聖女は堕ちました

基本二度寝

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「呼ばれ参上しました」

騎士団長の声が部屋の外から聞こえ、扉が開く。

「急だったもので、この様な格好で申し訳ありません」

体格の良い男が聖女の護衛の女を腕に抱いて現れた。

「っ!?」

聖女が何かを叫び、団長に抱えられた女に向かって走り寄った。

「っ!大丈夫か!?お前っ俺の大事な幼馴染に何をしたっ!?」

聖女の勢いに驚いたのは抱かれている女もそうだった。

団長の腕に抱かれている女は、シーツを身体にまとわりつけただけの格好だった。
昨日の格好よりも肌を覆う布面積は大きいのに、扇情的に感じるのは…。

「何って…」

頬を染めるその表情で察した。
首元にいくつかの鬱血痕が散っている。

「お前っ」

騎士団長を見上げ、今にも噛みつかんばかりに聖女は怒っていた。

駄目だ、聖女を怒らせるようなことをしては。
そう思う気持ちと、あれは聖女かと疑う気持ちが鬩ぎ合う。

「落ち着いてよ。彼は酷いことなんてしてないから」
「ならっ!その格好はなんだよ!」
「えっ…だってそれは…」

「着ていた布切れは精液まみれになって使い物にならなくなったからな」

言い淀む女の後を引き継いだのは、騎士団長だった。

「~っ!!」

女が団長の愛称を叫んで、慌てて両手で口を塞いだ。

「っひやぁ」

手を舐められたのか、慌てて手を離した隙に団長は女に口づけた。

「どうせ塞ぐならこっちで」
「っっ!…ばか」

突然始まった甘々しい雰囲気に王太子は何も言えなかった。
聖女は頭を掻きむしって「あり得ない」と繰り返す。

「っ!!お前は俺の女だろう!?浮気なんて認めないからなぁ!」

先程までの淑やかさなど消え失せ、女の格好をした小男が地団駄を踏む。

「…認めない…?人を散々虚仮にして、使い走りにして、あんな卑猥な格好させて、『俺の女』?ふざけてるの?」

護衛女は女装男を見下す。

「私は止めた。嫌な感じがするから止めておこうって。君が無理やりに引っ張りこんだんでしょう?
その時点で私の運命は決まったの。この世界に骨を埋めるしかないってね」

?」

「今朝の夢にやたらきれいな女神様みたいな人が出てきて、この異世界と『聖女』の説明をしてくださったのよ」

「…何言ってんだよ。そういう設定だろ?…」
「女神!?」

王太子は夜通し調べていた。
聖女召喚。
女神からのお告げとは召喚は成功していたということだろうか。
護衛女の目がこちらを見る。

「王太子殿下。私はどうやら転移してきた『聖女』らしいです。ただ、」

女は騎士団長をちらりを見て、申し訳なさそうに王太子に微笑んだ。

「それと知る前に、純潔は失ってしまいましたけど」

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