2 / 9
二
しおりを挟む
「高位聖職者は皆、聖国に帰国されました」
「全員か?」
「全員です」
王太子は頭を抱えた。
昨夜、祈りの間で倒れているエスネイが発見された。
ひどく衰弱していた為、今治療にあたっている。
「ただ祈るだけじゃないのか」
執務の机を拳で打った。
聖女の交代を発表した途端、聖国から派遣されていた高位聖職者はこぞって帰国の意を示した。
追放した前の聖女のために聖国からやって来た彼らは、「勝手なことをして我々を馬鹿にしているのか」と憤慨してこの国を去った。
彼らに助言を仰ぐこともできない。
王太子が焦るのには理由があった。
今朝から何度となく起こる地震。
今まで経験したことがなく、初めての揺れにこの世の終わりだと大騒ぎをした。
間の悪いことに、国王陛下と宰相は不在で他国へ訪問していた。
地震が収まり、王太子は聖女が毎朝の祈りを行っていないことに気づいた。
助けを求め、元聖女でもあった王妃の住む離宮に足を運んだが、彼女は侍らせた男たちと愛し合うことにしか興味がないのか、「私では対処できない」と断られた。
八方塞がりだった。
エスネイはまだ昏睡状態でいつ目覚めるのかわからない。
王太子は昨日のことであるのに、早くも前聖女を追放したことを悔いていた。
「全員か?」
「全員です」
王太子は頭を抱えた。
昨夜、祈りの間で倒れているエスネイが発見された。
ひどく衰弱していた為、今治療にあたっている。
「ただ祈るだけじゃないのか」
執務の机を拳で打った。
聖女の交代を発表した途端、聖国から派遣されていた高位聖職者はこぞって帰国の意を示した。
追放した前の聖女のために聖国からやって来た彼らは、「勝手なことをして我々を馬鹿にしているのか」と憤慨してこの国を去った。
彼らに助言を仰ぐこともできない。
王太子が焦るのには理由があった。
今朝から何度となく起こる地震。
今まで経験したことがなく、初めての揺れにこの世の終わりだと大騒ぎをした。
間の悪いことに、国王陛下と宰相は不在で他国へ訪問していた。
地震が収まり、王太子は聖女が毎朝の祈りを行っていないことに気づいた。
助けを求め、元聖女でもあった王妃の住む離宮に足を運んだが、彼女は侍らせた男たちと愛し合うことにしか興味がないのか、「私では対処できない」と断られた。
八方塞がりだった。
エスネイはまだ昏睡状態でいつ目覚めるのかわからない。
王太子は昨日のことであるのに、早くも前聖女を追放したことを悔いていた。
応援ありがとうございます!
12
お気に入りに追加
218
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる