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プロローグ
ナイチンゲール誓詞
しおりを挟む〝天使とは、
美しい花をまき散らす者ではなく、
苦悩する者のために戦う者である。〟
ーF.ナイチンゲール
その昔、ナイチンゲールという看護師がいた。医療、とりわけ看護に携わる者ならその名を知らぬ者はいない。
彼女は19世紀、劣悪な環境だった病院に現在の清潔・不潔の概念を定着させる事により病院での死亡者を圧倒的に減らす事に成功した。
当時の病院では骨折の患者と結核の患者が同じベッドで横たえられるという今では絶対に考えられない事が普通に行われていた。
当然、結核は空気感染するので、骨がくっつけば歩いて退院できるはずの患者は隣人が撒き散らす結核菌のおかげでこの当時の不治の病で命を落としかねない事になる。
そのような病床環境に革命を起こしたのがイギリス貴族の息女でありながら看護婦という当時としては身分の低い女性がなる職業に就いたF・ナイチンゲールである。
看護婦になった彼女はクリミア戦争に従軍し、劣悪な野戦病院の環境を清潔に整備することにより負傷兵の死亡率を下げることに成功した。
傷ついた兵士には一人一つのベッドが宛てがわれ、ランプを携え巡回する彼女を〝ランプを持った貴婦人〟と敬意と感謝を込めて呼んだ。
そして今日、看護師になる人々が彼女の慈愛と高潔な志の灯火を受け継ぐべく継灯式という式典が行われる。
看護学生達は偉大なるナイチンゲールを象った象が持つ蝋燭の灯火を自分の手の中の蝋燭に頂き、ナイチンゲール誓詞を粛々と諳んじる。
そして、病に苦しむ人々に手を差し伸べるべく白衣に袖を通して臨床へ、もしくは研究室へと一歩を踏み出すのだ。
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