王が下した妃の処刑

基本二度寝

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残った者

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エリカに毒蛇を放たせた夜が明け、王は目覚めた。

いつものように支度をして、朝食を取ったあとに執務室に向かう。

すでに大臣各位が集まって、王を待っていた。

「報告を」

あまり変わりない報告が続く。
報告内容に、王が以前したはずの指示が届いていない部分に気づくが、声を荒げたりはしない。

十与えた指示のうち、五も出来ていたら良いと、王は自身を納得させている。

ルーレンヴィアの処罰後、臣下に指摘を受けた。

王の指示はわかりにくい。

他国の言語を習得している王の言葉には、他国の言語が随所に交じる。
自国の言葉よりも便利と感じる単語を無意識に多用していた。

主要な何カ国かの言語は理解できる大臣らも、十も二十もある言語を全て把握できてはいない。

新しい改革だと、先代からの古い臣下を切った弊害だった。
前任の大臣や宰相ならば、付き合いの長かった年配の臣下らは現王の言葉も多少は理解できたし、わからぬことはすぐに指摘しただろう。

しかし、代替わりをした若い世代はそうはいかない。

その緩衝材となっていたのが、ルーレンヴィアだった。
同じ教育を受けた元妃のルーレンヴィアは、王の言葉を理解し、真意を汲み取ることができた。
王の通訳はルーレンヴィアしかいなかった。

そして、その妃を王は切り捨てた。

妾の…産んだおぞましい物を流そうとした罪で。

今にして思えば、ルーレンヴィアは王の命令に忠実だった。

王の最愛エリカを何人からも守れと言う命に従って、エリカの腹にあるものに気づき、流すことで彼女を守ろうとした。

エリカが人では無い者だと知られると、王は糾弾される。
ルーレンヴィアのしたことは、結局のところ王の為だったのだ。

王がそれと気づいたのは、エリカが卵を産み落とし、それらが発覚した後。

ルーレンヴィアの行動理由を考察して、後悔した。


短気は判断を誤ると知った。
ならば、気を長く持つしかない。




「…エリカが居ない?」

顔を青くした毒蛇の管理者が報告に来た。

「エリカの部屋に蛇を放ったのだ。食われたのだろう?」

違うと管理者は頭を振った。

「残されていたのは衣類だけで…妾様も…毒蛇も…姿を消しました」

だんっと大きな大を立てて王は立ち上がる。

「毒蛇を見失っただと!?」

ビクリと毒蛇の管理者が震え上がる。

「探せ!所在がわからぬようになるなど…!!」

夜も安心して眠れなくなってしまう。

もはやエリカの事などどうでもよかった。
毒蛇が、城内に潜んでいるのか、はたまた城下に下ったか。

死傷者の報告が上がらぬよう、王はただひたすら祈る他なかった。







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