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七
「それにしても、壺の効果を継続して無効化させる程の力を持った聖女なんて他ではなかなかお目にかかれません。
私でも精々周囲の効果を緩める程度。一年中なんて不可能です。例え補佐役が居たとしても…」
時々祈りの力を緩め、雨を振らせて天候の調整をしていたのなら、恐ろしく繊細な聖力の調整ができたのだろうとセイラは内心舌を巻いた。
「…貴様は先程から何を言っているんだ」
蚊帳の外にいた王太子は口を挟みたくとも、不機嫌な国王に怯え、隅に控えていた。
それが、国王の怒りが収まり問題が解決したとわかった途端、王太子は話に割り込んだ。
「先程からまるで他人事のような口振りで、元はといえば貴様が有能ならこんな事にはっ!」
薄気味悪い髪色の女に吐き捨てれば、国王に咎められた。
「前々から感じてはいたが、お前の聖女に対する態度はなんだ。わざわざこの国になんの縁もない方が水害の原因を除いてくれたというのに!」
「っ!解決法を知っていたのならば報告があってしかるべきでしょう!?それを秘匿してここまで国に被害を与えてから差し出すなどっ!聖女にあるまじき行為だと思いませんか!!」
「お前の方こそ先程から何を言っている!」
騒がしい親子喧嘩を聖女は黙って見つめていた。
二人は叫びすぎて息を切らせ、静かになったタイミングでセイラは「少しよろしいですか」と声をかけた。
「いかがされましたか。セイラ殿」
「なんだ!謝罪でもする気になったか!」
「王太子殿下には私の『容姿』がどう見えてらっしゃるのですか」
「は?」
方眉を上げ質問の意図がわからず、国王も王太子も顔を見合わせる。
「隣国に居た時から違和感はありました。まぁ、あえて気づかぬふりをしていましたが、私とこの国の聖女様は似ているのですか?」
「似ている?またおかしなことを言う」
国王も同意した。
なにをおかしな質問だという意味で。しかし、
「お前はこの国の聖女だろう!それ以外の何者にも見えんわ!」
王太子の返答に、目を丸くしたのは国王の方だった。
黒い髪色に黒い瞳。
尖った耳に、ギョロついた瞳と歪んだ大きな口。
ゴブリンを思わせるようなその顔立ちは、王太子にはとてもではないが妻に迎えたいと思える容姿とは言い難かった。
「なるほど。興味深いですね」
「お前と言う奴はっ、」
また怒り出しそうな国王をセイラは諌めた。
「殿下は『聖女を見分ける瞳』をお持ちのようですね」
私でも精々周囲の効果を緩める程度。一年中なんて不可能です。例え補佐役が居たとしても…」
時々祈りの力を緩め、雨を振らせて天候の調整をしていたのなら、恐ろしく繊細な聖力の調整ができたのだろうとセイラは内心舌を巻いた。
「…貴様は先程から何を言っているんだ」
蚊帳の外にいた王太子は口を挟みたくとも、不機嫌な国王に怯え、隅に控えていた。
それが、国王の怒りが収まり問題が解決したとわかった途端、王太子は話に割り込んだ。
「先程からまるで他人事のような口振りで、元はといえば貴様が有能ならこんな事にはっ!」
薄気味悪い髪色の女に吐き捨てれば、国王に咎められた。
「前々から感じてはいたが、お前の聖女に対する態度はなんだ。わざわざこの国になんの縁もない方が水害の原因を除いてくれたというのに!」
「っ!解決法を知っていたのならば報告があってしかるべきでしょう!?それを秘匿してここまで国に被害を与えてから差し出すなどっ!聖女にあるまじき行為だと思いませんか!!」
「お前の方こそ先程から何を言っている!」
騒がしい親子喧嘩を聖女は黙って見つめていた。
二人は叫びすぎて息を切らせ、静かになったタイミングでセイラは「少しよろしいですか」と声をかけた。
「いかがされましたか。セイラ殿」
「なんだ!謝罪でもする気になったか!」
「王太子殿下には私の『容姿』がどう見えてらっしゃるのですか」
「は?」
方眉を上げ質問の意図がわからず、国王も王太子も顔を見合わせる。
「隣国に居た時から違和感はありました。まぁ、あえて気づかぬふりをしていましたが、私とこの国の聖女様は似ているのですか?」
「似ている?またおかしなことを言う」
国王も同意した。
なにをおかしな質問だという意味で。しかし、
「お前はこの国の聖女だろう!それ以外の何者にも見えんわ!」
王太子の返答に、目を丸くしたのは国王の方だった。
黒い髪色に黒い瞳。
尖った耳に、ギョロついた瞳と歪んだ大きな口。
ゴブリンを思わせるようなその顔立ちは、王太子にはとてもではないが妻に迎えたいと思える容姿とは言い難かった。
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