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三十五 結婚後七月 ?
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コンコンコンコン。
中の返事を待つことなく、扉を開く。
「全員眠った。出るぞ」
盗賊団の新人と呼ばれていた風魔法師は、顔だけひょこりと覗かせ、これ以上ないほど眉を寄せた。
「…お前ら…本気でヤってたのかよ。此方は酔ったおっさん相手だったってのに」
「あ?」
アレンは顔を上げた。
邪魔をするなと言わんばかりに。
気の毒な令嬢は…ベッドにうつ伏せ虫の息だった。
「コイツに色っぽい演技なんかできるわけがない。だから…仕方ないだろ」
と言いつつ妙にスッキリした顔をしている。
うつ伏せたクエッカから降りたアレンは身なりを整えた。
「縛ったまま後ろからって、新しい性癖でも目覚めたか」
風魔法師が茶化せば、
「この顔見ながらやんのはヤだっていうからしかたねぇだろ。外のゴロツキがいつ部屋に入ってくるかわからねぇから顔も拘束もそのままだっただけで…」
と、馬鹿正直な答えが返ってくる。
「随分時間がかかったな」
「酒に混ぜた睡眠導入剤はセンセに頼んで遅効性のものにしてもらった。すぐに眠らせると効果が薄い連中に勘付かれる可能性もあるしな。全員寝落ちたあとは、眠り香を部屋に充満させたから暫くは起きない」
「アッチは?」
「異母弟くんか?」
「異母弟のほうだ」
風魔法師は肩を竦める。
「爆弾投下済み。今頃お嬢さんの実家はてんやわんやだろう」
「ご愁傷さま」
異母弟がクエッカを狙う表向きの理由はなくなった。
「城の方もそろそろだ。本当に潮時だな」
「…そうか」
「…殆ど勝手に動いて、収穫なしだぞ。こりゃ始末書で済めば良いけどな」
「悪い」
「いーよ」
風魔法師は苦笑した。
まさかアレンが謝罪をするとは思わなかった。
「お医者のセンセんとこ帰ろうか。先生?」
「先生いうな」
クエッカの拘束を解いたあと、アレンは彼女を抱き抱え、二人は闇に解けた。
中の返事を待つことなく、扉を開く。
「全員眠った。出るぞ」
盗賊団の新人と呼ばれていた風魔法師は、顔だけひょこりと覗かせ、これ以上ないほど眉を寄せた。
「…お前ら…本気でヤってたのかよ。此方は酔ったおっさん相手だったってのに」
「あ?」
アレンは顔を上げた。
邪魔をするなと言わんばかりに。
気の毒な令嬢は…ベッドにうつ伏せ虫の息だった。
「コイツに色っぽい演技なんかできるわけがない。だから…仕方ないだろ」
と言いつつ妙にスッキリした顔をしている。
うつ伏せたクエッカから降りたアレンは身なりを整えた。
「縛ったまま後ろからって、新しい性癖でも目覚めたか」
風魔法師が茶化せば、
「この顔見ながらやんのはヤだっていうからしかたねぇだろ。外のゴロツキがいつ部屋に入ってくるかわからねぇから顔も拘束もそのままだっただけで…」
と、馬鹿正直な答えが返ってくる。
「随分時間がかかったな」
「酒に混ぜた睡眠導入剤はセンセに頼んで遅効性のものにしてもらった。すぐに眠らせると効果が薄い連中に勘付かれる可能性もあるしな。全員寝落ちたあとは、眠り香を部屋に充満させたから暫くは起きない」
「アッチは?」
「異母弟くんか?」
「異母弟のほうだ」
風魔法師は肩を竦める。
「爆弾投下済み。今頃お嬢さんの実家はてんやわんやだろう」
「ご愁傷さま」
異母弟がクエッカを狙う表向きの理由はなくなった。
「城の方もそろそろだ。本当に潮時だな」
「…そうか」
「…殆ど勝手に動いて、収穫なしだぞ。こりゃ始末書で済めば良いけどな」
「悪い」
「いーよ」
風魔法師は苦笑した。
まさかアレンが謝罪をするとは思わなかった。
「お医者のセンセんとこ帰ろうか。先生?」
「先生いうな」
クエッカの拘束を解いたあと、アレンは彼女を抱き抱え、二人は闇に解けた。
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