契約破棄された聖女は帰りますけど

基本二度寝

文字の大きさ
2 / 3

しおりを挟む
「見つけた!!」

王太子が城を走り回り、城門の前に並ぶ数台の馬車に気づき、慌てて城門まで走った。

「エルディーナ!帰国は認めない!」

馬車に飛び乗り乱暴に扉を開いた王太子に、聖女は驚いて従者の服を掴んだ。
エルディーナの隣に座る従者は、ため息を吐いた。

「そうおっしゃられましても。そういうですので、お引き取りを」

主を助けるべく従者が面に立つ。

「契約だと…?」

「殿下との婚約はこの国に滞在している間だけの仮初のものでした。
後ろ盾のない王太子の為にと国王に願われましたので。
先日の殿下の『婚約破棄』の宣言は『派遣聖女の契約終了』と契約上同義ですので、我々は帰国せねばならないのです」

王太子は呆然とした。
彼は知らなかったのだ。
文字通り、聖女と婚約していたのだとばかり思っていた。

馬鹿だと思われるかもしれないが、現状の婚約を一度破棄し、王命ではなく王太子自らエルディーナに求婚して結ばれたいと思ったのだった。

わざわざ国王がいないこの期間を狙ったのは、知られたら激怒されることがわかっていたから。
それに、国王が不在の際は、王太子の発言が王の発言と同等の力を持つのだ。

王太子は婚約を破棄したとしても、求婚して再度婚約できると思っていた為、婚約破棄に問題はないと踏んでいた。

しかし、聖女はあっさり婚約破棄を受け入れ、王太子に縋ることなくさっさと国を離れようとする。

自分の計画が破綻しているようだと今になって気づいたのだった。

「エルディーナ!違うんだ!昨日のは冗談だ。帰国は取りやめて欲しいっ」

「婚約破棄の件は本国に連絡済ですので、帰還命令が出ております。
もし再度聖女の派遣を望むのであれば、聖国にて契約のし直しをしていただかねばなりません」

「それをすればもう一度婚約者に戻ってくれるのか!?」

「それは別途オプションでしたので、金額次第の交渉となります」

「お、ぷしょん…?」

「まぁ…詳しくはお戻りになられた国王陛下からご説明頂いてください。我々が帰還しなければ、聖女隠匿の罪でこの国に聖国からの聖騎士らが開戦を仕掛けますよ?」

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。

樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。 ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。 国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。 「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」

婚約者が番を見つけました

梨花
恋愛
 婚約者とのピクニックに出かけた主人公。でも、そこで婚約者が番を見つけて…………  2019年07月24日恋愛で38位になりました(*´▽`*)

俺の子供が出来ためでたい?あの……婚約者の私は懐妊していないのですが?

仰木 あん
恋愛
ショートショートです

嘘を信じ私を切り落とした者とその国の末路は……。

四季
恋愛
「レミリア・レモネード! 君との婚約を今ここで破棄する!」 第一王子ブランジズ・ブブロ・ブロロブアは晩餐会の最中突然宣言した。

あなたが婚約破棄したいと言うから、聖女を代替わりしたんですよ?思い通りにならなくて残念でしたね

相馬香子
恋愛
わたくし、シャーミィは婚約者である第一王子のラクンボ様に、婚約破棄を要求されました。 新たに公爵令嬢のロデクシーナ様を婚約者に迎えたいそうです。 あなたのことは大嫌いだから構いませんが、わたくしこの国の聖女ですよ?聖女は王族に嫁ぐというこの国の慣例があるので、婚約破棄をするには聖女の代替わりが必要ですが? は?もたもたせずにとっととやれと? ・・・もげろ!

婚約者と親友がやって来て「愛し合ってる」とか言ってきたうえ婚約破棄を宣言されてしまいました。が、父が復讐しました。

四季
恋愛
婚約者と親友がやって来て「愛し合ってる」とか言ってきたうえ婚約破棄を宣言されてしまいました。が、父が復讐しました。

殿下はご存じないのでしょうか?

7
恋愛
「お前との婚約を破棄する!」 学園の卒業パーティーに、突如婚約破棄を言い渡されてしまった公爵令嬢、イディア・ディエンバラ。 婚約破棄の理由を聞くと、他に愛する女性ができたという。 その女性がどなたか尋ねると、第二殿下はある女性に愛の告白をする。 殿下はご存じないのでしょうか? その方は――。

婚約破棄ですか? では、この家から出て行ってください

八代奏多
恋愛
 伯爵令嬢で次期伯爵になることが決まっているイルシア・グレイヴは、自らが主催したパーティーで婚約破棄を告げられてしまった。  元、婚約者の子爵令息アドルフハークスはイルシアの行動を責め、しまいには家から出て行けと言うが……。  出ていくのは、貴方の方ですわよ? ※カクヨム様でも公開しております。

処理中です...