引きこもり雪女はナゾトキタイムを楽しみたい

さち

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音楽室の幽霊

プロローグ

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「はぁ、私ってほんとついてないなぁ」

 
 教職一年目は前夜祭に酷い目に遭うと聞いてたけど......。

 まさか生徒立ち入り禁止の4階警備とは思わなかった。
 怖がりの私は、副校長に頼まれでもしなかったら絶対に引き受けない仕事。
 
 でも半ば強制的な上司からの頼み事は断ることは出来ず......トホホ。


 夜の学校って言うのは教師になったからと言っても怖いことに変わりはない。
 今も後ろから人体模型が追い抜かしてきそうだ。


「っと、あとはここだったっけ......」


 懐中電灯を上げてわかる教室の名前。 
 「音楽室」そう書かれた看板を見てため息を吐く。


「ダメダメ!弱気になったらもっと怖いわ!」


 拍手一拍。
 邪気を追い払う気分で、まずはドアの施錠確認。


「え?」


 つい最近新調した音楽室のドアは意外にもあっさり、ガラリと開く。

 私は音楽の担当をしているので、当然この教室の施錠も夕方にはしているんだけど......。


「なんで開いて......」


 疑問に思うが、それを直ぐに拭う存在が一つ。
 それは警備員さんだ。
 警備員さんはよく教室確認の際に、一度鍵を開けてから中を確認して閉める。
 
 きっと警備員さんが閉め忘れたんだ。
 うん。そう考えよう。


「はぁー、ほんっと怖いなぁ」


 恐る恐る教室に懐中電灯当て、泳がせる。


 鍵盤が少し重い古びたグランドピアノ。
 次に黒板、そして生徒たちが並ぶ場所ーーーー。


 順々に懐中電灯を巡らせ、ふと気づく。


「あ、れ?」


 気づかなかった違和感。しかし気づいて仕舞えば拭い去ることができない寒気が背筋を這う。


「ヒィッ!?」


 どこかで聞いたような七不思議。
 夜の音楽室で、ベートーヴェンの目が赤く光る。
  

 あぁ、私ってほんっと不幸。


 


 ......この日私は、どうやって辞表を出すか。それだけを考えながら廊下を走った。
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