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依頼者1
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死を予期するタイミングは人それぞれである。中でも、寿命でない状況での死は人に焦燥感と閉塞感を与え、呼吸の乱れや精神でいう『諦め』を蓄積させる。
遥と涼子は今まさに、そんな状況に陥っていた。
「ねえ。本当に大丈夫なの?」
「信じるしかありません」
遥は首元まで来ている水面が波打たないよう、静かに呼吸を繰り返す。
「……お腹すいた」
「そうね。生きて帰れたら、高級しゃぶしゃぶを約束するわ」
紫色に変色した唇を震わせ。涼子は精一杯、口角をあげた。
十日前——
渋谷区広尾。閑静な住宅が建ち並ぶ中、一際大きい建造物の前に男は立つ。
その建物を見上げて、男はふんっ、と鼻を鳴らした。
「なるほど。こりゃいい仕事になりそうだ」
ビルドインガレージに並ぶのは、いずれも一眼で分かる高級車だ。視線をスライドさせていけば、右側に看板。ドレスを見に纏った女性の裾が風に靡《なび》くそのロゴは、“ウエディング”の文字に相応しく煌びやかに舞う。
「幸せなんざ、きどりやがって」
男はキャップを目深に被ると、意を決してインターホンを押した。
「お届けものでーす」
「はいはーい……えっ」
鍵を開けてドアを少し開けたところで、相手にドアを引かれた涼子は思わず声を上げる。
「両手をあげろ。抵抗すれば、今ここでお前を撃ち殺す」
「うっそ……」
向けられた銃口は、涼子の額の真ん中をジリジリと圧迫していた。
「現金でも時計でも金目のものなんでもいいから、このカバンにあるだけ詰め込め。時間はないぞ」
「こんなことって……あるのね」
「あ?」
「残念だけど、手をあげるのはあなたの方だと思うわ」
途端、無数の足音が近づく。警察官に囲まれた男は逃げ場を失い、瞬刻で両手を上げた。
「な、なんで!」
「お前がこの事務所に強盗に入るってタレコミがあったんだよ。酔った拍子にどっかで喋ったんじゃねーか? マヌケなこった」
「そんな……」
オレンジのTシャツに黒いスエットのズボンを履いた強盗の男……もとい、強盗未遂で捕まった男は、特に抵抗もせずに大人しく連行されていく。
一瞬で過ぎ去った嵐のような状況の中、遥は涼子の耳に口を寄せた。
「いたずらじゃありませんでしたね。強盗があんな数の警察官に現行犯逮捕されてる現場なんて、なかなか見られないですよ」
「感心してる場合? あたし拳銃突きつけられたのよ?」
「あれ本物だったのかな」
「冗談やめてよ。モデルガンかなにかでしょう」
案外普通な遥の態度に涼子が不満を漏らしていると、男が二人、遥たちの元にやってきた。
「警部の九条です。こちらは巡査部長の佐藤。先程の男、名前を橘達也というのですが、聞き覚えは?」
二人は顔を見合わせてから、互いに首を横に振る。
「そうですか。では、何かわかりましたらまたご連絡します。しばらくはこの辺りの巡回も強化しますので、戸締りを厳重に」
九条が話をする最中、佐藤のスマホに着信が入った。一分も立たないうちに電話を切ると、佐藤は九条に報告する。
「警部、先程またアクビスに関する相談者が署の方に来たそうです。それも今度は、あのホテル久喜グループの代表だそうで」
ホテル久喜。その名を聞いた涼子は思わず口を開いた。
「あの、ホテル久喜の代表ってもしかして菊田晃さんのことじゃありませんか?」
「ええ、まあ。お知り合いで?」
「以前にちょっとした経緯で。晃さんがどうかなさったんですか?」
「ああいや、そういうのはちょっと。捜査内容は申し上げられない決まりでして」
その時、遠くでインターホンのチャイムが鳴る。
「今のここのチャイムじゃありませんね」
「たぶん遥の事務所の方だと思います。珍しいわね」
遥が玄関までの階段を降りていると、降り切る前にドンドン! と激しくドアが叩かれた。
「伊東さん、菊田です! お願いです助けて下さい!」
遥が急いでドアを開けると、そこには肩で息をする晃が立っていた。
「あの。どうして警察の方が?」
九条の隣に居た制服姿の佐藤を見て晃が不思議そうに尋ねたので、遥は先程の強盗のことを話した。
「九条です。少し前に警察にも来られたそうで、お話に同席しても構いませんか? 佐藤、お前は署に戻って橘の聴取と報告書。アクビスの件は俺が戻るまで話を上にあげるなよ」
「はっ、承知しました」
佐藤は九条に敬礼をして事務所を出て行った。
「なんだか、すみません。タイミング悪く訪ねてしまって」
俯く晃の髪には白髪が混じっている。元々細身だった晃だが、しわくちゃなスーツが身体に合わないくらいにはやつれてしまった印象だった。
「助けてくださいとは、一体何があったんですか?」
遥の言葉に、晃は顔をあげて話し始める。
「たか絵が連れ去られてしまったんです。それに娘の舞も……あの団体は危険だ。今も二人がどうなっているのか気が気でなくて」
「あの団体?」
「アクビスの里。慈善事業をうたっている宗教団体ですよ」
アクビスの里は、埼玉の田舎町に広大な土地を持ち、信者のみで畑や養鶏場を営んで自給自足の生活を送っている団体だと晃は言った。
「たか絵は一ヶ月くらい前からアクビスに通うようになり、三日前にとうとう荷物をまとめて出て行ってしまいました。警察にも何度も行ったのですが、本人の意思だからとまともに取り合ってもらえなくて」
晃は一瞬九条に視線を移したが、すぐに遥に向き直る。
「もう頼れるのは探偵の伊東さんしかいない。藁にもすがる思いでここまでやってきました。お願いです、どうかたか絵と娘の舞を連れ戻してください」
テーブルにぶつかりそうな勢いで頭を下げる晃。それを見た九条は涼子に訊いた。
「探偵? ここはウエディングプランニングの会社では?」
「ああ、うちは探偵事務所も併設しているんですよ。男女の間にはトラブルも多々あるもので」
「へえ、ここは資料室じゃなかったのか」
九条は辺りを見回す。
壁一面に取り付けられた本棚。その内容は様々で、国の文化や生活に関する資料、服飾に関する専門書から果ては六法全書まで揃っていた。
テーブルを囲むように臙脂色の革のソファが四つ、その他にあるのはテレビと部屋の隅に置かれた小さなデスクだけで、薄暗い電球色の照明が一層資料室の雰囲気を醸し出す。
九条の発言に一つ咳払いをすると、涼子は話を元に戻した。
「それにしても、あのたか絵さんが宗教にハマるなんて意外だわ。芯のしっかりした方だったから」
「三年前に舞が生まれてから、たか絵は家事と育児にずっと追われていたんだと思います」
「……思います?」
涼子は晃の言葉端をすかさず拾う。
「まさか晃さん、家事育児を全部たか絵さんに任せっきりにしたんじゃないでしょうね」
「あ、いや……あの雲島のホテル建設が頓挫してから、次のホテルの建設事業でバタバタしてしまって、その……あまり家のことは、手伝えなくて」
涼子は大袈裟にため息をついた。
「あのね晃さん。その『手伝う』ってスタンスが良くないのよ。二人の家庭、二人の子供でしょう? それじゃあ、たか絵さんに愛想尽かされて当然なんじゃなくて?」
「涼子さん、お説教は後にしましょう。話が先に進まないんで」
すると、そこまで話を聞いていた九条がもしかして、と口を開いた。
「あんたたち、三年前の神野正和と官僚の青池が逮捕された事件で推理をテレビ中継されてた、あの? 確かあの時の中継場所が、ホテル久喜だったような」
「あら、警部さんご存知でしたの。あの事件で、遥の探偵事務所も一躍有名になったんですのよ」
涼子はふふん、と鼻を鳴らして得意げになっている。遥はひとつ咳払いをして話を先に進めた。
「たか絵さんは自らその宗教団体に身を置くことを決めたんですよね? 警察にも『本人の意思だから』そう言われたとか。それならもう、夫婦で互いに話し合われるしか」
バンっ、と晃は思い切りテーブルを叩く。
「そんなことはもう何度もやってきた! アクビスの里まで行ってたか絵と面会して……でも、たか絵はここですべきことがあると私の話を聞かなかった! せめて娘だけでも、舞だけはどうにか連れて帰りたいんです!」
ピンポーン
陰気な空気の中、再び探偵事務所のインターホンが鳴った。
「今日は立て込むわね、探偵業。ああ、いいわ。あたしが出るから」
涼子はそう言うと、玄関までの階段を降りていく。項垂れる晃を見かねて、九条が声をかけた。
「菊田さん、探偵にできることなんてたかが知れていますよ。ここは素直に警察に任せてください。私からも掛け合ってみますから」
「無理ですよ。警察はアクビスの名前を出した途端に門前払いです、信用できません」
遥は状況を伺いながら黙っている。そうしてすぐ、玄関の方から階段を上る足音が聞こえた。
「えっとー……ご依頼の方、通してもいいかしら」
「え? この状況で新規の依頼者を連れてきたんですか? 今は無理でしょう、絶対」
涼子は不思議そうに首を傾げる。
「それがね、どうも彼女の依頼もアクビスの里が関係しているみたいなのよ」
涼子の後ろからひょっこり現れた小柄な女性は、キョロキョロ辺りを見回しながら頭を下げた。
ふわふわの茶髪が、そっと香る。
「お、お願いします! 私の恋人前田洸太を、どうかアクビスから連れ戻してください!」
遥と涼子は今まさに、そんな状況に陥っていた。
「ねえ。本当に大丈夫なの?」
「信じるしかありません」
遥は首元まで来ている水面が波打たないよう、静かに呼吸を繰り返す。
「……お腹すいた」
「そうね。生きて帰れたら、高級しゃぶしゃぶを約束するわ」
紫色に変色した唇を震わせ。涼子は精一杯、口角をあげた。
十日前——
渋谷区広尾。閑静な住宅が建ち並ぶ中、一際大きい建造物の前に男は立つ。
その建物を見上げて、男はふんっ、と鼻を鳴らした。
「なるほど。こりゃいい仕事になりそうだ」
ビルドインガレージに並ぶのは、いずれも一眼で分かる高級車だ。視線をスライドさせていけば、右側に看板。ドレスを見に纏った女性の裾が風に靡《なび》くそのロゴは、“ウエディング”の文字に相応しく煌びやかに舞う。
「幸せなんざ、きどりやがって」
男はキャップを目深に被ると、意を決してインターホンを押した。
「お届けものでーす」
「はいはーい……えっ」
鍵を開けてドアを少し開けたところで、相手にドアを引かれた涼子は思わず声を上げる。
「両手をあげろ。抵抗すれば、今ここでお前を撃ち殺す」
「うっそ……」
向けられた銃口は、涼子の額の真ん中をジリジリと圧迫していた。
「現金でも時計でも金目のものなんでもいいから、このカバンにあるだけ詰め込め。時間はないぞ」
「こんなことって……あるのね」
「あ?」
「残念だけど、手をあげるのはあなたの方だと思うわ」
途端、無数の足音が近づく。警察官に囲まれた男は逃げ場を失い、瞬刻で両手を上げた。
「な、なんで!」
「お前がこの事務所に強盗に入るってタレコミがあったんだよ。酔った拍子にどっかで喋ったんじゃねーか? マヌケなこった」
「そんな……」
オレンジのTシャツに黒いスエットのズボンを履いた強盗の男……もとい、強盗未遂で捕まった男は、特に抵抗もせずに大人しく連行されていく。
一瞬で過ぎ去った嵐のような状況の中、遥は涼子の耳に口を寄せた。
「いたずらじゃありませんでしたね。強盗があんな数の警察官に現行犯逮捕されてる現場なんて、なかなか見られないですよ」
「感心してる場合? あたし拳銃突きつけられたのよ?」
「あれ本物だったのかな」
「冗談やめてよ。モデルガンかなにかでしょう」
案外普通な遥の態度に涼子が不満を漏らしていると、男が二人、遥たちの元にやってきた。
「警部の九条です。こちらは巡査部長の佐藤。先程の男、名前を橘達也というのですが、聞き覚えは?」
二人は顔を見合わせてから、互いに首を横に振る。
「そうですか。では、何かわかりましたらまたご連絡します。しばらくはこの辺りの巡回も強化しますので、戸締りを厳重に」
九条が話をする最中、佐藤のスマホに着信が入った。一分も立たないうちに電話を切ると、佐藤は九条に報告する。
「警部、先程またアクビスに関する相談者が署の方に来たそうです。それも今度は、あのホテル久喜グループの代表だそうで」
ホテル久喜。その名を聞いた涼子は思わず口を開いた。
「あの、ホテル久喜の代表ってもしかして菊田晃さんのことじゃありませんか?」
「ええ、まあ。お知り合いで?」
「以前にちょっとした経緯で。晃さんがどうかなさったんですか?」
「ああいや、そういうのはちょっと。捜査内容は申し上げられない決まりでして」
その時、遠くでインターホンのチャイムが鳴る。
「今のここのチャイムじゃありませんね」
「たぶん遥の事務所の方だと思います。珍しいわね」
遥が玄関までの階段を降りていると、降り切る前にドンドン! と激しくドアが叩かれた。
「伊東さん、菊田です! お願いです助けて下さい!」
遥が急いでドアを開けると、そこには肩で息をする晃が立っていた。
「あの。どうして警察の方が?」
九条の隣に居た制服姿の佐藤を見て晃が不思議そうに尋ねたので、遥は先程の強盗のことを話した。
「九条です。少し前に警察にも来られたそうで、お話に同席しても構いませんか? 佐藤、お前は署に戻って橘の聴取と報告書。アクビスの件は俺が戻るまで話を上にあげるなよ」
「はっ、承知しました」
佐藤は九条に敬礼をして事務所を出て行った。
「なんだか、すみません。タイミング悪く訪ねてしまって」
俯く晃の髪には白髪が混じっている。元々細身だった晃だが、しわくちゃなスーツが身体に合わないくらいにはやつれてしまった印象だった。
「助けてくださいとは、一体何があったんですか?」
遥の言葉に、晃は顔をあげて話し始める。
「たか絵が連れ去られてしまったんです。それに娘の舞も……あの団体は危険だ。今も二人がどうなっているのか気が気でなくて」
「あの団体?」
「アクビスの里。慈善事業をうたっている宗教団体ですよ」
アクビスの里は、埼玉の田舎町に広大な土地を持ち、信者のみで畑や養鶏場を営んで自給自足の生活を送っている団体だと晃は言った。
「たか絵は一ヶ月くらい前からアクビスに通うようになり、三日前にとうとう荷物をまとめて出て行ってしまいました。警察にも何度も行ったのですが、本人の意思だからとまともに取り合ってもらえなくて」
晃は一瞬九条に視線を移したが、すぐに遥に向き直る。
「もう頼れるのは探偵の伊東さんしかいない。藁にもすがる思いでここまでやってきました。お願いです、どうかたか絵と娘の舞を連れ戻してください」
テーブルにぶつかりそうな勢いで頭を下げる晃。それを見た九条は涼子に訊いた。
「探偵? ここはウエディングプランニングの会社では?」
「ああ、うちは探偵事務所も併設しているんですよ。男女の間にはトラブルも多々あるもので」
「へえ、ここは資料室じゃなかったのか」
九条は辺りを見回す。
壁一面に取り付けられた本棚。その内容は様々で、国の文化や生活に関する資料、服飾に関する専門書から果ては六法全書まで揃っていた。
テーブルを囲むように臙脂色の革のソファが四つ、その他にあるのはテレビと部屋の隅に置かれた小さなデスクだけで、薄暗い電球色の照明が一層資料室の雰囲気を醸し出す。
九条の発言に一つ咳払いをすると、涼子は話を元に戻した。
「それにしても、あのたか絵さんが宗教にハマるなんて意外だわ。芯のしっかりした方だったから」
「三年前に舞が生まれてから、たか絵は家事と育児にずっと追われていたんだと思います」
「……思います?」
涼子は晃の言葉端をすかさず拾う。
「まさか晃さん、家事育児を全部たか絵さんに任せっきりにしたんじゃないでしょうね」
「あ、いや……あの雲島のホテル建設が頓挫してから、次のホテルの建設事業でバタバタしてしまって、その……あまり家のことは、手伝えなくて」
涼子は大袈裟にため息をついた。
「あのね晃さん。その『手伝う』ってスタンスが良くないのよ。二人の家庭、二人の子供でしょう? それじゃあ、たか絵さんに愛想尽かされて当然なんじゃなくて?」
「涼子さん、お説教は後にしましょう。話が先に進まないんで」
すると、そこまで話を聞いていた九条がもしかして、と口を開いた。
「あんたたち、三年前の神野正和と官僚の青池が逮捕された事件で推理をテレビ中継されてた、あの? 確かあの時の中継場所が、ホテル久喜だったような」
「あら、警部さんご存知でしたの。あの事件で、遥の探偵事務所も一躍有名になったんですのよ」
涼子はふふん、と鼻を鳴らして得意げになっている。遥はひとつ咳払いをして話を先に進めた。
「たか絵さんは自らその宗教団体に身を置くことを決めたんですよね? 警察にも『本人の意思だから』そう言われたとか。それならもう、夫婦で互いに話し合われるしか」
バンっ、と晃は思い切りテーブルを叩く。
「そんなことはもう何度もやってきた! アクビスの里まで行ってたか絵と面会して……でも、たか絵はここですべきことがあると私の話を聞かなかった! せめて娘だけでも、舞だけはどうにか連れて帰りたいんです!」
ピンポーン
陰気な空気の中、再び探偵事務所のインターホンが鳴った。
「今日は立て込むわね、探偵業。ああ、いいわ。あたしが出るから」
涼子はそう言うと、玄関までの階段を降りていく。項垂れる晃を見かねて、九条が声をかけた。
「菊田さん、探偵にできることなんてたかが知れていますよ。ここは素直に警察に任せてください。私からも掛け合ってみますから」
「無理ですよ。警察はアクビスの名前を出した途端に門前払いです、信用できません」
遥は状況を伺いながら黙っている。そうしてすぐ、玄関の方から階段を上る足音が聞こえた。
「えっとー……ご依頼の方、通してもいいかしら」
「え? この状況で新規の依頼者を連れてきたんですか? 今は無理でしょう、絶対」
涼子は不思議そうに首を傾げる。
「それがね、どうも彼女の依頼もアクビスの里が関係しているみたいなのよ」
涼子の後ろからひょっこり現れた小柄な女性は、キョロキョロ辺りを見回しながら頭を下げた。
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