側妃に追放された王太子

基本二度寝

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側妃の宣言が謁見室に響いた。

王太子は身分を剥奪され、婚約も破棄されるらしい。

父親の公爵と並ぶ婚約者、いや元婚約者のアイラは唇で弧を描く。
王命で繋がった婚約関係は表面上のものだけだった。
申し分ない能力はあったが、最後まで彼女とは相容れなかった。

男に媚を売る姿は、商売女のようにも映る。
将来王妃となるものはもっと毅然とすべきだろう。
たしかに見目は良かっただろうが、それだけだ。

王太子、いや元王太子ヒューゴの未練はなく、婚約破棄に異論はない。

「身分の剥奪とは、王族ではなくなるということでしょうか?」
「王族どころか、貴族ですら無くなるわ」

平民落ち、ということらしい。

さすがに周囲はざわめいた。
当の本人だけは平静を保っている。

「…王族だった貴方が、平民として生きていけるかしら」

側妃の狙いはヒューゴの命。
城内でも何度も狙われたがすべて退けた。

平民としてに落とせばもっと楽に仕留められると思ったのだろうか。

ヒューゴの側でパチリと音がする。

ヒューゴのは気が短い。
彼がこの事態を事前に察知し、教えてくれていたのだから、もう少しだけ我慢してほしい。

「ご心配には及びません。私には従者もつけられておらず、食事の用意もありませんでした。先代が聞けば驚くでしょうが。
私は一人で生活できますので。そこの、側妃様の後ろに隠れているご子息より、は」

「無礼者っ」

側妃が閉じた鉄扇を此方に投げた。
真っ直ぐにヒューゴに向かってきた扇は、バチリと一際大きな音を立てて、地に落ちた。

細い煙を上げ、鉄扇は焦げている。
皆が呆気にとられる間もなく謁見室に低い声が響く。

『無礼者はどっちだ』

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