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始まりの物語(下)
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島の砂浜で三人は横並び回想状態から戻ってきた。
「あー、もう訳が判んないわよね。言いたいことだけ言って消える天使。こっちの話は何も聞かずに消えたのよ。そんなことある?」
「もうあの天使の事は忘れましょうね。それよりこれからの事を考えないと。まずはステータス見てみましょうよ」
その言葉にギクッとする早苗。
「あはは、実はちょっと不安なのよね。でも見ないと始まらないのか………ステータスオープン」
横並びした三人の前に半透明のボードが浮かび上がる。そしてたった三行の情報。
スキル 異世界言語 精神異常耐性 身体強化
アイテムボックス
なんにでも変身出来るわよ魔法
「このショボい情報量は笑えるわね。でもスキルの使い方は何故か理解出来るわ」
「最初の四つが船に居た時、みんなに付与されたスキルで、最後の一つが例の「自分が思い浮かべた」スキルね。なんにでも変身出来るって早苗スゴいじゃない!鳥になって空を飛んだり……あっ!もしかしてアニメのように魔法少女になれるんじゃない?」
それを聞いたみるくは両手を胸の前で合わせ「まど○なの?それともプリキュ○なの?」と期待の眼差しで早苗を見ていた。
「ははは、違うの。確かに変身は出来るけど服装だけなの……そこまでしか思い浮かべなかったのよ。可愛い服の事を考えてたら天使は消えてたの……」
可愛いもの大好きな性格が招いた結果であった。
「そ、そうなんだ……」
「残念なの。みるくは変身してバババーンってするのを見たかったの」
三人は横並びしたまま遠くを見つめていた。
「それじゃあ私の番ね。ふふふ、みるくちゃん、期待してね。実は私も魔法少女を思い浮かべたの」
「ほんとー!楽しみなのー!」
「それではステータスオープン」
スキル 異世界言語 精神異常耐性 身体強化
アイテムボックス
ご飯ならなんでも作れる魔法
「「…………………」」
「あれ?ごはんの魔法少女なの?白米少女に変身するの?それともチャーハン少女になるの?」
乙葉は目を閉じて回想シーンを頭の中に描く。そしてお茶目なみるくが乙葉の顔に近づいて変顔を披露する。そこに覚醒した乙葉が目を見開き、みるくと共に驚きひっくり返る。
「あー、ビックリした。おほん、それでは発表します。私ね、思い出してみたのよ。あの時はお腹が空いてたの。それで魔法少女を思い浮かべる前に、ホカホカのご飯が炊けたところを思い浮かべたのね。それが原因みたいだね。ふふふ、どうしようか?」
三人は再び横並びしたまま遠くを見つめる。
「因みにその魔法はどんな感じなの?」
「うーん、こんな感じかな?」
「ボンッ!」
三人の前に白い霧が音と共に現れる。そしてその霧が無くなった場所には土鍋が一つあった。
乙葉が土鍋の蓋を「熱っ」と言って取ると、そこにはホカホカの湯気を放つ白米が「食べてごらん。美味しいよ?」と、その存在を主張していた。
「土鍋で炊いたご飯は美味しいよね」
「えっと……お互い頑張ろうね」
「ガシッ」
二人はお互いを見つめ合い、そして抱き合う。友情が一段と深まった瞬間であった。
「みるくもー」「ギュッ」
そして新たな友情が芽生えた瞬間であった。
「じゃあ、みるくの番なの。ちゃんと見ててなの」
みるくは二人の真ん中で座ったまま人差し指をピンと伸ばした右手をゆっくりと上げていく。
早苗と乙葉の顔の動きがみるくの指先と連動する。
そしてみるくが指差す先に見えるのはヤシの木。
「ザシュッ、ガシガシッ、ズッシャーン」
最初の音は風が発した音。そしてヤシの木の上半分がズレる音と倒れて落ちた音。驚きの三連発。
「みるくの風さん魔法なの」
「「……………………」」
先ほど芽生えた三人の友情に、ほんの少しだけ亀裂が入った瞬間であった。(大人気ない二人である)
そして早苗と乙葉は遠くを見つめていた。
◇◇◇◇◇ ◇◇◇◇◇ ◇◇◇◇◇
島に上陸して一週間が経った。
幼い少女と女子高生ペアの三人だけという状況での一週間は、さぞ過酷で辛いものだっただろう。
「はーい、ご飯の時間ですよー。今日の献立は魚介類をふんだんに使ったパエリアですよ。そしてお米一粒に大量の野菜スープを入れたリゾット風スープとコップにお米一粒とジュースを入れたジュースご飯よ」
乙葉は使用済みの大きくて底が平たい土鍋を裏返した『土鍋テーブル』に料理を並べていく。
「おお、今日のご飯も美味しそうね。あと、ご飯を食べたらお米一粒入りの特大土鍋の暖かいお湯ご飯をお願いね。みるくと魔物倒してたら汗かいちゃった」
乙葉の『ご飯ならなんでも作れる魔法』は、お米一粒でもあれば、思い浮かべた器と具材を出せる万能感満点の超便利魔法であった。
そして島の森から現れる幼女みるく。
「もうこの辺りには、大きな魔物さんは居なくなっちゃったの。ちょっと風さん魔法で「ブシュッ」ってやり過ぎたかな?あー、お腹が空いたの」
幼女最強伝説の始まりであった。
みるくは早苗が出した大きなソファーのようなマントに座り、柔らかなクッションのようなマントに寄り掛かる。その足元はじゅうたんのようなマントが敷いてあり、頭上には日差し避けのビニールシートのようなマントが見えた。
早苗の『なんにでも変身出来るわよ魔法』も万能感満点の超便利魔法であった。
三人は仲良くお風呂に入り、早苗が出した高級バスローブに身を包むとお昼寝の時間だ。
三人の過酷な異世界生活はまだまだ続く。
「「「おやすみなさーい」」」
「あー、もう訳が判んないわよね。言いたいことだけ言って消える天使。こっちの話は何も聞かずに消えたのよ。そんなことある?」
「もうあの天使の事は忘れましょうね。それよりこれからの事を考えないと。まずはステータス見てみましょうよ」
その言葉にギクッとする早苗。
「あはは、実はちょっと不安なのよね。でも見ないと始まらないのか………ステータスオープン」
横並びした三人の前に半透明のボードが浮かび上がる。そしてたった三行の情報。
スキル 異世界言語 精神異常耐性 身体強化
アイテムボックス
なんにでも変身出来るわよ魔法
「このショボい情報量は笑えるわね。でもスキルの使い方は何故か理解出来るわ」
「最初の四つが船に居た時、みんなに付与されたスキルで、最後の一つが例の「自分が思い浮かべた」スキルね。なんにでも変身出来るって早苗スゴいじゃない!鳥になって空を飛んだり……あっ!もしかしてアニメのように魔法少女になれるんじゃない?」
それを聞いたみるくは両手を胸の前で合わせ「まど○なの?それともプリキュ○なの?」と期待の眼差しで早苗を見ていた。
「ははは、違うの。確かに変身は出来るけど服装だけなの……そこまでしか思い浮かべなかったのよ。可愛い服の事を考えてたら天使は消えてたの……」
可愛いもの大好きな性格が招いた結果であった。
「そ、そうなんだ……」
「残念なの。みるくは変身してバババーンってするのを見たかったの」
三人は横並びしたまま遠くを見つめていた。
「それじゃあ私の番ね。ふふふ、みるくちゃん、期待してね。実は私も魔法少女を思い浮かべたの」
「ほんとー!楽しみなのー!」
「それではステータスオープン」
スキル 異世界言語 精神異常耐性 身体強化
アイテムボックス
ご飯ならなんでも作れる魔法
「「…………………」」
「あれ?ごはんの魔法少女なの?白米少女に変身するの?それともチャーハン少女になるの?」
乙葉は目を閉じて回想シーンを頭の中に描く。そしてお茶目なみるくが乙葉の顔に近づいて変顔を披露する。そこに覚醒した乙葉が目を見開き、みるくと共に驚きひっくり返る。
「あー、ビックリした。おほん、それでは発表します。私ね、思い出してみたのよ。あの時はお腹が空いてたの。それで魔法少女を思い浮かべる前に、ホカホカのご飯が炊けたところを思い浮かべたのね。それが原因みたいだね。ふふふ、どうしようか?」
三人は再び横並びしたまま遠くを見つめる。
「因みにその魔法はどんな感じなの?」
「うーん、こんな感じかな?」
「ボンッ!」
三人の前に白い霧が音と共に現れる。そしてその霧が無くなった場所には土鍋が一つあった。
乙葉が土鍋の蓋を「熱っ」と言って取ると、そこにはホカホカの湯気を放つ白米が「食べてごらん。美味しいよ?」と、その存在を主張していた。
「土鍋で炊いたご飯は美味しいよね」
「えっと……お互い頑張ろうね」
「ガシッ」
二人はお互いを見つめ合い、そして抱き合う。友情が一段と深まった瞬間であった。
「みるくもー」「ギュッ」
そして新たな友情が芽生えた瞬間であった。
「じゃあ、みるくの番なの。ちゃんと見ててなの」
みるくは二人の真ん中で座ったまま人差し指をピンと伸ばした右手をゆっくりと上げていく。
早苗と乙葉の顔の動きがみるくの指先と連動する。
そしてみるくが指差す先に見えるのはヤシの木。
「ザシュッ、ガシガシッ、ズッシャーン」
最初の音は風が発した音。そしてヤシの木の上半分がズレる音と倒れて落ちた音。驚きの三連発。
「みるくの風さん魔法なの」
「「……………………」」
先ほど芽生えた三人の友情に、ほんの少しだけ亀裂が入った瞬間であった。(大人気ない二人である)
そして早苗と乙葉は遠くを見つめていた。
◇◇◇◇◇ ◇◇◇◇◇ ◇◇◇◇◇
島に上陸して一週間が経った。
幼い少女と女子高生ペアの三人だけという状況での一週間は、さぞ過酷で辛いものだっただろう。
「はーい、ご飯の時間ですよー。今日の献立は魚介類をふんだんに使ったパエリアですよ。そしてお米一粒に大量の野菜スープを入れたリゾット風スープとコップにお米一粒とジュースを入れたジュースご飯よ」
乙葉は使用済みの大きくて底が平たい土鍋を裏返した『土鍋テーブル』に料理を並べていく。
「おお、今日のご飯も美味しそうね。あと、ご飯を食べたらお米一粒入りの特大土鍋の暖かいお湯ご飯をお願いね。みるくと魔物倒してたら汗かいちゃった」
乙葉の『ご飯ならなんでも作れる魔法』は、お米一粒でもあれば、思い浮かべた器と具材を出せる万能感満点の超便利魔法であった。
そして島の森から現れる幼女みるく。
「もうこの辺りには、大きな魔物さんは居なくなっちゃったの。ちょっと風さん魔法で「ブシュッ」ってやり過ぎたかな?あー、お腹が空いたの」
幼女最強伝説の始まりであった。
みるくは早苗が出した大きなソファーのようなマントに座り、柔らかなクッションのようなマントに寄り掛かる。その足元はじゅうたんのようなマントが敷いてあり、頭上には日差し避けのビニールシートのようなマントが見えた。
早苗の『なんにでも変身出来るわよ魔法』も万能感満点の超便利魔法であった。
三人は仲良くお風呂に入り、早苗が出した高級バスローブに身を包むとお昼寝の時間だ。
三人の過酷な異世界生活はまだまだ続く。
「「「おやすみなさーい」」」
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