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第一章 第五妃サリサ
12 イズラエル・クレスウェル(他者視点)
しおりを挟むイズラエル・クレスウェルは、元はフォースター侯爵家の嫡男として生を受けた。
両親はイズラエルと二歳年下の弟を大事に育て、貴族にふさわしい教育を受けさせた。
運命が変わったのは17歳の時。当時の国王からクレスウェル家の養子に入り爵位を継ぐように命じられた。その時のクレスウェル公爵はとうとう後継ぎを得ることができず、爵位返上を申し出ていたのだ。ちょうど行き遅れになってしまった末の王女を持て余していた王家は、クレスウェル家を存続させて降嫁先とすることにした。そこで新当主として選ばれたのが、爵位と年齢がちょうどよく、弟がいて実家を離れることが可能だったイズラエルだ。
イズラエルはクレスウェル家の養子になって王女と婚約し、三年後に結婚した。夫婦の仲は睦まじかったが、公爵夫人は流産を繰り返し、五年後にようやく待望の男児を出産するも数日後に産褥で亡くなった。以後イズラエルは独身を貫いている。
とある夜会にイズラエルは参加していた。
ある程度会場で過ごした後、酔いを醒ますふりをして退席する。従者に案内された個室に向かえば、中には先客がいた。
「クレスウェル公爵」
「クロックフォード侯爵…」
コンタクトを取ってきたのはクロックフォード侯爵の方だが、求めていたのはイズラエルの方だった。ある事実を掴んだイズラエルが、それを持て余していたのをクロックフォード侯爵は知っている。それと悟られないように、けれども注意深くこちらを観察していたのだろう。さすがはあの優秀な王妃を輩出した家だと感心した。
「…例の捕虜の尋問は進んでおりますか?」
「…ええ、まあ」
事の起こりは、イズラエルが部下からの情報を元に一人の男を拘束したことに始まる。酒場での言動を不審に思った店主が部下に通報し、たまたまその場にいたイズラエルが部下と二人で「酒場で暴れていた」という名目で捕らえた。調べてみると、その男は去勢の手術を施されていた。つまり宦官だ。しかし男が後宮に勤めていたという事実は発見できない。わかったのは、男がベイトソン公爵家のタウンハウスに出入りしていたらしいという事実だけだった。
ベイトソン公爵…先々代国王の同母妹の子で、ゾロ王にとっては従兄弟叔父に当たる。息子のうち一人はラトランド辺境伯家に養子に入り、元王女と結婚して男児を授かっていた…王位継承位第四位のパーシヴァル・ラトランドだ。
イズラエルは男を拷問した。そこで判明したのは、想像を超える事実だった。
「去勢の手術を施されていた男…名をメイスンと言いますが、ベイトソン家の手引きで後宮に侵入し、ゾロ第一王子を手にかけたことを認めました」
「第二妃、あるいはホーソーン家の名前は出てきましたか?」
「…いいえ、残念ながら。第二妃が関わっていることは間違いないでしょうが、メイスンと直接やり取りした様子はありません」
「そうでしたか」
クロックフォード侯爵は額を抑えて深くため息をつく。まだ五十になったばかりだというのに、端正な顔立ちには心労によるしわがいくつも刻まれていた。
宦官の男…メイスンは、小ゾロ殺害の実行犯だった。
二年前、王妃ガブリエラとの間に待望の王子を授かったゾロ王は狂喜し、己の名前を与えた。そして母后と第二妃オーガスタを事実上軟禁した。彼もガブリエラ王妃の度重なる流産は、オーガスタ妃の仕業だと気づいていたのだ。しかしオーガスタ妃もただでは起きなかった。同じく小ゾロが邪魔な人物と手を組んだのだ。それが王位継承権のある孫を持つ、ベイトソン公爵だった。
何らかの形でオーガスタ妃と連絡を取り合ったベイトソン公爵は、メイスンに宦官の手術を施し、別人に仕立てて後宮に送り込んだ。ベイトソン家とオーガスタ妃の手の者にお膳立てをされたメイスンは小ゾロに近づくことに成功し、毒針でその幼い命を奪ったのだ。
「しかし、どうしてメイスンの口を封じなかったのでしょうか」
「恐らく…第二妃と手を組み、第一王子の命を奪ったのはベイトソン公爵の一存です。息子のラトランド辺境伯が関わっていたらメイスンはとっくに運河に浮かんでいたでしょう」
常に周囲に自分の都合を押し付けてきたベイトソン公爵は、メイスンに褒賞を与えると口封じするという考えも及ばずに放り出したのだろう。何かをきっかけにベイトソン公爵を尋問する方向に持ち込めば、屋敷で働いている者から何らかの証言が取れる可能性がある。
「…今回もあの女狐を告発することは無理なようだ…」
「クロックフォード侯爵…」
「ガブリエラは何度も妊娠しているのに、生き残ったのはジェマ王女だけ…あまりにむごい仕打ちです」
「…」
「第二妃が許せない…ベイトソン家もです。公爵閣下、どうかお力を貸していただきたい」
「私もベイトソン公爵と立場は同じです。王位継承権を持つ息子がいる。それでも信用なさるとおっしゃるのですか?」
「信用します。なぜなら…もう我々にはそれしか方法がないからです。何年もかけて我が侯爵家の力だけで連中の攻撃を防ごうとして、ことごとく失敗しました」
クロックフォード侯爵は、この一年でいくつかの貴族や商人と急速に距離を縮めていた。かの侯爵家はベイトソン公爵家同様歴史があり高貴な血を繋ぐ家柄だが、それゆえに四侯爵家のなかでも孤高の存在だった。それが今、王家に嫁いだ娘と生まれてくる孫のために矜持を曲げている。
「…わかりました。できる限りのことは致します」
ですが、とイズラエルは続けた。
「そこまでおっしゃるのならば、ベイトソン公爵を今すぐにでも拘束し罪に問うた方が良いのでは?国王陛下も第一王子の仇ならば、公爵といえど容赦はしないはずです」
「…さきほど申し上げた通り、第一王子のことはベイトソン公爵の独断です。ラトランド辺境伯を罪に問うのは難しいでしょう。…成人前のパーシヴァルはなおのことです」
そう呟いたクロックフォード侯爵の瞳はぞっとするほど冷たい。
イズラエルは戦慄した。
息子のランスロットとほぼ同じ境遇のパーシヴァル・ラトランド。選民主義で気性の激しい性格であるということだが、それでも11歳になったばかりの少年だ。クロックフォード侯爵は、これを機にパーシヴァル少年を排除するつもりなのだ。王位継承権のはく奪などという生易しいものではなく…。
イズラエルの沈黙をどう捉えたのか、クロックフォード侯爵は何事もなかったように話を続けた。
「メイスンを捕らえたこと、そろそろベイトソン家とラトランド家は気づくはずです。彼らがとる手段は限られている」
「え、ええ。何がなんでもメイスンを見つけ出して処理するか、あるいは…」
メイスンのことに気が付いた相手は、思わぬ行動に出た。イズラエルが最後の手段にするだろうということを真っ先に行ったのだ。
国王の暗殺。
すべてが明らかになる前にゾロ王を殺害し、手札であるパーシヴァル少年の王位継承位を繰り上げようとした。もちろん同時並行でパーシヴァル少年より順位の高いランスロットへの暗殺も繰り出された。ランスロットはまだ成人前なので屋敷に閉じ込めておけばある程度の暗殺は防げたが、公人であるゾロ王はそうはいかない。そして公務の際に、ゾロ王とガブリエラ王妃に男が切りかかるという事件が起こった。
「第五妃様、ですか?」
ゾロ王への暗殺を防いだものの、実行犯を死なせたとして謹慎中のイズラエルの元に訪れたのは、クロックフォード侯爵の使いの者だった。
「建国祭で行われる剣舞の講師として、第五妃様を指導してほしいのです」
「今年は…『シュルヴィ姫』でしたか」
確かに、激しい剣舞だ。剣技が得意で爵位が高く、なおかつ現在謹慎の身のイズラエルが呼ばれるのは不自然ではない。
第五妃サリサの父リベラ伯爵と言えば、クロックフォード侯爵が急速に仲を深めた貴族の一人だった。気難しいことで有名だが、王家の忠誠心は厚いとも聞く。クロックフォード侯爵の家の者がそれを伝えに来たということは、第五妃と「そういった意味」で接触しておけということだ。リベラ伯爵の珠玉の姫で、優秀だと噂だった彼女が後宮入りした時は首をひねったものだが、どうやらそれもクロックフォード侯爵が関わっていたらしい。
「お初にお目にかかります、第五妃様。クレスウェル家当主、イズラエルでございます」
「立ってちょうだい」
第五妃サリサ。たった15歳で国王に嫁いだ幼い妃。
この国では15歳で成人と見なされるが、高位貴族の令嬢といえど17歳くらいになってから結婚することが多い。クロックフォード侯爵とリベラ伯爵に見込まれて後宮に送り込まれただけあって、サリサ妃は聡明そうな娘だった。淡い金髪に落ち着いた青灰色の瞳をしていて、唇は紅を塗ったわけでもないのにつやつやと濡れている。剣舞のためにドレスではなく身軽な装束をまとっていて、すんなり伸びた手足が成長途上の少女独特のなまめかしさを感じさせた。吹けば飛んでいきそうな儚い淑女でも、着飾った華やかな令嬢でもない。それこそ剣と戦の女神シュルヴィ姫を思わせる、強い意志と溌溂とした生命力を持つ娘だった。しなやかで美しい体から繰り出される舞は、まさに清廉なシュルヴィ姫を思わせるもの。金の髪もそれに縁どられた白皙も美しかったが、イズラエルはなによりも彼女の強い瞳に引き付けられた。生命力を感じさせ、運命に挑もうとする真っすぐさがある。
イズラエルは自分が女性に好まれる容姿であることを自覚している。しかしサリサ妃はイズラエルに媚びることはなく、挑むようにイズラエルが後宮を訪れた目的を推察した。
しばらく彼女の舞に見とれていたイズラエルだったが、ぶしつけな殺気に気づいて視線を投げる。ここにいるぞと言わんばかりに、黒い影が刃物の白い光をぎらつかせていた。ちょうど一曲踊り終えてポーズをとっているサリサ妃に、イズラエルは不自然にならないよう近づく。
「もう一度『構え』の型を」
「?…ええ、わかりました」
サリサ妃は戸惑いながらも言うとおりに最初の型を取る。イズラエルは磨かれた彼女の剣を手に取った。相手がこちらを認識し、矢を放ったのがわかる。
ほんの数秒の出来事だったが、イズラエルは矢の位置とスピードを正確に把握し。
ビィィッン!!
そのままサリサ妃の剣ではじいた。
「!?」
矢の勢いに体制を崩したサリサ妃をイズラエルは受け止める。そして何が起こったのかとっさに把握できずぽかんとしている彼女にささやいた。
「国王暗殺計画の黒幕はベイトソン家とラトランド家です」
「…え?」
サリサ妃の青灰色の瞳がはっきりとこちらを映した。その済んだ眼差しに己が移っていることを自覚し、イズラエルはぞくりとする。
「きゃあああっ!」
女官の声が響き渡った。
「第五妃様!」
「何か飛んできたわ!」
「矢よ!誰かが第五妃様を狙って矢を放ったのよ!!」
それまでサリサ妃の舞を静かに見守っていた女官たちだったが、さすがにこの事態に蜂の巣をつついたような騒ぎになる。一人の女官が慌てた様子でこちらに走り寄ってくるのを見て、イズラエルはまだ呆然としているサリサ妃をさりげなくエスコートした。しかしこのまま離れるのは惜しい気分になり、彼女だけに聞こえるように耳元に唇を寄せる。
「どうか、二人きりの時はイズラエルとお呼びください。また、いずれ…」
今度こそ手を放す。
「どうかしている…。己の子供と大差ない歳の娘だというのに」
サリサ妃の視線を感じながら形ばかりの一礼をすると、この事態を報告するために「赤の橋」へと歩き出した。
「第五妃様はいかがでしたか?」
サリサ妃が狙撃されてから数日後に行われた、三日に及ぶ建国祭。
夜会から一夜明けたものの、イズラエルは仕事と称して王宮に残っていた。まだ建国祭の余韻が残っており、その隙をついてクロックフォード侯爵はイズラエルの執務室を訪れている。ベイトソン公爵はともかく、切れ者のラトランド辺境伯の目をかいくぐるのは大変だっただろう。
「公爵閣下と第五妃様が特別な関係ではないかと噂になっておりましたよ」
「…」
揶揄われるということは、さほど深刻な噂ではないのだろう。本当に一曲踊っただけだし、彼女は後宮の住人だ。あまりにサリサ妃を貶めると逆に国王の怒りを買うので、よほどのことがない限り酷い誤解は生じないはずだ。
「リベラ伯爵の秘蔵っ子なだけあって、聡明な方でした。感情を抑え、周囲を見渡し、最善の道を見出す努力を怠りません」
「べた褒めですね」
「15歳という幼さであそこまで仕込まれているのは大したものですよ。あのままリベラ家を継いでいれば、一目置かれる存在になっていたでしょうな」
クロックフォード侯爵は直接サリサ妃に会ったことはないはずだ。
「シュルヴィ姫」の指導にかこつけてイズラエルを近づけたのは、肉親以外からのサリサ妃の評価を聞きたかったからだろう。
「先日第五妃様が襲われた件は?」
「大した証拠は出ませんでした。第二妃はよほど優秀な犬を飼っているようです」
「…あの女自身は無能なのですがね」
「なかなか厄介な犬のようです。あの狙撃の際、わざと私に気づかせました」
「本当ですか?」
「ええ。第二妃がわざと失敗しろと命じるはずはありませんから独断でしょう。殺す過程を楽しむタイプだ」
「そんな奴に娘と孫たちが…」
サリサ妃を狙撃した暗殺者は、第二妃オーガスタ子飼いの女官か侍女に間違いない。同時にガブリエラ王妃に毒や堕胎薬を盛り、腹の子を殺してきた者と同一人物だ。クロックフォード侯爵も女官や侍女たちの素性はとっくに調べているだろうが、大して成果は上がっていないようだった。
だがイズラエルは何となく予感がしていた。
「第五妃様が後宮に入ったことで、均衡が崩れる気がします」
オーガスタ妃が飼っている暗殺者は、ただ主人の命令を聞いて忠実に実行する機械ではない。殺しを心から愛し、獲物が追い詰められていくのを楽しんでいる。
だがオーガスタ妃が後宮に入ってから四年、サリサ妃が襲われるまでは派手な殺しはなかった。おそらく暗殺者は王妃に毒を盛るだけでは満足していない。きっとどこかで発散している。
「侯爵殿、王妃様に連絡して調べていただきたいことがあります…」
こうしてクロックフォード侯爵との面会を終えたイズラエルは、その日はそのまま仕事をして夕方にタウンハウスに戻る予定だった。ところがこの数時間後、家の使いが駆け込み、屋敷内で起こった事件を知らせるのだった。
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