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転生、そして──
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「っ……はぁ……はぁっ…」
意識が浮上する感覚
重たい瞼をゆっくり開いた
見たことの無い天井
喉を塞いでいた栓が外れた様に肺を空気が満たす
体が、軽い
出血も、痣も、傷跡すらも見当たらない
それどころか……少し、縮んだような…?
「あら?お嬢様、お早いお目覚めですね」
横から聞こえた声に顔を向けた
メイド服の女性
今、この場に他の人物はいない
と、なると彼女が呼ぶ"お嬢様"とは私の事を指すのだろうか
「わた、し………!?」
「お嬢様…?」
傍から見れば奇妙な光景だろう
自らが発した声に自らが動揺しているのだから
小鳥のようなか細い声
自らの耳が捉えたその音は自分のものではなかった
ふと、彼女越しに見えた鏡へと目を向ける
寝癖でぼさぼさの黒髪
少しツリ目気味の瞳
そこに居たのは紛れもなく私だ
これは、一体どういうことなのだろうか
「ふふ、お嬢様、今日が約束の日だからって、動揺し過ぎですわ」
「え?……約束の、日?」
混乱した頭
やけに、彼女が告げた約束の日、という言葉がすんなりと脳へ染み込む
私は、その言葉を知っている
いや、知っている、というよりか何度も聞いた覚えがある、の方が正しいだろうか
戸惑う私をくすくすと彼女は笑った
何故、だろう
訪れて、目にしたことも無い風景
話したことのない侍女
少しだけ若返って、目つきの悪くなっている私の体
全てが、初めて見るもの
それなのに、記憶に残る微かな断片は何故、この風景を知っているの?
「えぇ、今日はアイラ様とのお茶会の日。楽しみだ、と昨日も喜ばれていたではないですか」
「…………え?」
『───アイラ様、難しすぎるよぅ』
思考が、追いつかない
死の直前、聞いた彼女の言葉が頭の中で再生される
……嗚呼。
やっと、頭の中で、いくつかに散らばっていた記憶のピースが纏まる
私にそっくりな容姿
訪れたわけでも、テレビで見た訳でもないのに、記憶に残った景色
チュートリアルを兼ねた、『お茶会』という最初のイベント
ここは───
乙女ゲームの世界だ。
意識が浮上する感覚
重たい瞼をゆっくり開いた
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体が、軽い
出血も、痣も、傷跡すらも見当たらない
それどころか……少し、縮んだような…?
「あら?お嬢様、お早いお目覚めですね」
横から聞こえた声に顔を向けた
メイド服の女性
今、この場に他の人物はいない
と、なると彼女が呼ぶ"お嬢様"とは私の事を指すのだろうか
「わた、し………!?」
「お嬢様…?」
傍から見れば奇妙な光景だろう
自らが発した声に自らが動揺しているのだから
小鳥のようなか細い声
自らの耳が捉えたその音は自分のものではなかった
ふと、彼女越しに見えた鏡へと目を向ける
寝癖でぼさぼさの黒髪
少しツリ目気味の瞳
そこに居たのは紛れもなく私だ
これは、一体どういうことなのだろうか
「ふふ、お嬢様、今日が約束の日だからって、動揺し過ぎですわ」
「え?……約束の、日?」
混乱した頭
やけに、彼女が告げた約束の日、という言葉がすんなりと脳へ染み込む
私は、その言葉を知っている
いや、知っている、というよりか何度も聞いた覚えがある、の方が正しいだろうか
戸惑う私をくすくすと彼女は笑った
何故、だろう
訪れて、目にしたことも無い風景
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少しだけ若返って、目つきの悪くなっている私の体
全てが、初めて見るもの
それなのに、記憶に残る微かな断片は何故、この風景を知っているの?
「えぇ、今日はアイラ様とのお茶会の日。楽しみだ、と昨日も喜ばれていたではないですか」
「…………え?」
『───アイラ様、難しすぎるよぅ』
思考が、追いつかない
死の直前、聞いた彼女の言葉が頭の中で再生される
……嗚呼。
やっと、頭の中で、いくつかに散らばっていた記憶のピースが纏まる
私にそっくりな容姿
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ここは───
乙女ゲームの世界だ。
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