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九 蛇足
「いやっ!ヴァイスと結婚するの!」
何処で見初められたのか、少年と仔馬を保護した数年後、コルティナは王太子の婚約者に選ばれてしまった。
王命には逆らえない。
コルティナの両親である子爵夫妻は、娘を宥めすかして王都行きの馬車に乗せた。
けれど、コルティナは持ち前のお転婆を発揮して逃げ出した。
国境検問で保護されているのを迎えに行き、両親はようやく娘の本気を知った。
あの高貴な身分であろう少年に会いに行くつもりだったのだと。
両親はコルティナを連れて王城に向かい、王族の婚約者を辞退しようとしたが、
「絶対にコルティナと結婚する」
グネール殿下は引かず、息子に甘かった国王は王妃に命じ、コルティナに魅了魔法をかけさせた。
目の前でコルティナは傀儡にされ、グネールを愛していると壊れた人形のように繰り返していた。
両親は抗議したが、王城での事を喋らぬよう口封じの魔法を掛けられ、国外に放逐された。
王太子の婚約者にするには爵位が足りぬ。
コルティナを王家にとって都合の良い貴族の養女とする為にも子爵夫妻は不要だった。
国を追い出された子爵夫妻は、ヴァイス少年がいる帝国へ向かった。
娘を取り戻すには、彼に頼るしかなかった。
夫妻の運が良かったのは、帝国の国境に黒馬がいた事。
国境警備に少年に会いたいと訴える夫婦を黒馬が黒馬に伝達した。
てっきりコルティナだと思って飛び出してきたヴァイスとデュードは子爵夫妻だけだと知り、肩を落としたが彼らの異変に気づき、魔法大国まで赴き口封じを解除してもらうとようやく事情を知った。
「皇帝陛下、俺をあの国に潜入させてください」
「デュード。パパって呼んでくれて構わないよ」
「陛下」
「父様でも可」
「…」
「デュード。そんな私情塗れの命は下せない」
「……くそ親父」
「!反抗期!!宰相!デューが反抗期きた!!」
「デュード様。ややこしい陛下ですが、お強請りを望んでいるのです。手の掛からなかった貴方の我儘を望んでいるです。
…はげしく…面倒くさい父親ですが」
「…父上、ティナを助けたい。力を貸してほしい」
「はぁああ!デューマジ天使!
丁度あの国から黒馬の貸与申請来てたからこれに便乗しちゃおうか!ねー!
しばらく離れて暮らすことになるの寂しーからヴァイスつかって一日三回連絡入れてねー!入れないと不安が募って国軍の騎馬隊で押しかけるからね!
デューたん、わかった?」
「…」
「…」
黒馬と世話役の貸与契約を交わし、デュードは王国に潜り込んだのだった。
----
「戻ったか」
「はい、皇帝陛下」
闇から女が姿を現した。
「気取られてはないな?」
「はい。グネールを魅了した悪女は逃げ出した末、崖から飛び降り亡くなったと処理されました」
「良い。で、そやつは」
「コルティナ様を奪われ、半狂乱になって塔へ隔離されたそうです」
「あの国はごたつきそうだな。アレの他に子はなかったな」
「はい。後継者問題で揉めそうです」
「そうか、よくやった。サネット」
「いえ。うまく事が運んでよかったです」
デュードを派遣したのは、直ぐに戻ってくると思ったからだが思惑が外れた。
コルティナの魅了が術者本人でなければ解けないほど厳重に施してあった。
「魅了解除させるために魅了魔法で対抗する。陛下の策のお陰です」
「早くデュードに戻って欲しかっただけだ」
「心得ております」
「俺も、あの王達と変わらぬ親馬鹿だろう?」
サネットは口を弧にして笑った。
「ではこれよりお前を皇家の影に戻す。けしてデュードの前には顔を見せるなよ」
「御意に」
女は来たときと同じように闇に溶けた。
何処で見初められたのか、少年と仔馬を保護した数年後、コルティナは王太子の婚約者に選ばれてしまった。
王命には逆らえない。
コルティナの両親である子爵夫妻は、娘を宥めすかして王都行きの馬車に乗せた。
けれど、コルティナは持ち前のお転婆を発揮して逃げ出した。
国境検問で保護されているのを迎えに行き、両親はようやく娘の本気を知った。
あの高貴な身分であろう少年に会いに行くつもりだったのだと。
両親はコルティナを連れて王城に向かい、王族の婚約者を辞退しようとしたが、
「絶対にコルティナと結婚する」
グネール殿下は引かず、息子に甘かった国王は王妃に命じ、コルティナに魅了魔法をかけさせた。
目の前でコルティナは傀儡にされ、グネールを愛していると壊れた人形のように繰り返していた。
両親は抗議したが、王城での事を喋らぬよう口封じの魔法を掛けられ、国外に放逐された。
王太子の婚約者にするには爵位が足りぬ。
コルティナを王家にとって都合の良い貴族の養女とする為にも子爵夫妻は不要だった。
国を追い出された子爵夫妻は、ヴァイス少年がいる帝国へ向かった。
娘を取り戻すには、彼に頼るしかなかった。
夫妻の運が良かったのは、帝国の国境に黒馬がいた事。
国境警備に少年に会いたいと訴える夫婦を黒馬が黒馬に伝達した。
てっきりコルティナだと思って飛び出してきたヴァイスとデュードは子爵夫妻だけだと知り、肩を落としたが彼らの異変に気づき、魔法大国まで赴き口封じを解除してもらうとようやく事情を知った。
「皇帝陛下、俺をあの国に潜入させてください」
「デュード。パパって呼んでくれて構わないよ」
「陛下」
「父様でも可」
「…」
「デュード。そんな私情塗れの命は下せない」
「……くそ親父」
「!反抗期!!宰相!デューが反抗期きた!!」
「デュード様。ややこしい陛下ですが、お強請りを望んでいるのです。手の掛からなかった貴方の我儘を望んでいるです。
…はげしく…面倒くさい父親ですが」
「…父上、ティナを助けたい。力を貸してほしい」
「はぁああ!デューマジ天使!
丁度あの国から黒馬の貸与申請来てたからこれに便乗しちゃおうか!ねー!
しばらく離れて暮らすことになるの寂しーからヴァイスつかって一日三回連絡入れてねー!入れないと不安が募って国軍の騎馬隊で押しかけるからね!
デューたん、わかった?」
「…」
「…」
黒馬と世話役の貸与契約を交わし、デュードは王国に潜り込んだのだった。
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「戻ったか」
「はい、皇帝陛下」
闇から女が姿を現した。
「気取られてはないな?」
「はい。グネールを魅了した悪女は逃げ出した末、崖から飛び降り亡くなったと処理されました」
「良い。で、そやつは」
「コルティナ様を奪われ、半狂乱になって塔へ隔離されたそうです」
「あの国はごたつきそうだな。アレの他に子はなかったな」
「はい。後継者問題で揉めそうです」
「そうか、よくやった。サネット」
「いえ。うまく事が運んでよかったです」
デュードを派遣したのは、直ぐに戻ってくると思ったからだが思惑が外れた。
コルティナの魅了が術者本人でなければ解けないほど厳重に施してあった。
「魅了解除させるために魅了魔法で対抗する。陛下の策のお陰です」
「早くデュードに戻って欲しかっただけだ」
「心得ております」
「俺も、あの王達と変わらぬ親馬鹿だろう?」
サネットは口を弧にして笑った。
「ではこれよりお前を皇家の影に戻す。けしてデュードの前には顔を見せるなよ」
「御意に」
女は来たときと同じように闇に溶けた。
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