ハーレムエンドを目の当たりにした公爵令嬢

基本二度寝

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裏 ※エロ有

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気の置けぬ仲間を持てた事を運が良いと、王太子は常々思っていた。

騎士団長の息子であるアドリ。
魔法士団長の息子カーグと、宰相の息子のザイル。

彼らは王太子を否定することはなかった。
王太子の望みを叶え、行動してくれた。

だから、当然理解してくれると思っていた。

「レンニアーネと婚約破棄をする」

この意見だけは、三人とも首を横に振った。

「公爵家の後ろ盾がなければ王になるのは難しいかと」

ザイルの言葉に、他の二人も同意した。

まるで裏切られたように感じて、王太子は初めて彼らを権力で脅した。

「異論は認めない。私に従え!そもそも私の最愛を紹介したのは貴様だろう!?」

最近懇意にしている男爵家の令嬢は、ザイルの遠縁の者だった。
ザイルと話す彼女に一目惚れして紹介させたのは、王太子の方だったが。

癇癪を起こしたように王太子は喚き散らし、レンニアーネとの婚約破棄は絶対だと彼らに命じた。

レンニアーネの粗探しを始め、婚約破棄につながるような材料が出なかったので王太子自ら工作をした。

権力を盾に脅してからは、側近の彼らは従順になった。王太子のやる事に意見することもない。

その代わり、それまでの気安い関係は失われた。
かすかな寂しさを抱えつつ、婚約破棄が成立すればまた元のような関係に戻れると、その時は信じていた。


レンニアーネを呼び出し、婚約破棄を承諾させ、気分良く祝杯を上げた。
心を許している最愛の彼女の差し出すグラスに口をつけ、微笑む彼女を見つめながら、重くなる瞼に王太子は抵抗できなかった。

---

次に瞼を開いた王太子は、目の前がチカチカして、状況がよくわからなかった。

「っは、よく締まる」

上から降ってくる低音は、騎士団長子息のアドリ。
男の大きな手が王太子の膝裏を押さえつけ、身動きのできぬ王太子の尻には異物が押し込まれている。

「催淫術がよく効いているから、痛がりもしないでしょ」
「ここの可愛らしい部分が快楽を主張していますしね」

王太子の敏感な場所に触れられて身体が驚いた。
近くから魔術士団長子息のカーグと、宰相子息のザイルの声もする。

(これは、一体…?)

目の前に在るだろうアドリに視線を合わせようと思うのに、焦点が定まらない。

「あ、どり、?」
「あ?殿下?気づいたか?…たまんねぇ顔してんなぁ」

止めてくれと、伝えるつもりだったのに、一層激しい動きになった。

「ズルいですよ。一番最初を譲ったのに。殿下、私にも」

ザイルの声が近づいて、口を塞ぐ。
舌が入り込んで呼吸を奪う。
苦しさでもがいているのに、更には唾液を流し込んできた。
嫌悪で咽るが、ザイルの軽い笑いが口から聞こえる。

「じゃあ僕も」

カーグが何かをしたのかは、ザイルに視界を塞がれているので確認できない。
ヌルヌルとしたものが身体を這い、感度の良い場所を刺激した。

自分のものとは思えないほど甘い声が出る。

「邪魔すんなよ」
「長いんですよ貴方は。早く代わってください」
「実験体のスライムもっと出していい?殿下は気持ちいいの好きでしょ」

王太子の上で繰り広げられる会話に、少しずつ思考を取り戻す。

「…っァ」

先程まで一緒にいたはずの男爵令嬢の名を呼んだ。
レンニアーネとの婚約を破棄したのも、彼女を妃としたかったほどの王太子の最愛。

「え?あ、私のことはお気遣いなく」

彼女の声のした方に目を向ける。
視界はいつの間にか鮮明になっていた。
可愛らしい顔をした彼女は壁際の椅子に座り、ペンを走らせていた。

「ぁすけて」
「あー…、私はしがない男爵令嬢なので、侯爵家や伯爵家、子爵家の子息様方に逆らうことはできないのです。残念ながら」

申し訳ありませんと頭を軽く下げているのに、その顔に悪びれはない。

「でもー、公爵家のあの方でしたから、彼らを止められたかもしれませんね」

誰とは言っていない。
ただ、王太子の脳裏には、先程婚約を破棄した彼女の顔を思い浮かべる。

「まぁ。見目の良い殿下に懸想する者が多く在るのは致し方ないですよね。男女問わずモテる男の宿命的です」

昔から、王太子は王妃に似た顔を嫌っていた。
所謂女顔で、縁者で婚約者だったレンニアーネと並べば姉妹のようだと言われていた。
レンニアーネを厭っていた原因の一つだ。

同じ男として、王太子は騎士団に所属するアドリのような雄々しい体躯と勇ましい顔立ちを羨んでいた。

「殿下?そんな女と話す暇があんなら、俺に集中してください、よっと」

理想だった男に、深い場所まで侵入を許した箇所の痛みはない。疼く身体がアドリを求め、もう、己の身体とは思えなくなっていた。

『本当に良いのですか?』

レンニアーネの言葉が脳裏を巡る。

彼女は気づいていたのだろうか。
彼らの、隠れた獣欲に。 

「ちなみに、殿下のお粗末な根回しと違って私達は言い逃れできる捏造証拠を準備していますので、あしからず。
…王家は殿下の性癖を秘匿する為に、我々は今まで通り貴方に侍る事を許されそうですよね」
「これからも俺らで殿下を愛してやれるってことか?」
「本当?ザイルの言ってたように振る舞えばいいの?」

ザイルの笑みに、アドリもカーグも色めきだつ。

王太子だけは、恐怖で顔を青くした。

(レンニアーネっ…!助けて)

今更後悔したところで、王太子の砕けた男の矜持を取り戻せるわけではないのだけれど。
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