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十五 結婚後六月と一週 B
「誰の、子だ」
ボルスターは絞り出してようやく出た声は、掠れて震えていた。
「私の子供ですが」
「そんな事を聞いてはいない!!相手は誰だと聞いている!」
「さて…誰でしょう?」
首を傾げて、可愛らしく微笑むクエッカに初めて殺意が湧いた。
ボルスターが苦しみ耐えて、彼女のために屋敷に戻らず、不仲な夫婦を演じたのに!
その妻といえば、夫の留守の間に男を連れ込み、子供を作っていたという。
殺意がわかぬ訳がない。
クエッカを外に出すなと命じた。
だったら他者を連れ込むことを許したと言うのか。
ボルスターは家令に矛先を向けた。
「どういうことだ!!私はお前にフォローを命じたが、逢引など許した覚えはないぞ!」
「旦那様っ、知りません!私はそのような事を認めていません!
この屋敷は警備のものを多く置いています。屋敷内も外にも!奥様が男を引き入れるなんて出来るわけがないのです!」
家令の言葉にボルスターは、はたと気づく。
間者の騒ぎがあってから、内密に警備を増やしていた。
怪しい者が屋敷に立ち入ればすぐに連絡が来るようになっている。
今まで何度か連絡はあったが、確認すれば神父だったり、仕入れ業者だったり、働いて長い屋敷の者と面識のある者達ばかりだった。
それに滞在時間も記録されていて、十分以上の滞在者はいない。
(それに…)
クエッカを監視するように家令には伝えてあった。
逢引を見逃すほど抜けている者ではない。
(なるほど)
相手の名を言わぬのもそうなのか。
クエッカは試している。
ボルスターが嫉妬をするのかと。
今まで放置していた夫を試しているのだ。
息をふっと吐いて、肺に空気を入れる。
思考に余裕が持てた。
(夫は懐深く常に朗らかに妻の可愛い嫉妬を許さねばならない)
ボルスターの愛妻家の上司が言っていた言葉を思い出し、胸に刻みつけた。
ボルスターは絞り出してようやく出た声は、掠れて震えていた。
「私の子供ですが」
「そんな事を聞いてはいない!!相手は誰だと聞いている!」
「さて…誰でしょう?」
首を傾げて、可愛らしく微笑むクエッカに初めて殺意が湧いた。
ボルスターが苦しみ耐えて、彼女のために屋敷に戻らず、不仲な夫婦を演じたのに!
その妻といえば、夫の留守の間に男を連れ込み、子供を作っていたという。
殺意がわかぬ訳がない。
クエッカを外に出すなと命じた。
だったら他者を連れ込むことを許したと言うのか。
ボルスターは家令に矛先を向けた。
「どういうことだ!!私はお前にフォローを命じたが、逢引など許した覚えはないぞ!」
「旦那様っ、知りません!私はそのような事を認めていません!
この屋敷は警備のものを多く置いています。屋敷内も外にも!奥様が男を引き入れるなんて出来るわけがないのです!」
家令の言葉にボルスターは、はたと気づく。
間者の騒ぎがあってから、内密に警備を増やしていた。
怪しい者が屋敷に立ち入ればすぐに連絡が来るようになっている。
今まで何度か連絡はあったが、確認すれば神父だったり、仕入れ業者だったり、働いて長い屋敷の者と面識のある者達ばかりだった。
それに滞在時間も記録されていて、十分以上の滞在者はいない。
(それに…)
クエッカを監視するように家令には伝えてあった。
逢引を見逃すほど抜けている者ではない。
(なるほど)
相手の名を言わぬのもそうなのか。
クエッカは試している。
ボルスターが嫉妬をするのかと。
今まで放置していた夫を試しているのだ。
息をふっと吐いて、肺に空気を入れる。
思考に余裕が持てた。
(夫は懐深く常に朗らかに妻の可愛い嫉妬を許さねばならない)
ボルスターの愛妻家の上司が言っていた言葉を思い出し、胸に刻みつけた。
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