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毒蛇を放たれた者
七 ※
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「あー、毒蛇さん、そこイイ、キモチイ」
始めの頃の怯えなど忘れたかのように、エリカは大蛇の男の上で腰を振る。
気持ちいい所を覚えさせ、好きにさせた。
元々素直な性格なのだから、きちんと快楽を教えれば欲望にも忠実だ。
エリカの要領はよかったのか、すぐにコツを掴んで、前傾だったり、仰け反ってみたり、気にいる体勢で快楽を求めている。
『そろそろ後ろも使うか?』
大蛇の男が太腿に手を這わせ、エリカの尻を撫でる。
「それは、…まだ怖いから、いい…」
急に怖気づくエリカに苦笑する。
先程の自分の身に起こった感覚の整理がついていないのだろう。
まだか。
夜が明けるまでしかない命。
もう、時間はそれ程残ってはいない。
こんな出会いでなければ、と思うほどには大蛇の男はエリカを気に入っていた。
度胸があるところも、少し抜けているところも、素直なところも、快楽に弱いところも。
エリカが絶頂の手前で動かなくなったので、大蛇の男が下から突き上げてやってダメ押しをしてやった。
短く啼いて、男にしがみついた。ガクガクと身体をを揺する。
何度めかの吐精。
大蛇の男は遠慮もなく、エリカのナカで吐き出す。
ヒトのそれよりも長く、量の多い子種を吸い上げんばかりに、ぎゅうぎゅうとエリカのナカは締め付ける。
意味のない声を上げ、焦点の合わぬ瞳が大蛇の男の目に映る。
『お前の産んだ子は、生まれてすぐに王の子ではないと言われるほど、外見に変わった特徴があったのか?』
「……ぅ?」
エリカは、己から引き抜いた大蛇のモノを咥えて舐めている。
大蛇の男にある二つの陰茎を、一つは口で、一つは手淫で奉仕していた。
「わからない」
咥えていたものから口を離して、エリカは頭を振った。
『子の顔は見てはいないのか?』
エリカは少し考えて、うんと頭を縦に振った。
『そうか』と告げる。
一目で王族の子とわかるような、特徴でもあるのだろうか。
現王のように、頭の色がキラキラしている、とか。
瞳の色が遺伝する、とか。
「子はまだ出てきてなかった」
『…?』
「これくらいの」
エリカは精液にまみれた両手で、丸を作る。
「卵を産んだの」
ーーー
「エリカ様は、おそらく有鱗目種の血を引いている者であろうと、結論づけました」
ルーレンヴィアは、寝台で己を抱きしめる泉の主に少しずつ話をした。
『トカゲとか蛇のような?』
「エリカ様の言動から、なんとなく、ですが」
ルーレンヴィアの祖国は菜食主義であった。
肉を食す者への目は厳しくなる。
外交でそういう人種と交流する機会があるので、ルーレンヴィアにはそれほど悪感情はない。
それでも、空を飛ぶ鳥に対して「美味しそうだ」と発したエリカに疑問を持った。
肉料理に似せた、豆を潰して固めて焼いた物を食事に出してみても、違うと突っぱねられた。
匂いが違うと、エリカの鼻の良さに気づいた。
食肉を手に入れる過程で、城で飼っている毒蛇用の餌に気づき、それをどうにか分けてもらい、エリカの元へ持っていくと、彼女は匂いで気づいたのか喜んでルーレンヴィアの持ち込んだ肉を食べ始めたのだ。
生肉を。
さすがに、他国でも生肉の塊にかぶりつく者は居なかった。
ルーレンヴィアは調べに調べて、獣に変化できる獣人種の中にも、有鱗目種に変化できる…いや、人型に擬態できる彼らの存在を突き止めた。
それだけならまだよかった。
トカゲにせよ蛇にせよ、その姿にならなければ問題はない。
有鱗目種と人の間には子は生まれない。
王が妾としてエリカを置くぶんには問題はない。
しかし、エリカに子ができたと聞いて、ルーレンヴィアは驚愕した。
エリカを囲う離宮には王以外の男性は近づけない。
たとえ他の男と交わったとしても子は出来なかった。
相手が同じ、有鱗目種でない限りは。
つまり、エリカはどこかで同族と交わりがあったのだろう。
重要なのは相手を探しだすことではない。
エリカが産み落とすのはおそらく、卵。
卵で孵るのは王の子ではない。
もし、それが知れたら、きっとエリカは王を騙した者として処罰されるかもしれない。
王の最愛を守る為に、ルーレンヴィアはエリカの腹にある卵を流そうとしたのだ。
『それで何故、私の半身のヴィアが泣く』
「エリカ様を守れなかった、不甲斐ない己が情けなくて」
泉の主は、絶えず溢れる涙を受け止め、ルーレンヴィアの口を塞ぐ。
舌を入れてやると、ルーレンヴィアはおずおずとそれに応える。
落ち着いたルーレンヴィアの様子に、主は唇を離してやった。
『その妾の心配をするのはヴィアではなく、卵の父親だろう?』
「…え?」
『今頃ソレに気づいているし、卵も無事だ』
王は、エリカの産んだ卵を土に埋めて無かったことにしろと指示を出していた。
割って壊されることなく、土に埋められたことで外敵から守られ、卵は無事孵化っている。
小さいエリカの子は泉の周りを走り回っていたので、主はそれを知っていた。
「エリカ様は、子の父様と…?」
『今は二子を仕込んでいるようだな』
ルーレンヴィアはわけがわからないと混乱している。
あまり感情を見せない主は、ルーレンヴィアの戸惑う姿に笑った。
『妾が有鱗目種ならば、城から逃げ出すのは容易いだろう?』
「…あ」
本来の姿を変えて、部屋から逃げ出せば良いだけ。
毒蛇を放たれる前に。
『王はヴィアにも妾にも罰を与えたが、誰も死んではいない』
安堵で再び涙が溢れるルーレンヴィアを、泉の主は己の身体の上に乗せた。
『よく泣く。これでは身体の中の水が枯れてしまうな』
さらりとルーレンヴィアの臀部を主が撫でて、敏感な身体は反応した。
『私の水を、たっぷり与えてやろう』
ルーレンヴィアの腰を掴んで浮かせると、主の猛りを脚の間に埋められる。
直後にルーレンヴィアの甘い悲鳴が上がったが、もちろん地上に届くことはなかった。
始めの頃の怯えなど忘れたかのように、エリカは大蛇の男の上で腰を振る。
気持ちいい所を覚えさせ、好きにさせた。
元々素直な性格なのだから、きちんと快楽を教えれば欲望にも忠実だ。
エリカの要領はよかったのか、すぐにコツを掴んで、前傾だったり、仰け反ってみたり、気にいる体勢で快楽を求めている。
『そろそろ後ろも使うか?』
大蛇の男が太腿に手を這わせ、エリカの尻を撫でる。
「それは、…まだ怖いから、いい…」
急に怖気づくエリカに苦笑する。
先程の自分の身に起こった感覚の整理がついていないのだろう。
まだか。
夜が明けるまでしかない命。
もう、時間はそれ程残ってはいない。
こんな出会いでなければ、と思うほどには大蛇の男はエリカを気に入っていた。
度胸があるところも、少し抜けているところも、素直なところも、快楽に弱いところも。
エリカが絶頂の手前で動かなくなったので、大蛇の男が下から突き上げてやってダメ押しをしてやった。
短く啼いて、男にしがみついた。ガクガクと身体をを揺する。
何度めかの吐精。
大蛇の男は遠慮もなく、エリカのナカで吐き出す。
ヒトのそれよりも長く、量の多い子種を吸い上げんばかりに、ぎゅうぎゅうとエリカのナカは締め付ける。
意味のない声を上げ、焦点の合わぬ瞳が大蛇の男の目に映る。
『お前の産んだ子は、生まれてすぐに王の子ではないと言われるほど、外見に変わった特徴があったのか?』
「……ぅ?」
エリカは、己から引き抜いた大蛇のモノを咥えて舐めている。
大蛇の男にある二つの陰茎を、一つは口で、一つは手淫で奉仕していた。
「わからない」
咥えていたものから口を離して、エリカは頭を振った。
『子の顔は見てはいないのか?』
エリカは少し考えて、うんと頭を縦に振った。
『そうか』と告げる。
一目で王族の子とわかるような、特徴でもあるのだろうか。
現王のように、頭の色がキラキラしている、とか。
瞳の色が遺伝する、とか。
「子はまだ出てきてなかった」
『…?』
「これくらいの」
エリカは精液にまみれた両手で、丸を作る。
「卵を産んだの」
ーーー
「エリカ様は、おそらく有鱗目種の血を引いている者であろうと、結論づけました」
ルーレンヴィアは、寝台で己を抱きしめる泉の主に少しずつ話をした。
『トカゲとか蛇のような?』
「エリカ様の言動から、なんとなく、ですが」
ルーレンヴィアの祖国は菜食主義であった。
肉を食す者への目は厳しくなる。
外交でそういう人種と交流する機会があるので、ルーレンヴィアにはそれほど悪感情はない。
それでも、空を飛ぶ鳥に対して「美味しそうだ」と発したエリカに疑問を持った。
肉料理に似せた、豆を潰して固めて焼いた物を食事に出してみても、違うと突っぱねられた。
匂いが違うと、エリカの鼻の良さに気づいた。
食肉を手に入れる過程で、城で飼っている毒蛇用の餌に気づき、それをどうにか分けてもらい、エリカの元へ持っていくと、彼女は匂いで気づいたのか喜んでルーレンヴィアの持ち込んだ肉を食べ始めたのだ。
生肉を。
さすがに、他国でも生肉の塊にかぶりつく者は居なかった。
ルーレンヴィアは調べに調べて、獣に変化できる獣人種の中にも、有鱗目種に変化できる…いや、人型に擬態できる彼らの存在を突き止めた。
それだけならまだよかった。
トカゲにせよ蛇にせよ、その姿にならなければ問題はない。
有鱗目種と人の間には子は生まれない。
王が妾としてエリカを置くぶんには問題はない。
しかし、エリカに子ができたと聞いて、ルーレンヴィアは驚愕した。
エリカを囲う離宮には王以外の男性は近づけない。
たとえ他の男と交わったとしても子は出来なかった。
相手が同じ、有鱗目種でない限りは。
つまり、エリカはどこかで同族と交わりがあったのだろう。
重要なのは相手を探しだすことではない。
エリカが産み落とすのはおそらく、卵。
卵で孵るのは王の子ではない。
もし、それが知れたら、きっとエリカは王を騙した者として処罰されるかもしれない。
王の最愛を守る為に、ルーレンヴィアはエリカの腹にある卵を流そうとしたのだ。
『それで何故、私の半身のヴィアが泣く』
「エリカ様を守れなかった、不甲斐ない己が情けなくて」
泉の主は、絶えず溢れる涙を受け止め、ルーレンヴィアの口を塞ぐ。
舌を入れてやると、ルーレンヴィアはおずおずとそれに応える。
落ち着いたルーレンヴィアの様子に、主は唇を離してやった。
『その妾の心配をするのはヴィアではなく、卵の父親だろう?』
「…え?」
『今頃ソレに気づいているし、卵も無事だ』
王は、エリカの産んだ卵を土に埋めて無かったことにしろと指示を出していた。
割って壊されることなく、土に埋められたことで外敵から守られ、卵は無事孵化っている。
小さいエリカの子は泉の周りを走り回っていたので、主はそれを知っていた。
「エリカ様は、子の父様と…?」
『今は二子を仕込んでいるようだな』
ルーレンヴィアはわけがわからないと混乱している。
あまり感情を見せない主は、ルーレンヴィアの戸惑う姿に笑った。
『妾が有鱗目種ならば、城から逃げ出すのは容易いだろう?』
「…あ」
本来の姿を変えて、部屋から逃げ出せば良いだけ。
毒蛇を放たれる前に。
『王はヴィアにも妾にも罰を与えたが、誰も死んではいない』
安堵で再び涙が溢れるルーレンヴィアを、泉の主は己の身体の上に乗せた。
『よく泣く。これでは身体の中の水が枯れてしまうな』
さらりとルーレンヴィアの臀部を主が撫でて、敏感な身体は反応した。
『私の水を、たっぷり与えてやろう』
ルーレンヴィアの腰を掴んで浮かせると、主の猛りを脚の間に埋められる。
直後にルーレンヴィアの甘い悲鳴が上がったが、もちろん地上に届くことはなかった。
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