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三
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結婚式明けの早朝、侯爵家の子息ウルバノは浮足立って屋敷の庭を歩いていた。
自分の家だというのに、侍従が側に付き従う。
ウルバノの監視役だ。
ようやく結婚式を終え、恋人に会えるウルバノの気分は良い。
家のために結婚した。
式が終わるまでは恋人に会うなと言われていた。
それさえ守れば、結婚後に恋人を離れに住まわせたいという希望は叶う。
家の為の婚姻という貴族の役割は果たした。
『義務を果たせたのならば、自由をやろう』
「果たした果たした。果たしたよ」
渋々だった。でも、それを堪えれば恋人との甘い生活が始まるのだ。
そのためならば、少しくらい…。
ウルバノは足を止めた。
昨日の、ミレーユに触れた肌の感触を思い出した。
触り心地の良かった白い肌は、ウルバノの愛する女とは違った。
もっと、触れていたいと…「ウルバノっ!」
自分の手を見つめたまま、はっと意識を戻すと、ウルバノの恋人が手を振っている。
離れから飛び出してきたのか、最愛であるナニーが駆けてきた。
「おはよう!ウルバノ!」
勢いのままウルバノに飛びついてきたので、受け止めた。
細い腰を抱いて、やはりこちらの方がしっくりくると思う。
昨日のミレーユの感触を忘れるために、ウルバノはナニーを強く抱きしめた。
「会いたかった」
「…うん、私もだよ」
結婚式の数日前からナニーとの面会は控えさせられた。
何処で誰が見ているかわからない。
この婚姻が上手く行かなければ侯爵家はその爵位を返上するのだと父から脅されてウルバノは耐えたのだ。
ウルバノも、貴族でなくなるわけには行かない。
ナニーとの未来のために、爵位は手放せない。
「ねぇ、ウルバノ。ずっと貴方に会えなくて寂しかったの。だから…今日は、愛してくれる…?」
上目遣いに頬を染めるナニーに、ウルバノは身体を熱くした。
「勿論だよ。俺のナニー」
ウルバノは彼女の腰を抱いたまま、庭を横切り彼女の住む離れに向かう。
義務は終えたのだから、ウルバノは好きに振る舞ってもいいはずだ。
ウルバノについていた侍従はいつのまにか姿を消していた。
空気を読んだのだろう。
監視はなくなった。
ウルバノは、鼻の下を伸ばして最愛と愛し合うと決めた。
自分の家だというのに、侍従が側に付き従う。
ウルバノの監視役だ。
ようやく結婚式を終え、恋人に会えるウルバノの気分は良い。
家のために結婚した。
式が終わるまでは恋人に会うなと言われていた。
それさえ守れば、結婚後に恋人を離れに住まわせたいという希望は叶う。
家の為の婚姻という貴族の役割は果たした。
『義務を果たせたのならば、自由をやろう』
「果たした果たした。果たしたよ」
渋々だった。でも、それを堪えれば恋人との甘い生活が始まるのだ。
そのためならば、少しくらい…。
ウルバノは足を止めた。
昨日の、ミレーユに触れた肌の感触を思い出した。
触り心地の良かった白い肌は、ウルバノの愛する女とは違った。
もっと、触れていたいと…「ウルバノっ!」
自分の手を見つめたまま、はっと意識を戻すと、ウルバノの恋人が手を振っている。
離れから飛び出してきたのか、最愛であるナニーが駆けてきた。
「おはよう!ウルバノ!」
勢いのままウルバノに飛びついてきたので、受け止めた。
細い腰を抱いて、やはりこちらの方がしっくりくると思う。
昨日のミレーユの感触を忘れるために、ウルバノはナニーを強く抱きしめた。
「会いたかった」
「…うん、私もだよ」
結婚式の数日前からナニーとの面会は控えさせられた。
何処で誰が見ているかわからない。
この婚姻が上手く行かなければ侯爵家はその爵位を返上するのだと父から脅されてウルバノは耐えたのだ。
ウルバノも、貴族でなくなるわけには行かない。
ナニーとの未来のために、爵位は手放せない。
「ねぇ、ウルバノ。ずっと貴方に会えなくて寂しかったの。だから…今日は、愛してくれる…?」
上目遣いに頬を染めるナニーに、ウルバノは身体を熱くした。
「勿論だよ。俺のナニー」
ウルバノは彼女の腰を抱いたまま、庭を横切り彼女の住む離れに向かう。
義務は終えたのだから、ウルバノは好きに振る舞ってもいいはずだ。
ウルバノについていた侍従はいつのまにか姿を消していた。
空気を読んだのだろう。
監視はなくなった。
ウルバノは、鼻の下を伸ばして最愛と愛し合うと決めた。
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