの父は端の団員にも制圧される。
「戦乙女…」
自分より大きな身体をひょいひょいと放り投げるレオネルに向け、腰をぬかし動けぬ団員が呟いた。
完全劣勢の同盟国の戦場に駆り出され、遠方支援のみと言われていたにも関わらず、前線に躍り出て、敵を笑いながら散らしていった伝説の女騎士。
「んぁ?お袋の事か?」
「え…」
呟いた団員はビクリと巨体を揺らした。
「昔、変な二つ名付けられたとか言ってた。サオトメとかなんとか」
「サオトメ…?」
「行け!サオトメ!って言われてたんだと」
「…」
伝説の戦乙女は騎士団に様々な武勇伝を残しすぎていた。
戦乙女の息子だと認識した団員たちは、年下の上官への抵抗を辞めた。
レオネルの就任初日は半数の団員が医務室に送られ、しめやかに過ぎていったという。
そんなレオネルが、「会場を潰す」と発言し、団員は震えた。
国を上げての祭事。
中止にはできないが、年下の上官を止める術もない。
その日が来なければよいのに。団員全員で神に祈った。
「よし、お前ら。演武会の演目の案を出せ。見た目楽しいやつな」
演武会の直前に、恐ろしくも見事な手のひら返しでレオネルは団員達に指示を出した。
団員は目を白黒させたが、一斉に案を出す。
「派手なのは良いが、怖がらせるものはだめだ」
レオネルの観覧者側を気遣う言葉に、団員はさっと視線だけで周りを見渡す。
一人の団員が、そっと親指を立てた。
その団員は戦乙女の元を訪ね、演武会にレオネルが出演することを報告した。
戦乙女は、レオネルの婚約者にも話をして、彼女を喜ばせた。
「レオ!演武会でるの!?すごい!楽しみにしてるね」
婚約者に満面の笑みで演武会への期待を受け、レオネルはやる気を出した。
「…大将も、男だったんだな」
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