怠惰の神の使徒となり、異世界でのんびりする。筈がなんでこんなに忙しいの?異世界と日本で怠惰の魔法を使って駆け巡る。

七転び早起き

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サルバルート王国とアズール家族

第27話 異世界の親友/SIDE : 桜子

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 時刻は夜明け前。僕はラスカルからダルタンの話を聞いたあと、一睡もすること無く考えていた。(今の僕でどうやれば助ける事が出来るだろうか)

「うん、まずは僕になにが出来るかよく知ることだ。考えることも大切だけど、行動しないと前に進まないからね」

 僕は声に出すことで気持ちの切り替えをする。ネガティブな思考を全て叩き壊す為に。

 そんな僕に焚き火の番をしていたラスカルが声を掛けてきた。

「おお、やっと動き出したか。怖い顔をして動かなくなったお前を見てアンナが心配していたぞ。なにせ夜中遅くまで抱きついて離れなかったからな。剥がすのに苦労したよ」

(ああ、だから暗く染まったと感じていた僕の心の真ん中が、こんなにも暖かいんだ。アンナには感謝しないといけないな)

「アンナちゃんは僕の女神様だな。お陰でとても元気になったよ。ラスカルもありがとう。ずっと起きて火の番をしてたんだろ?」

 僕はサリーナに抱かれて眠るアンナを見がらラスカルにも礼を言った。

「ははは、そんな事は気にすんな。春馬は俺の友人だ。その友人が悩み苦しんでるのに寝てなんていられるか」

(お前はやっぱりイカした男だな)

 そのラスカルは焚き火から離れ僕との対面になる椅子に座り、腰袋から二枚の金貨と一枚の銀貨を取り出してテーブルの上に置いた。

「俺達は朝になったら王都に戻る。お前はまだここに残ってなにかをするんだろ?そして三日後かその前日に王都に入る訳だ。
 そんなお前は入街許可証となるものを持っていないから、王都に入る為には審査と入街料が必要になるんだ。入街料に銀貨一枚、あとの金貨で中程度の宿に食事込みで二日は余裕で泊まることが出来る。昨日お前は金の価値と換金出来る方法を聞いてきた。そんなお前が金を持ってるとは思えない。だからこれを使え」

 僕には人との間に境界線を引くクセがある。そんな僕には心から心配してくれてる友達は出来なかった。だからラスカルの言葉に嬉しくても心から喜べない僕が居る。でも最近自分が変わってきているなと、ほんの少しだけ自覚があった。だから少し怖いけど聞いてみた。

「あ、ありがとう‥‥でも、なんでここまでしてくれるの?ご飯のお礼なら必要無いよ?」

 それを聞いたラスカルは大きな声で笑ったあとにこう言った。

「ぐははは!晩飯は確かに有り難かった。だけどそれだけでは無いぞ。俺はお前と一緒に晩飯を食べ話し合い、そして笑いあった。それがとても楽しくて、お前がいいヤツだと判った。
 だから友になりたいと思った。いや、親友にだな。どうだ?俺と親友になってくれるか?」

 僕はいつの間にか大粒の涙を流していた。心から嬉しいと初めて感じながら。

 「うぐっ、ぼ、僕でよかったらお願いします」

 僕の初めての親友は、異世界で銀狼族のイカした男だった。
 _______________
 ♡ SIDE : 桜子 ♡

 怠惰の神の使徒春馬のサポーターになった翌日の朝。私は娘の朝御飯とお弁当を作り家政婦の仕事に出掛ける。その寝坊助の娘はまだ起きていない。ふふ、いつものことだけどね。

 昨日の出来事は私にとって、第二の人生をスタートしたと言っても過言ではないわ。そんな私は愛車に乗って急いで中里家に向かった。

「ぐふふ、あー、もう楽しくて仕方ねーな。あれから寝ずに準備と資料作成をしたけど全然疲れる気がしねー。神様からチートなものは一切貰ってないけど、何故か体から溢れるエネルギーがハンパないな!」

 私の家から中里家まで車で五分。歩いて行ける距離だけど、食材や生活用品を買う為に毎日車で通勤しているの。

「頑張って午前中に家政婦の仕事を全部終わらせるぞ。そして昼からはお楽しみの時間だ。くぅ~、待ち遠しいぜ!」

 私はいつものように24hスーパーに寄って食材を買い、中里家に着くと朝御飯を作り中里兄妹を起こして食べさせる。その二人が出掛けると掃除と洗濯だ。それからいつもは春馬ちゃんの昼御飯を作るんだけど居ないから、その時間を使って兄妹の晩御飯を作るのだ。そしてその晩御飯を作っているとチャイムが鳴った。

(キター!たぶん私が頼んだものだ!)

 私はダッシュで玄関まで行き、勢いよく玄関を開ける。無用心?そんなの知るか!

「宅急便ですー」

「あいよ!ほれサインだ。早よ寄越せ」

 私は素早く受け取りのサインをし、ブツを奪い取り宅配員を追い出した。すぐに開けて中を見たいが我慢する。お楽しみは晩御飯を作って全て終らせてからだ。

 そして来ました至福の時間。私は春馬ちゃんの部屋に駆け込みパソコンを開く。

「お待たせ!私の可愛い獲物達!」

 そこに映るのは三匹の狼ちゃん。昼御飯を食べた後のようで、タルクは外で気持ち良くお昼寝、ミーナは庭を元気に笑いながら駆け回り、ミスカは洗い物をしていた。

 私はその様子を見ながら「神の施し」の準備をするの。

「さあ出ておいで、段ボール箱三つ」

 んー、なんか段ボール箱って言い方は味気無いな。そうだ!今日からお前は愛の宅急便だ。ついでにオシャレに英語にしてやる。愛の宅急便を改め、「ラブイズピンポン」だ。

 はあ?宅急便はデリバリーだ?ピンポンは卓球だと?そもそも英語じゃ無い?グダグダうっせーな。思い付かなかったんだよ!そんじゃあ、もう一度やり直しだ。

「さあ出ておいで、ラブポン!」

 んあ?なんか文句あっか?略したんだよ!

 私はそう言って「神の施し」を三回分発動すると、テーブルの上に三段重ねでラブポンが現れた。(おお、何気に魔法使いになった気分)

 それから私は本当の宅急便で届いた荷物を開けて仕分けを始めた。これは昨日の夜にネット通販の「アラゾンドンキー」で買ったもの。
 ここは品数豊富で変わり種もあってイチオシの通販サイト。今日の「神の施し」に間に合わせたかったから翌日午前中配達の特急料金を払って注文したわ。

 私は仕分けした物を入れやすくする為、ラブポンを横並びにして床に置いた。まずはミスカの分からだ。買ったのは衣類。上品そうな薄い黄色のワンピースと水色のワンピースだ。腰の部分に太めの帯紐があってリボンになる。
 それからスケスケネグリジェ二枚と色っぽい下着を二セットだ。これで日中は可憐なお嬢様。だが夜になると豹変するムフフなやつだ。ダルタンが戻ってきたら、これで歓迎してやるんだな。ついでに変わった刺激が欲しい時にでも着るといい。真っ白の体操服の上着と紺のブルマも入れといてやるよ。

 これだけで結構な量になる衣類。普通にラブポンに入れたら入らない。そこで登場、圧縮袋だ。チャック付きの袋に三つに分けて入れ、専用の吸出器で空気を抜けば出来上がり。なんとか一箱に収まった。

 お次はタルクだ。前に買った黄色のリュックは春馬ちゃんが持っているので新しく買った。前のは可愛らしい黄色のリュックだったが、今度のは七つのボールと登り龍が描かれたモノを買った。(男なら強くなれ!だな)
 あとは小さなお菓子をたくさんと、ノート、鉛筆、色鉛筆32色セットだ。リュックに入れて気に入ったモノを描けばいいぞ。

 最後は真打ちのミーナだ。まずは刃渡りが30cmのサバイバルナイフ。本当は日本刀か脇差しが良かったんだが登録が必要なので諦めた。それから棒手裏剣、マキビシ、鉤縄と忍者スーツ二セット。最後に私が夜なべして作成した「忍びの書」。これには武器の使い方、強くなる為の訓練方法を絵だけで判るように書き纏めたものだ。

 私はお前を見てその隠れた才能に気がついた。そう、お前が包丁を見つめる時にする妖しい目、放送禁止レベルの笑顔。

 お前はアサシン暗殺者の素質があると!

 だからこれから私がお前を鍛えてやる。これこそが女神サクーラ企画第一弾。

「ミーナ・アサシン暗殺者化計画」だ!

 熱く燃える私は送るモノを入れた後、ラブポンにマジックでそれぞれの似顔絵を書き、誰の箱か判るようにしてから初の「神の施し」を発動した。(すげー楽しかった!)


■■■■■■■■■
ここから下は後書きです。

第27話まで読んで頂きありがとうございます。

本作は一応、長編二作目となるものです。一作目もまだ連載中ですが、今はこちらが二十万文字ほど書けるまではこちらを優先して書く予定です。

そこでとても気になるのが読者様が、この物語をどう思っているかです。私の執筆レベルで喜んで頂いているのか気になって仕方ないのです。

出来ればほんの少しだけでも構いませんので、甘口、辛口なんでも大丈夫なので感想を頂けたら嬉しいです。

宜しくお願い致します。
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