画策して堕ちたメイド

基本二度寝

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七 レニ

「レニ!」

駆けてくるレニを見つけ、男は勢いのまま突撃してきた婚約者の身体を抱きとめた。

北の砦。
魔物から国を守る要塞。

ここに送られる罪人や貴族はその身を魔物討伐のために差し出さねばならぬと言われる。
命の保証はないこの地まで婚約者を追ってきた。

「お父様から聞いたの!慌てて実家に戻って、貴方が居る北の砦に向かえって…」

レニは婚約者の身体を目視して怪我がないかの確認をする。

「え、あ…レニ。心配してくれてる…?」
「当たり前でしょう!」

心外だとレニは大きな声を上げる。

「あ…いや。職場では話しかけるなって言われてたから、レニはもっと愛情が薄いタイプかと…」

婚約者の言葉に、レニはジト目で男を見上げる。

「当たり前でしょう。貴方と知り合いだと思われたら仕事が出来なくなっちゃうもの」
「!仕事が手につかなくなるっ?」

男が驚き嬉しそうだけれど、「違う」と切り捨てられる。

「激しい嫌がらせを受けるって意味よ」
「嫌がらせ!?」

ため息が出る。
自覚がないのだこの男は。

「俺のレニに嫌がらせをする奴がいるなら片っ端から斬」
「止めて、イグナス」

「わかった。止める」

幼い頃に小さかったイグナスを助けて以来、懐かれた。
レニを守れるようにと騎士団に入団し、自らの力で爵位を得た。
イグナスはその若さで男爵当主でもある。

イグナスの父の侯爵も、兄達もイグナスの努力を認めてくれている。


「でもなんで、この砦に?」
「魔物の大量発生があったからね。緊急で呼ばれた。義父上にも砦に行くとだけ伝えたんだけど」

「そっか…よかった…」
「ん?」

「罪人になったのかと思ってた」

イグナスはドキリとした。
気持ち悪がられるので言えないが、レニに関する様々な物を収集している。
レニに訴えられると、罪人…になる可能性もなくない。

「任務だから、罪人というわけじゃ、」
「わかってるよ」

安堵して、珍しく抱きついて甘えるレニにイグナスの鼻息は荒い。

(…今来ているこの服は、洗わずに保管保管。レニの匂いが移っているし。あと…戦利品は絶対にバレない場所に移そう)

イグナスは気持ち悪い思考をおもてに出さす、ひっそり心に誓った。

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