異世界転生請負人・渡界人~知られざる異世界転生の裏側公開します

紀之

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3章 候補者は4人

9  異世界コンペ④

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 渡と黒崎美鈴、2人のプレゼンを聞いても真龍警部は微動だにしない。

「非常に魅力的な人材ではある。だが残念ながら戦闘は避けられない。人員が最小限の4人なのはパーティの機動力と投資できる金の問題とのギリギリの折り合いの結果でしかないのだが」

「その口ぶりからするとまだこちらに話していない要素があるようですね」

「君だって予想している事だ。つまり、我々と同じように考える知的生命体とそれを主導する黒幕、つまり神の存在がね。つまり真に懸念すべきは彼らがどんな姿と能力であれ、出し抜き場合によっては殺害も辞さない覚悟がいるのだ。君達の推薦するその2人にはその覚悟があるのか?」

「そんな・・・そんな話は一言もされてないぞ!だましたな!?」

景勝氏が鏡の中の真龍警部につかみかからんばかりに腕を振りあげたがそれを渡が制した。

「だますも何も君らが考える『冒険』とやらにはつきものの出来事だと思うがね。だからこそ一般人ではなく君達のような脛に傷ある人間を特に選んでいるのだ。適材適所だよ」

「ではどこの神がどんな世界の知的生命体を送り込んでくる可能性が高いか、そこを議論しましたか?」
なおも暴れる景勝氏を強引に椅子に座らせて渡が切り込んだ。

「そ・・・それが・・・・」

「対象がとても多くて絞り切れず・・つまりあらゆる危険に対応しなければならないという結論に・・・・」

真龍警部の左右の博士風の男達はしどろもどろに答える。

「では全体の利益の為、私の私見を述べさせてもらってもよろしいでしょうか?」

「良いだろう」

「私が考えるに創造の失敗作のエネルギー、仮にカオスと呼ばせて頂きますがこれを狙う最大のライバルはダーハムとこれを神と崇める一派と見ます」

「それは何故?他にもいるでしょう?」

「世界を創る、あるいは造りなおすにはそれなりの理由がいるでしょう。あらゆる次元の神から嫌悪されるダーハムが強大な力を持ちながら世界創造の力を生み出せないのはこの業界の人間ならご存じのはず。彼が自分を崇める知的生命体の為の安住の地の為の世界を求めるのは自然の流れだと思います。そして彼を信奉する者とはこちらの世界で言うところの犯罪者が圧倒的に多い」

「ちょっと待ってくれ。それならもうそのカオスはダーハムとやらの手にもう落ちているんじゃないのか?」

渡の説明に私は思わず嘴を挟んでしまった。だが渡は嫌な顔をするどころかにやりと笑い

「そう、その点はどうなっているのですか?真龍警部」

「カオスは未だに健在だ。作り変えられた形跡はない」

「つまり仲間割れかもしくは他の要素で彼らは全滅した可能性が高い。つまりこの遠征で最も重要な要素は未知の空間でいかに疑心暗鬼にならずに協力が出来るかという点に掛かっているのです」

渡はそう言って持論を締めくくった。
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