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ラバニエル王国編
第32話 商業の神 エイビステイン
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私はとても後悔しているの。
なにを後悔しているのかって?
それはね、私の目の前で騒いでる髭もじゃとハゲ頭にウイスキー以外にも旨い酒があると口を滑らせた事なの。(お前らウゼーよ‥‥‥)
「そんなこと言わずに教えろ!ワシはウイスキーを初めとして酒の伝道師になるんじゃ!な、な、ワシの武器屋にある武器ぜーんぶやる。装備品もじぇーんぶあげちゃう」
「製造方法はいいから俺にはその酒を飲ませてくれよ。あの至高のウイスキーに勝るとも劣らない酒がまだあるんだろ?なあ、頼むよ。なんなら今日から奏を金級の冒険者にしてやるぞ?この国には金級は3人しか居ないんだぞ?
えーい!もうミスリル級でどうだ!この国初めてのミスリル級だ!持ってけ泥棒!」
「‥‥‥‥‥もう帰ってもいい?」
「「駄目に決まってるだろ!!」」
(コイツら‥‥‥しばいたろか?)
そしてその騒がしい部屋に魔法紙を抱えたメリーナさんが戻ってきた。(助けてメリーナさん。コイツらもう手に負えないの)
そのメリーナさんはソファーに向かい歩きながら騒がしい2人に冷たい視線を送っている。
(よし、そこで冷たい視線に冷たい言葉をプラスしてアイツらを黙らせてくれ!)
私は密かな期待に胸膨らませ、その一部始終を見逃さないぞと目を見開き注視した。そして私の期待を背負ったメリーナさんは私達が座る1対ソファーの90度横の一人掛けソファーに座った。(さあメリーナ、いてもーたれ!)
それからメリーナさんは抱えていた魔法紙をテーブルの脇に置くとポケットからなにかを出した。そして手酌でコップにウイスキーを注いだと思うと「グビッ」と一口飲んで、ポケットから出したものを口に投げ込み噛み締めて、またウイスキーを「グビッ」と一口飲んだ。
「くふぅ~、至高のウイスキーとギルド特製最高級干し肉の組み合わせはいけるわね」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
「「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」」
(確かに騒がしかった2人は静かになったよ?でもね?なにかが違うの。なにかが‥‥‥)
そしてそのあと何事もなくウイスキー製造方法の登録が始まった。
「それじゃあ登録を始めるぞ。立会人は冒険者ギルド、ギルド長ダルタンが行う。そして補助としてメリーナを指名する。では登録者奏はその登録内容を明確に詳細に説明せよ」
この魔法紙による登録は、立会人が魔法紙に魔力を流し登録開始の宣言をすることで始まり、登録者が口頭で説明するとその内容が魔法紙に反映される。そして立会人が再び魔力を流し登録完了と宣言すると商業の神の元へと魔法紙が転送される。
それからその商業の神が登録を認めると、その内容を記した魔法紙が各関係機関へと神から複写されたものが送られて管理される仕組みになっているそうだ。
私が登録するのはニューポットから蒸留酒を造る方法だ。それは樽に入れて寝かせるだけなのだが細かい注意点はたくさんある。なので管理方法も事細かく説明して登録内容に追加した。合わせて応用編も追加したのだが、それを聞いていた髭もじゃとハゲ頭がソワソワしだした。(もう相手にしてやんないよ?)
そして私の説明が終わりダルタンさんが登録完了を宣言し登録内容が記された魔法紙は神の元へと転送された。
「よし、これであとは神から認定されるのを待つだけだ。それでだ、なんでこの話を俺の所に持ってきたんだ?本来なら商業ギルドの管轄だ。それにあのナンシーがこんないい話を逃す筈がないと思うんだが?」
ダルタンさんはウイスキーを美味しそうに飲みながらエルフィーさんに聞いている。そのエルフィーさんはとても渋い顔をしていた。
「ナンシーは出張じゃ。それでギルド長代理の男が気にくわんヤツじゃったからお前の所に来たんじゃ」
それを聞いたダルタンさんは大笑いだ。
「ぶはっ!そりゃあナンシーが戻ってきたら面白いことになるな!絶対ここにも怒鳴り込んでくるぞ。ぐふふふ」
(ナンシーさんってどんな人なんだろうな?)
それから4人で色々な話をした。この神の登録認定の事、ウイスキーの販売について、ナンシーさんの事、私の事。
それでまず神の登録認定だけど、いつ神から認定されるかは決まってないそうだ。これぞ『神のみぞ知る』ってやつだね。
そしてその認定の結果は複写された魔法紙が転送されてくる事で判るそうで、認可されなければ魔法紙の原紙が白紙になって送り主の元に戻ってくるらしい。(神が直々に言葉を投げ掛けてくるとかは無いんだって)
と、聞いてたんだけど‥‥‥
私は何故か白い空間に居た。そして目の前に人が居て私にこう言った。
「我は商業の神、エイビステイン」
(はぁ、また面倒事がやって来た‥‥‥‥)
私は仕方なくその神に向かって言った。
「あなたは七福神の恵比寿天様ですよね?」
私の前に居る神は風折り烏帽子を被り狩衣を着て、右手に竿を持ち左手に鯛を持っている。そしてふくよかで耳たぶが大きかった。
(もう今日は色々ありすぎてお腹いっぱいなんだけど‥‥‥‥帰ってもいい?)
奏の長い1日はまだまだ続く。
なにを後悔しているのかって?
それはね、私の目の前で騒いでる髭もじゃとハゲ頭にウイスキー以外にも旨い酒があると口を滑らせた事なの。(お前らウゼーよ‥‥‥)
「そんなこと言わずに教えろ!ワシはウイスキーを初めとして酒の伝道師になるんじゃ!な、な、ワシの武器屋にある武器ぜーんぶやる。装備品もじぇーんぶあげちゃう」
「製造方法はいいから俺にはその酒を飲ませてくれよ。あの至高のウイスキーに勝るとも劣らない酒がまだあるんだろ?なあ、頼むよ。なんなら今日から奏を金級の冒険者にしてやるぞ?この国には金級は3人しか居ないんだぞ?
えーい!もうミスリル級でどうだ!この国初めてのミスリル級だ!持ってけ泥棒!」
「‥‥‥‥‥もう帰ってもいい?」
「「駄目に決まってるだろ!!」」
(コイツら‥‥‥しばいたろか?)
そしてその騒がしい部屋に魔法紙を抱えたメリーナさんが戻ってきた。(助けてメリーナさん。コイツらもう手に負えないの)
そのメリーナさんはソファーに向かい歩きながら騒がしい2人に冷たい視線を送っている。
(よし、そこで冷たい視線に冷たい言葉をプラスしてアイツらを黙らせてくれ!)
私は密かな期待に胸膨らませ、その一部始終を見逃さないぞと目を見開き注視した。そして私の期待を背負ったメリーナさんは私達が座る1対ソファーの90度横の一人掛けソファーに座った。(さあメリーナ、いてもーたれ!)
それからメリーナさんは抱えていた魔法紙をテーブルの脇に置くとポケットからなにかを出した。そして手酌でコップにウイスキーを注いだと思うと「グビッ」と一口飲んで、ポケットから出したものを口に投げ込み噛み締めて、またウイスキーを「グビッ」と一口飲んだ。
「くふぅ~、至高のウイスキーとギルド特製最高級干し肉の組み合わせはいけるわね」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
「「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」」
(確かに騒がしかった2人は静かになったよ?でもね?なにかが違うの。なにかが‥‥‥)
そしてそのあと何事もなくウイスキー製造方法の登録が始まった。
「それじゃあ登録を始めるぞ。立会人は冒険者ギルド、ギルド長ダルタンが行う。そして補助としてメリーナを指名する。では登録者奏はその登録内容を明確に詳細に説明せよ」
この魔法紙による登録は、立会人が魔法紙に魔力を流し登録開始の宣言をすることで始まり、登録者が口頭で説明するとその内容が魔法紙に反映される。そして立会人が再び魔力を流し登録完了と宣言すると商業の神の元へと魔法紙が転送される。
それからその商業の神が登録を認めると、その内容を記した魔法紙が各関係機関へと神から複写されたものが送られて管理される仕組みになっているそうだ。
私が登録するのはニューポットから蒸留酒を造る方法だ。それは樽に入れて寝かせるだけなのだが細かい注意点はたくさんある。なので管理方法も事細かく説明して登録内容に追加した。合わせて応用編も追加したのだが、それを聞いていた髭もじゃとハゲ頭がソワソワしだした。(もう相手にしてやんないよ?)
そして私の説明が終わりダルタンさんが登録完了を宣言し登録内容が記された魔法紙は神の元へと転送された。
「よし、これであとは神から認定されるのを待つだけだ。それでだ、なんでこの話を俺の所に持ってきたんだ?本来なら商業ギルドの管轄だ。それにあのナンシーがこんないい話を逃す筈がないと思うんだが?」
ダルタンさんはウイスキーを美味しそうに飲みながらエルフィーさんに聞いている。そのエルフィーさんはとても渋い顔をしていた。
「ナンシーは出張じゃ。それでギルド長代理の男が気にくわんヤツじゃったからお前の所に来たんじゃ」
それを聞いたダルタンさんは大笑いだ。
「ぶはっ!そりゃあナンシーが戻ってきたら面白いことになるな!絶対ここにも怒鳴り込んでくるぞ。ぐふふふ」
(ナンシーさんってどんな人なんだろうな?)
それから4人で色々な話をした。この神の登録認定の事、ウイスキーの販売について、ナンシーさんの事、私の事。
それでまず神の登録認定だけど、いつ神から認定されるかは決まってないそうだ。これぞ『神のみぞ知る』ってやつだね。
そしてその認定の結果は複写された魔法紙が転送されてくる事で判るそうで、認可されなければ魔法紙の原紙が白紙になって送り主の元に戻ってくるらしい。(神が直々に言葉を投げ掛けてくるとかは無いんだって)
と、聞いてたんだけど‥‥‥
私は何故か白い空間に居た。そして目の前に人が居て私にこう言った。
「我は商業の神、エイビステイン」
(はぁ、また面倒事がやって来た‥‥‥‥)
私は仕方なくその神に向かって言った。
「あなたは七福神の恵比寿天様ですよね?」
私の前に居る神は風折り烏帽子を被り狩衣を着て、右手に竿を持ち左手に鯛を持っている。そしてふくよかで耳たぶが大きかった。
(もう今日は色々ありすぎてお腹いっぱいなんだけど‥‥‥‥帰ってもいい?)
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