王太子妃は人質として帝国に差し出された

基本二度寝

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「…申し訳ありません」

ウェルズはエンフィアを部屋に案内するなり頭を下げた。

「それは、何についての謝罪でしょうか」
「色々ありますが、差し当たって、ここには女性物の全ての用意がありません」

「…はい?」

ウェルズは頭を抱え、ため息を吐いた。

「まさかエンフィア様が差し出されるとは想定していませんでした」

ならば誰を…。

「あの糞王子がしでかしてことなんですから当人が来て然るべきなんです。この国の王は愚息に甘すぎるでしょう!?」

憤るウェルズに、エンフィアは呆気にとられた。

「糞…王子?あの、何をおっしゃって」

「あああ!王太子妃に向かって下品な言葉を…申し訳ありません!」


ーーーー
ウェルズが手ずから入れた紅茶を、エンフィアは入れた本人が一口飲み終えたのを確認してから口をつけた。

使用人ではなく、皇帝陛下に軽い口を叩いてた側近に饗され、警戒しつつも喉を潤したかった

ウェルズも茶を飲み、先程の興奮をはぁを息を吐いて逃していた。

「どんな理由をつけようとも、侵略には違いありませんので、兵士以外連れては来ていないのです」

「…てっきり、国境を超え帝国に入っていたのだと思っていましたが、ここはまだ?」

「はい。王国領です。我国軍が占領している区画で、領主が領民を見捨てて逃げたので、この屋敷を拝借しております」

「…えっ?」

エンフィアは目を丸くした。
領主が真先に逃げ出すなんてことがあるのかと。

「言っておきますが、王国民間人に被害は出していませんよ。我が国に密入国して盗みを働いていた強盗団は捕縛しましたが」

「盗、み?」

「国境近くの我が国の領地に強盗団が出没しておりましてね。盗みを働いてはこちらの王国側に逃げ込むので手が出せなかったのです。
何度も犯罪者を差し出すよう、王国には要求していましたが、知らぬ存ぜぬの一点張りでして。
我が国で調べたところ、強盗団とここの領主が繋がっていました」

エンフィアは口を覆った。
そのような話は聞かされていない。

他国からの要求は慎重に進めねば、国交を危うくする。
特に隣接する帝国との仲を悪化させるのは悪手だ。

しかし、

「…貴国の言いがかり、という可能性も、無くはないですよね…?」

ウェルズは頷いた。

「ええ。もちろん。ですが、こちらは国際裁判に掛け合える相応の証拠もあります。
王国側はそれらを見ようともせず、検討の余地もなし。
そのような事実はないと一点張りです。
それが後ろめたい王国の反応なのでしょうね。
王太子妃殿下。お疑いならその目でご覧ください」

エンフィアは頷く以外になかった。

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