5 / 10
毒蛇を放たれた者
五
※蛇苦手な方は注意
もぞり。
寝台で眠っていたエリカは、僅かな振動で目が覚めた。
空腹で眠りが浅かったせいかもしれない。
ルーレンヴィアが美味しいご飯を用意してくれた日は朝までよく眠れたのに。
寝台のシーツを撫でた。
揺れの原因を探り、すぐに手に何かが触れた。
上掛けを剥ぎ、それが何かを確認して、エリカは声を上げた。
「美味しくなさそう」
エリカの寝台に居たのは大きな蛇だ。
何処から忍び込んだのか知らないが、エリカの太腿程の太さがある胴体をうねらせている。
蛇は、まだ食べたことがない。
どこかの国では食べられていることもあるらしいが、エリカはまだない。
今の所進んで食べてみたいとも思ったことはなかった。
『美味しくなさそう、が第一声なのは初めてだな』
「…ん?」
エリカはキョロキョロと頭を振って部屋を見渡す。
いつもいる侍女は部屋にはいない。
夜はいつも一人のはずだった。
今夜もそれは同様で…。
『何処みてんだよ』
大きな蛇が動き、エリカに近づく。
「え?貴方…?珍しい!」
『驚かないのか』
「驚いているけど?」
大蛇に怯むことなく、エリカは珍しがって黒く長い身体に触れている。
エリカは大蛇の表情など読めない。そのはずなのに、不服そうな不満そうな、そんな顔をしているようにみえた。
『オレは毒持ちの蛇だぞ』
「そうなの!?自分の毒で死んだりしないの?」
『死ぬか』
エリカは大蛇の胴に頬を寄せて、「冷たくて気持ちいい」と、くっついている。
胡乱な目で、大蛇はエリカを見下ろす。
「毒蛇さんがどうしてここにいるの?迷子?」
いつまでも呑気なエリカに、大蛇の方が疲労を覚え始めた。
『王を騙した罪で、お前は俺に食われるんだよ』
「騙す…?なにを」
『…そうだなぁ、お前にそんな自覚は無いのだろうな』
誰かを騙す、そんな複雑な思考を持っているようには見えない。
少し話をしただけでもわかる。
無知な子供のようだと。身体は立派に成人しているようだけれど。
しかし、大蛇がここにいるのはエリカを食らうため。
狩りに出ることもなく、用意される肉を食らい寝て過ごすだけの生活が城にはあった。
このぬるい生活を守るためには、仕事もせねばならない。
…しかし。
多少愉しんでも文句は言われまい。
大蛇は胴にくっつくエリカの寝間着の裾から頭をつっこんだ。
もぞり。
寝台で眠っていたエリカは、僅かな振動で目が覚めた。
空腹で眠りが浅かったせいかもしれない。
ルーレンヴィアが美味しいご飯を用意してくれた日は朝までよく眠れたのに。
寝台のシーツを撫でた。
揺れの原因を探り、すぐに手に何かが触れた。
上掛けを剥ぎ、それが何かを確認して、エリカは声を上げた。
「美味しくなさそう」
エリカの寝台に居たのは大きな蛇だ。
何処から忍び込んだのか知らないが、エリカの太腿程の太さがある胴体をうねらせている。
蛇は、まだ食べたことがない。
どこかの国では食べられていることもあるらしいが、エリカはまだない。
今の所進んで食べてみたいとも思ったことはなかった。
『美味しくなさそう、が第一声なのは初めてだな』
「…ん?」
エリカはキョロキョロと頭を振って部屋を見渡す。
いつもいる侍女は部屋にはいない。
夜はいつも一人のはずだった。
今夜もそれは同様で…。
『何処みてんだよ』
大きな蛇が動き、エリカに近づく。
「え?貴方…?珍しい!」
『驚かないのか』
「驚いているけど?」
大蛇に怯むことなく、エリカは珍しがって黒く長い身体に触れている。
エリカは大蛇の表情など読めない。そのはずなのに、不服そうな不満そうな、そんな顔をしているようにみえた。
『オレは毒持ちの蛇だぞ』
「そうなの!?自分の毒で死んだりしないの?」
『死ぬか』
エリカは大蛇の胴に頬を寄せて、「冷たくて気持ちいい」と、くっついている。
胡乱な目で、大蛇はエリカを見下ろす。
「毒蛇さんがどうしてここにいるの?迷子?」
いつまでも呑気なエリカに、大蛇の方が疲労を覚え始めた。
『王を騙した罪で、お前は俺に食われるんだよ』
「騙す…?なにを」
『…そうだなぁ、お前にそんな自覚は無いのだろうな』
誰かを騙す、そんな複雑な思考を持っているようには見えない。
少し話をしただけでもわかる。
無知な子供のようだと。身体は立派に成人しているようだけれど。
しかし、大蛇がここにいるのはエリカを食らうため。
狩りに出ることもなく、用意される肉を食らい寝て過ごすだけの生活が城にはあった。
このぬるい生活を守るためには、仕事もせねばならない。
…しかし。
多少愉しんでも文句は言われまい。
大蛇は胴にくっつくエリカの寝間着の裾から頭をつっこんだ。
あなたにおすすめの小説
可愛らしい人
はるきりょう
恋愛
「でも、ライアン様には、エレナ様がいらっしゃるのでは?」
「ああ、エレナね。よく勘違いされるんだけど、エレナとは婚約者でも何でもないんだ。ただの幼馴染み」
「それにあいつはひとりで生きていけるから」
女性ながらに剣術を学ぶエレナは可愛げがないという理由で、ほとんど婚約者同然の幼馴染から捨てられる。
けれど、
「エレナ嬢」
「なんでしょうか?」
「今日の夜会のパートナーはお決まりですか?」
その言葉でパートナー同伴の夜会に招待されていたことを思い出した。いつものとおりライアンと一緒に行くと思っていたので参加の返事を出していたのだ。
「……いいえ」
当日の欠席は著しく評価を下げる。今後、家庭教師として仕事をしていきたいと考えるのであれば、父親か兄に頼んででも行った方がいいだろう。
「よければ僕と一緒に行きませんか?」
義兄のために私ができること
しゃーりん
恋愛
姉が亡くなった。出産時の失血が原因だった。
しかも、子供は義兄の子ではないと罪の告白をして。
入り婿である義兄はどこまで知っている?
姉の子を跡継ぎにすべきか、自分が跡継ぎになるべきか、義兄を解放すべきか。
伯爵家のために、義兄のために最善の道を考え悩む令嬢のお話です。
【R18】深層のご令嬢は、婚約破棄して愛しのお兄様に花弁を散らされる
奏音 美都
恋愛
バトワール財閥の令嬢であるクリスティーナは血の繋がらない兄、ウィンストンを密かに慕っていた。だが、貴族院議員であり、ノルウェールズ侯爵家の三男であるコンラッドとの婚姻話が持ち上がり、バトワール財閥、ひいては会社の経営に携わる兄のために、お見合いを受ける覚悟をする。
だが、今目の前では兄のウィンストンに迫られていた。
「ノルウェールズ侯爵の御曹司とのお見合いが決まったって聞いたんだが、本当なのか?」」
どう尋ねる兄の真意は……
私の意地悪な旦那様
柴咲もも
恋愛
わたくし、ヴィルジニア・ヴァレンティーノはこの冬結婚したばかり。旦那様はとても紳士で、初夜には優しく愛してくれました。けれど、プロポーズのときのあの言葉がどうにも気になって仕方がないのです。
――《嗜虐趣味》って、なんですの?
※お嬢様な新妻が性的嗜好に問題ありのイケメン夫に新年早々色々されちゃうお話
※ムーンライトノベルズからの転載です
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
離縁希望の側室と王の寵愛
イセヤ レキ
恋愛
辺境伯の娘であるサマリナは、一度も会った事のない国王から求婚され、側室に召し上げられた。
国民は、正室のいない国王は側室を愛しているのだとシンデレラストーリーを噂するが、実際の扱われ方は酷いものである。
いつか離縁してくれるに違いない、と願いながらサマリナは暇な後宮生活を、唯一相手になってくれる守護騎士の幼なじみと過ごすのだが──?
※ストーリー構成上、ヒーロー以外との絡みあります。
シリアス/ ほのぼの /幼なじみ /ヒロインが男前/ 一途/ 騎士/ 王/ ハッピーエンド/ ヒーロー以外との絡み